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美しく生き自分で自分を幸せにするガイドブック

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#セックスレス

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第一話 女としての幸せは、あきらめることになる

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第一話 女としての幸せは、あきらめることになる

女としての幸せは、あきらめることになる

結婚は親が決めた相手とするものだ、と思っていました。
そういうものでしたよ。この時代。
恋や愛・・・・・・そんな浮ついた気持ちではなく、生きていくための家と家のつながり。
それが「結婚」でした。
けれどわたしは秀吉、いえ当時は藤吉郎という名でしたが、彼に恋をしました。
わたしは14才でした。

きっかけは信長様が鷹狩の帰り、わたしの義父の屋敷に寄ったことで

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十三話 幸せも不幸も伝染する

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十三話 幸せも不幸も伝染する

幸せも不幸も伝染する

震えが止まりませんでした。あまりにもブルブル震えるので、両手で自分の体を抱きしめ、震えを止めようとしたほどです。
こんなはずでは、ありませんでした。
わたし達の人生は、こんな風にいくつもの「こんなはずでは、なかったのに」が積み重なり、今になっているのかもしれません。

こんなはずではなかった・・・・・・苦さを噛みしめながら、まだ震えの止まらない手で筆を取り、秀吉に手紙を書き

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十二話 人を呪わば、穴二つ

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十二話 人を呪わば、穴二つ

人を呪わば、穴二つ

秀次が関白になったことで、茶々様の中に危機感が生まれたのでしょう。
茶々様が秀次に秋波を送るのを見て、秀吉は男として奮起したようです。
また頻繁に茶々様のところに、通い始めました。
それこそが、まさに茶々様の思うツボだったのですけどね。
どうして男には、わからないのでしょう?
同じ同性である女には、女のやり口が見ていてよくわかります。

いますでしょう?
同性に好かれない女。

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十一話 あなたはまだ、あきらめていない

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十一話 あなたはまだ、あきらめていない

あなたはまだ、あきらめていない


天正十九年は秀吉にとって、鶴丸様以外にも大切な人達を失った辛い一年でした。
この年の一月、相談相手であり唯一彼に進言できた、弟の秀長が死去しました。彼の死は、わたしにとっても大きなショックでした。
二月は、相談役でもあった茶人千利休を切腹させました。わたしも千利休とは面識があり、何度も秀吉に彼の切腹を止めるように言いましたが、彼は頑として耳を傾けませんでした。

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十話 子どもを産んだくらいで偉そうにしないで

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第二十話 子どもを産んだくらいで偉そうにしないで

子どもを産んだくらいで偉そうにしないで

茶々様の城に戻った鶴丸様の熱はなかなか下がらず、ずっと寝込んでいます。犬猫もそうですが幼い時は男の方が弱い、と言いますね。まさにその通りですね。鶴丸様は豊臣の後を継ぐ大切なお子ですから、心配です。
鶴丸様に何かあれば、秀吉は半狂乱になるでしょう。
そんな秀吉は見たくありません。そのためにも鶴丸様に早く良くなってもらわねば、とわたしは固く目を閉じ、祈り続けま

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十九話 生母と聖母

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十九話 生母と聖母

生母と聖母

天正十八年、秀吉は最後まで残っていた北条氏との決着をつけるため小田原に向かいました。
後に小田原征伐、といわれた戦いです。
この戦いで秀吉は、難攻不落として名を響かせた小田原城をぐるりと取り囲みました。
北条はこの城に絶対的な自信を持っており、城を死守する考えでした。
これに対し秀吉は、得意の長期戦で兵糧攻めに持っていく作戦でした。
じっくり腰を据え、北条氏が頭を下げるのを待っている

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十八話 人は心の拠りどころを求める生き物

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十八話 人は心の拠りどころを求める生き物

人は心の拠りどころを求める生き物

茶々様の妊娠は、秀吉に喜びと活気を与えました。
秀吉は「よくやったぞ、茶々」の感謝を込め、山城淀城を茶々様に与えました。
この城に茶々様が移って以降、茶々様は世間から淀様と呼ばれるようになりました。
わたしの中では相変わらず、茶々様ですけどね。
口さがない世間は
「愛人に子どもができて、正妻の寧々は肩身が狭かろう」
と言っているようです。

