ライブレポート『Phoebe Bridgers@KYOTO MUSE』
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「初来日公演」に目がない。
もれなく迎え入れましょう、主宰はコロナ禍の最中2021年のPitchforkそして2022年Coachellaでの熱演をしかと目に焼き付け初来日公演に胸躍らせた。悲願、しかも舞台が京都とあってPavementなんばHatch公演を蹴ってこちらへと参戦。苦渋の決断とはまさにこのことで、日程上翌々日にも彼女を観るチャンスは確かにあったのですけれど。
しかしAcoustic Setの文字を見て主宰は迷わず京都公演に最速応募。これは観ておかなければ絶対に後悔する。銘曲「Kyoto」がレパートリーである彼女が初めて目にする日本の景色、しかもツアー初日にそれが叶うという事実。これは是が非でも押さえなければ。主宰にはちと辛いスタンディング現場となりましたが、重たい足を引き摺りながらなんとか一路烏丸駅前まで。
3年越しに叶った『Punisher』との邂逅。
コロナ禍において、ある種『Punisher』がコンセプトアルバムとなり3年余りをかけ世界中を駆け巡ったこと。革靴の経年変化を楽しむように、カレーをじっくり煮込むように彼女のサウンドはこの3年進化し続けた。Pitchforkで観た景色が、Coachellaでは全く違うステージへ押し上げられていて。これはもう言葉で説明するのが本当に難しい、音楽ですから音で体感しましょう。
電車酔いに定評のある主宰がなんとかかんとか辿り着いた烏丸で、ご褒美。「和醸良麺 すがり」にてもつラーメン麺大盛+もつ追加1300円也、小雨の中1時間半待った甲斐あって心に沁み込む個性派の一杯。うまし。その後は気の向くままに四条烏丸をぶらぶらしまして会場時刻間近、異様な行列を発見。それがKYOTO MUSEへ続くものであることは秒でわかった。
声はすれども姿は見えず。
初動の遅れによりかなり厳し目の整理番号を引きましたがこれ致し方なし。ドリンクカウンターへ行くにも一苦労で、Ginger Root大阪公演を遥かに凌ぐ鮨詰め状態。扉が閉められませんもう1歩前の方への声をコロナ禍以降初めて耳にしたような気もします。定刻。ステージへ上がったPhoebeはあっという間に消えた。それ以降ファンカムの操作画面越しでしか彼女の姿は見えず。
しかし「Motion Sickness」から着実に心が浄化されていくのがわかる。必要最小限度の編成と音数でもって心持ち緩やかなテンポ感で楽曲本来の味わいを際立たせる。フォークやブルースの亡霊が生き続けるサウンドなどと表現される彼女、父親の友人からプレゼントしてもらったギターを片手に幼少期はJoni MitchellやJackson Browneを好んで演奏していたそう。
絶対見えないのだから、見えるところに移動してみる。
まさしく逆転の発想であります。とことん後列に回ってみようじゃないか、いっそPA卓の職人捌きに着目してみようじゃないか。80dbの中盤を行き来し曲中でもつまみを動かす手は一切止まることがない。「I Know The End」恒例のシャウト寸前でこの日初めて100dbを超えた。エンジニアさん用にもハンドマイクが設置されていたのには、思わず笑っちゃいましたね。
あれ実は、皆で叫んでいたんですね。ライブ映像だけでは知り得ない裏側を見ることができて良かった。チーム全体が終始笑顔に包まれる現場だった。空の紙コップを伝う振動にすら、心地良さを覚えたほど。個人的ベストは、「Savior Complex」だったでしょうか。白馬の騎士症候群が描かれる楽曲の節々に、アンプラグドな音像も相まってか「High And Dry」の幻影を見た。
次回、Tuxedo@Billboard Live Osaka編。
Phoebeのホームパーティに招かれたような70分間は、あっという間に過ぎ。特急を1本乗り過ごして、敢えて準急で帰ろうと心に決めたくらいには余韻が大きかった。さて次回は大阪に戻りましてMayer Hawthoneを迎え撃ちます、長年の夢がようやく叶う瞬間です。終演後は度々近辺で目撃証言が絶えない彼ですから、事案にならない程度には出待ちも頑張ってみようと思います。
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