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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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2023年11月の記事一覧

立花隆最後に語り伝えたいこと~読書記録361~

立花隆最後に語り伝えたいこと~読書記録361~

立花隆最後に語り伝えたいこと: 大江健三郎との対話と長崎大学の講演 2021年

立花隆が「どうしても最期に残しておきたい」と切望した遺作。未収録の「肉声」を中心に編んだ。
【第一部】は、ヒロシマ、ナガサキ、アウシュビッツの恐怖をなんとしても若い世代に伝えたいと、2015年に長崎大学で行った講演「被爆者なき時代に向けて」などを収録した。
【第二部】は、ソ連が崩壊した1991年に、21世紀を見通そう

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田中真紀子研究・立花隆~読書記録360~

田中真紀子研究・立花隆~読書記録360~

2002年・知の巨人・立花隆先生によって書かれた。

田中真紀子の特異な人格はどこからきたのか。角栄と角栄以後の政治の流れと問題点を、立花氏でしかできない手法を駆使し徹底解明。

《「田中真紀子」研究のためには、どうしても、角栄という政治的にも人間的にもスケールが大きかった人物が描いた大河ドラマの軌跡を追う必要も出てくる。》立花さんは「はじめに」でこう書いています。本書は、田中真紀子を多面的に考察

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ノルウェイの森・村上春樹~読書記録359~

ノルウェイの森・村上春樹~読書記録359~

1987年9月4日に単行本が講談社から刊行、1991年4月15日に講談社文庫として文庫化され、2004年9月9日に文庫改訂版が出された。
(私が紹介するのは2004年の改訂版です)

37歳のワタナベは、ハンブルク空港に到着した飛行機のBGMでビートルズの「ノルウェイの森」を聴き、激しい混乱を覚えた。そして学生時代のことを回想した。
直子とはじめて会ったのは神戸にいた高校2年のときで、直子はワタナ

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寺院消滅~読書記録358~

寺院消滅~読書記録358~

2015年、京都・浄土宗正覚寺住職でジャーナリストの鵜飼秀穂氏によるルポ。

「坊主丸儲け」「寺は金持ち」というイメージは強いが、日本のお寺は、かつてないほどの危機に瀕している。菩提寺がなくなり、お墓もなくなってしまった――。こんな事態が現実になろうとしている。
中でも地方のお寺の事態は深刻だ。高齢化や過疎は檀家の減少につながり、寺の経営を直撃する問題となっている。寺では食べていけないことから、地

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芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか~読書記録357~

芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか~読書記録357~

2010年、文芸評論家の市川真人氏により、書かれた考察本。

『1Q84』にもその名が登場する日本でもっとも有名な新人文学賞・芥川賞が、今や世界的作家となった村上春樹に授賞しなかったのはなぜなのか。一九七九年『風の歌を聴け』、八〇年『一九七三年のピンボール』で候補になったものの、その評価は「外国翻訳小説の読み過ぎ」など散々な有様。群像新人文学賞を春樹に与えた吉行淳之介も、芥川賞では「もう一作読まな

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カンガルー日和 村上春樹~読書記録356~

カンガルー日和 村上春樹~読書記録356~

1986年に出版された村上春樹短編集だ。
時間が作り出し、いつか時間が流し去っていく淡い哀しみと虚しさ。都会の片隅のささやかなメルヘンを、知的センチメンタリズムと繊細なまなざしで拾い上げるハルキ・ワールド。ここに収められた18のショート・ストーリーは、佐々木マキの素敵な絵と溶けあい、奇妙なやさしさで読む人を包みこむ。

最後の作品には、愛すべき!羊男が登場する。不思議な存在なのだが、村上春樹の作品

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雪国 川端康成~読書記録355~

雪国 川端康成~読書記録355~

国境の長いトンネルを抜けると・・・で始まる川端康成の名作である。

ほんとうに人を好きになれるのは、もう女だけなんですから。
雪に埋もれた温泉町で、芸者駒子と出会った島村―― ひとりの男の透徹した意識に映し出される女の美しさを、抒情豊かに描く名作。
親譲りの財産で、きままな生活を送る島村は、雪深い温泉町で芸者駒子と出会う。許婚者の療養費を作るため芸者になったという、駒子の一途な生き方に惹かれながら