「北政所様、くやしい

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十七話 人は案外、自分の強みに気づきません

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十七話 人は案外、自分の強みに気づきません

人は案外、自分の強みに気づきません

秀吉は望み通り茶々様を、手に入れました。
彼が三十歳も年下の茶々様に望んだものは、自分のDNAを受け継いだ子どもです。
茶々様の中に流れる浅井家と、信長様の織田家の血筋。
そこに自分のDNAを入れた豊臣の跡継ぎを強く望んだのです。
もしお市様を手に入れていたら、お市様に望んだでしょう。けれどその野望は、叶いませんでした。

信長様からいただいた秀勝を跡継ぎにす

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十六話 女はいつもどこかで、人生をリセットしたい

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十六話 女はいつもどこかで、人生をリセットしたい

女はいつもどこかで、人生をリセットしたい

翌日秀吉は大そうご機嫌で、ニコニコしながらわたしのところにやって来ました。そしてわたしの手を取り、両手で包みました。
「さすが寧々じゃ。茶々をわしのものにしたぞ。
これも全部、寧々のおかげじゃ」

やっぱり、と一瞬目を閉じた後、すぐに笑みを作りました。
「それは、よろしゅうございました」
わたしは自分の手を握っている、秀吉の手に目を向けました。
皺が寄り

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十四話 嫌な女ですか、わたくし?

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十四話 嫌な女ですか、わたくし?

嫌な女ですか、わたくし?

秀吉は、お市様の自害がとてもショックのようでした。
「寧々、どうしてお市様は死なねばならなかったんだろうなぁ・・・」
ぼんやりした顔でつぶやくのでした。
お市様ロスが秀吉の心を虚ろにしていました。

彼はお市様が北ノ庄城から姫様達と出てこられるのを信じ、心待ちにしていました。
お市様はわたしが裏から手をまわし、柴田様の妻になりました。
その時の秀吉は、とんびに油揚げをさ

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十三話 女王への道の始まり

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十三話 女王への道の始まり

女王への道の始まり

十二月、秀吉は柴田様が雪深い福井の北ノ庄城で動けないことをチャンスと見て、攻撃を開始しました。
秀吉にとって柴田様は目の上のたんこぶでした。
天下統一に向け、取っておかねばならない重石だったのです。
彼にしたら柴田様を討つことは、柴田様の奥方になっているお市様を手に入れる事でもありました。
わたしはその見え見えの下心には、ちょっとムッ!と来ました。けれどニンジンを鼻先にぶら下

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十二話 ただ、意識を向ける方向を変えただけ

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十二話 ただ、意識を向ける方向を変えただけ

ただ、意識を向ける方向を変えただけ

三日間こんこんと眠り続け、この世の果てまでたどり着いたわたしは、前世を思い出しました。
翌日からわたしは身体中の細胞が入れ替わったように元気になり、めきめき回復したのです。まるで新しい自分に生まれ変わったように、女としての欲求はすべて消え去りました。誰に封印されたわけでもなく、自分で封印したわけでもありません。
「抱かれたい、女の悦びを得たい」
そんな肉欲で結

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十一話 すべてお前が選んだ、望み通りの設定だ

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十一話 すべてお前が選んだ、望み通りの設定だ

すべてお前が選んだ、望み通りの設定だ

秀吉が帰って来ない部屋で、明け方うつらうつらしてようやく少し眠りにつきました。ところが目覚めは最悪でした。
身体中は燃えるように熱いのに寒気でゾクゾク震えました。関節の節々もひどく痛みます。

裸のまま眠った身体には、何かに噛まれたようなあとがいくつもありました。よほどかゆかったのか、知らず知らずそこをかきむしっていました。
かきむしり過ぎたせいか傷が膿み、

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リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十話 わたしにだけ、勃たない?

リーディング小説「美しい子宮~寧々ね~」第十話 わたしにだけ、勃たない?

わたしにだけ、勃たない?

この頃秀吉は、これまではひっそり恐るおそる出していた闇の顔を、わたしに対しても堂々と出し始めました。
清州会議が終わった夜、二人きりの閨で正座した秀吉が突然言いました。

「寧々、わしは側室を持つ」
「えっ?」

わたしは面食らい、身を乗り出しました。それは相談でもなく、決定事項の報告でした。
「明智に味方した若狭の守護大名の武田元明の妻子を捕えた。
妻の京極龍子が、子

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