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2018年ベスト映画 トップ10

10位 羊の木

 育ってきた環境とか、蓄積された経験、思い込みや先入観などにより、どうしても形作られる「人に対しての嫌な目線」を、2時間かけてずっと指摘され続ける映画。誰かを信用するということを問う作品でもある。何か良くないことが起こりそうな予感が終始あるので、どっと疲れる。悪人顔俳優大集合というメンツの中で、松田龍平かくあるべき、というような存在感。物語の端っこで、ひっそりとタイトルモチーフを扱う市川実日子も、あの台詞数でここまでのインパクト残せるのか、という。

9位 ハード・コア 

11月の色々」に感想が。山下敦弘監督ってかなり手広い作風だけど、これは久々に初期のローファイなムードが漂ってて良かった。山田孝之っていつの間にかハードボイルド顔になってたのに、誰も気づかず通過してた感あったし、ここで一つそういう山田孝之を刻んでる意義も大きい。

8位 聖なるもの 

2018年最強のフェチ映画だった。岩切一空監督は見た目も年齢も自分と近くて、ゆえにこういうのを撮られちゃうと嗜好もバチっと一緒な気がして怖くなる。とにかく女の子の撮り方が拗らせまくっている。POVを用いた小川紗良への接写は、小川紗良を好きにならざるを得ないだろう、という。てか監督は小川紗良が好きすぎるだろう、という。作品自体としては、劇中劇+フェイクドキュメントというよくある構造に、もう1層の重大な仕掛けが加わって見たことのないものに仕上がっている。次回作を今一番待ち望んでる監督。

7位 ペンギン・ハイウェイ 

記念すべき最初の「ポップカルチャーは裏切らない」記事に感想を載せた。これ、子供向けアニメなのになぜあんなにお姉さんの胸が揺れてるのか、みたいな予告編観ただけで批判してる人がいて、めっちゃウケました。おっぱいの存在が宇宙的な意味を持つ作品なのでね、、、

6位 犬猿 

秀逸な人間ドラマだった。兄弟、姉妹という変え難い血縁にまつわる愛憎。大根仁の「モテキ」がああいう男子の心を描き切った作品だとするならば、吉田恵輔のこの「犬猿」は、兄弟姉妹にまつわる感情の機微を描き切ってしまった作品かと。つまりこれ以降、同じようなタイプの作品が続く必要がないという。共感度は「聖なるもの」に匹敵するくらい凄かった。僕も兄弟仲悪いので。ひどく胸糞な気持ちを抱えつつ、傑作だ、、!と思った。あまりに言い当てすぎてて恥ずかしい気持ちにすらなった。

5位 ここは退屈、迎えに来て

大きい感想はこちらに。小さい感想は、田舎出身として地元で幅利かせてた奴がどんどん落ちぶれてく様が手に取るように理解できたので、ニヤニヤが止まらなかった。それが成田凌って。最高のキャスティング。僕、性格悪いね。

4位 カメラを止めるな!

エンドロールまで含めてあまりにも美しすぎる映画。アイデアとか情熱とか色んなこと考えて涙出てくる。入口こそブラックボックスだけど、興味さえ持てばもう楽しめてる。誰も置き去りにせず、オープンでポジティブなエネルギーをくれる娯楽作。丁寧なフリとオチは笑いの原点だ。バラエティ畑の人とか芸人さんがこの作品にこぞって嫉妬してたけど、確かにエンタメ界に自分が身を置いてたら、、と考えると、サブカルにおいてこれ程まで理想的なビッグヒット飛ばされると悔しいかもしれない。よかった、素人で。

3位 万引き家族 

是枝監督らしからぬタイトルだなぁと思ったのだけど、物語が進むにつれてその真意が見えてくるという。選ぶことのできない家族という宿命をユーモアたっぷりに描いていたこれまでの作風の愛らしい魅力を残しつつ、その家族という前提に揺さぶりをかけていく、監督としてもかなり踏み込んだテーマだったのではないか、と。役者の演技はもうあんまりにもさりげなさすぎて生活を覗いてるみたいだった。是枝監督の、冷静さと熱意が繊細に織り交ざった到達点だと思う。

2位 君が君で君だ

衝撃度で言えば1位。ざっくり言えばストーカーの話なんだけど、まるで彼らの世界にはそういう定義がハナから存在してないんじゃないかと思わせるほど、真っ直ぐで穢れがない。絶対的な前提として異常さを受け入れるしかない前半、そして当然のように常識が介入していく後半。このうねりだけでだいぶ疲れるのだけど、徐々にこの世にまだ存在しない初めての感情にタッチしてきて、しょうがないから泣いてしまった。愛はおしゃれじゃない、けど髪は食べ物じゃない。

1位 サニー/32

だいたい毎年1番好きな映画って、理屈を超えて脳天に刺さるような作品なのだけどこれもまさしく。2004年に起こった実際の事件(これ、近県の出来事だったのでとても鮮明に覚えてる)がモチーフ。何をどうすれば良かったのか、という誰にとっても永遠に出ない問いに対して、やや過剰すぎる急展開を数個挟み、ラストの鮮烈な"救い"へと辿り着く。物語の導入と出口が良いズレ方してる。10余年のインターネットコミュニケーション史もテーマとしてあるような気がして、そのカルチャー感含めてとても好みだった。

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