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百田尚樹「日本国紀」の真実~読書記録354~

百田尚樹「日本国紀」の真実~読書記録354~

seベストセラー作家・百田尚樹氏の日本国紀。どのくらいの人が読んでいるのかは知れないが、百田尚樹大好きなネット保守の方は、一方の側からしか物事をみていないだろうと思う。
この本は、冷静に「日本国紀」並びに百田尚樹氏という作家を批評している。

ベストセラーとなった百田尚樹の代表作『日本国紀』。
だが、壮大な通史は出版後に大幅な修正がほどこされ、著者、出版社ともに読者への説明を拒否し続けている。

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ダンス・ダンス・ダンス 村上春樹~読書記録353~

ダンス・ダンス・ダンス 村上春樹~読書記録353~

作中の「僕」は『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』、『羊をめぐる冒険』の所謂「鼠三部作」の主人公と同一人物であり、実質的な三部作の続編にして完結編である。また、前三作に比べて、活字の量・物語性が増している。内容としては資本主義の高度発展への社会批判、空虚感と孤独感が特徴として挙げられる。

「僕」は3年半の間、フリーのライターとして「文化的雪かき」に従事していた。1983年3月のはじめ、函

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本は10冊同時に読め~読書記録352~

本は10冊同時に読め~読書記録352~

2008年、実業家で元日本マイクロソフト株式会社社長でもあった成毛眞氏の著書。

本は最後まで読む必要はない、仕事とは直接関係のない本を読め、読書メモはとるな―これまでの読書術の常識を覆す、画期的読書術!あらゆるジャンルの本からの情報を組み合わせることで、新しいアイデアが生まれる。「すき間時間」で本を読むことで、集中力が増す。どこを読み飛ばすのかを判断していくことで、決断力と情報収集力が身につく。

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いつか必ず死ぬのになぜ君は生きるのか 立花隆~読書記録351~

いつか必ず死ぬのになぜ君は生きるのか 立花隆~読書記録351~

知の巨人が遺した、今を生きる人へ贈る言葉

知の巨人が遺した、今を生きる人へ贈る言葉

2021年、惜しくもこの世を去った知の巨人・立花隆。
彼が全生涯をかけて追ったテーマは、
人はどこから来てどこへ行くのか……?
人間とは何か、生死とは何か、人生とは何か?
そしてよりよい人生のためには
どう生きればよいのか?どう考えればよいのか?
知の巨人の思索の旅と、読者へのメッセージを一冊に凝縮。
池上彰の

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アンと幸福 坂木司~読書記録350~

アンと幸福 坂木司~読書記録350~

2023年10月26日 坂木司による「和菓子のアン」シリーズの最新作。
多分、最後だろう。

図書館に予約すると読めるのは1年後?か!とも思ったもので、初めてAmazonで先行予約というものを利用してみた。
イヤイヤ。これは大成功。
何故なら、図書館には入荷した様子がないのだ。
もう!早く続きが読みたくて、届いた翌日は仕事を休み朝からツイキャスを。

【累計100万部突破!「和菓子のアン」シリーズ

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イスラーム化する世界と孤立する日本の宗教 関口義人~読書記録349~

イスラーム化する世界と孤立する日本の宗教 関口義人~読書記録349~

2022年 関口義人氏による著書。

幼少の頃からキリスト教徒として生き、長年、欧米の一神教(キリスト教・イスラーム)の世界を渡り歩いてきた著者が追い続けてきた、宗教とは何か。日本人にとって宗教とはというテーマを自身の体験から語り尽くす。日本と世界のおもな宗教の起源から日本の新宗教までの基礎を振り返り、近年の動向から、世界の宗教はどこに向かうのかを考える。世界四大宗教(キリスト教、イスラーム、ユダ

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不可能犯罪課の事件簿 ジェイムズ・ヤッフェ~読書記録348~

不可能犯罪課の事件簿 ジェイムズ・ヤッフェ~読書記録348~

1941年、アメリカ有数の推理作家として知られていたエラリー・クイーンが、自ら編集長となって創刊したパルプ・マガジンが『EQMM』である。「エラリー・クイーン」はフレデリック・ダネイとマンフレッド・リーの共同ペンネームだが編集長を務めたのはフレデリック・ダネイである。

「ブロンクスのママ」シリーズで有名なジェイムズ・ヤッフェのデビューもこの雑誌であった。デビューは、なんと15歳!

フレデリック

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