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『未来の私/あたし』
「生きていれば、必ず良いことがあるから」
目の前にいる、今にも零れそうな程に目に涙を溜めている少女に、今日だけで3回目にもなる台詞を私は言う。すると少女はふるふると首を横に振る。その所為で目からは涙が零れ出る。
私はその少女を力強く抱きしめる。
理由は、いくらでも思いつく。でももしかしたら、その子の顔をもう見ていられなかったからなのかもしれない。
「ヤだよ……もうヤだ……。誰もあたし
【リクエスト】猫の話
最近、やたらと懐いてくる子猫がいる。
「にゃあ」
それは今、おれの足元でうろちょろしているこいつだ。小さい体で足元をうろつかれたら歩きにくいと言ったらありゃしない。
「おい」
「?」
おれが怒り調子で声を掛けても素知らぬ顔だ。まるでおれがなぜ怒っているか分からないとでも言いたげな表情で小首を傾げる。
「はぁ……あまり足元を歩くな。邪魔で仕方ない。『猫踏んじゃった』なんて物騒な歌もあるが、