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Tree In Progress

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主に屋外で描く植物のドローイングを軸にした、「線を引く」ことから制作を再考する試み。 ドローイングを元にした銅版画も制作。 ‘23 5/6〜23柳沢画廊(埼玉県)にて個展。 同年…
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波兎を追いかけて/竹生島

波兎を追いかけて/竹生島

 滋賀での滞在制作も終盤。
 江ノ島、宮島は何度も訪れましたが、竹生島は未経験だったと思い、この機会に行ってみることにしました。

 元々竹生島にはじめに興味を持ったのは、 謡曲(能) 『竹生島』 (ちくぶしま) の一節からです。

『 緑樹影沈んで 魚木に登る気色あり 
月海上に浮かんでは 兎も波を奔るか 面白の島の景色や 』

 島の木々の影が湖畔に映り、まるで魚たちが木を登っているように見え

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かんのんののかみ

かんのんののかみ

AIR中、高月町へ。同じ長浜市内ですが、観光地っぽい元浜町と雰囲気は結構異なります。綺麗で隅まで気がきいていて、手をかけられている事は町の随所に感じられつつも、どこかほっとかれている感じがあります。それがまたいい。

 GW明けとはいえ、がらんとしていました。係りの方以外自分の他、誰もいません。教科書でも見たことのある観音像、渡岸寺観音堂の十一面観世音菩薩像、国の重要文化財である大日如来像、そして

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樹齢400年の大杉の、湿気をとる/ショート動画

樹齢400年の大杉の、湿気をとる/ショート動画

 雨で濡れた樹皮に和紙を当てる。

 このかっこいい撮影/編集は、昨日のnoteで触れた、地元在住の作家仲間がしてくれました。自分1人で制作している作家は、それを写す別の人がいないと、記録は”結果としての作品”というその物体しか残りません。
 どこからともなくポンと目の前に現れた作品、にも勿論魅力を感じるものは沢山あります。一方で、その周辺も含まれたアメーバ状のものもやはり作品なのだ、と感じていま

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樹齢400年の大きな杉に会いにいく。

樹齢400年の大きな杉に会いにいく。

AIR中、元浜町から少し離れ、彦根へ。この町には知り合いの作家が住んでいます。

 この町には樹齢400年の大杉があると知り、車を出してもらうことに。

 私は各地で展覧会を開催する合間に、その土地の大木、古木のドローイングをしています。基本は徒歩です。今回はありがたいことに現地に知り合いがいた為、割と足を伸ばせました。

 まず一度、フロッタージュをしてみました。結果、紙の裏に雨上がりの樹皮の湿

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Tree In Progress_Iide 発表

Tree In Progress_Iide 発表

 滞在期間も終わりに近づき、発表の準備。

 飯豊の人ん家の古びた雪囲いの板は、和紙に擦ってみると、製材したばかりのものとは異なる品の良さを感じました。尖っていない雰囲気、丸みが滲み出るような柔らかさと言うか・・・。これはWSを開催したことでわずかな違いに気づいたような気がします。
 追加で送ってもらった深山紙の微妙な色味のお陰もあるかもしれません。

 道の駅に飾り付けました。絵の前に置かれてい

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草木、雪、人。

草木、雪、人。

 飯豊散策。
 色んな動物が近くにいます。猿や狸が道路を横切り、猛禽類が電柱に留まっている。車窓から顔を出し、熊に気を付けろと声を掛けられる。

 草木塔(そうもくとう)は、草木から得られる恩恵へ感謝するという全国的にも珍しい石碑。ほとんどがこの置賜地方に集中しているそうです。
 特に江戸時代からのものは、字も判別しづらくなり、ほとんど自然の石に近い雰囲気も醸しています。

 他にもあると聞き、宇

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ワークショップ「飯豊の森の、木目をうつす」

ワークショップ「飯豊の森の、木目をうつす」

レジデンス滞在中にワークショップを行いました。

 内容は、
「山形の製材所の木材を、山形の手漉き和紙に、インクとバレンでうつす。」
というシンプルなもの。
 木版画というにはあまりに単純。絵を考える必要はなく、自然の生み出す線そのものに沿うように作る。

 はじめにちょっとしたコツだけ伝授。
 案外、参加した子らは、こちらが一度やったことをよく覚えていて、すぐに同じ動作をしようとします。これは大

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飯豊アーティストインレジデンス

飯豊アーティストインレジデンス

 西置賜郡飯豊町(にしおきたまぐんいいでまち)にて滞在制作を行う目的で山形にやってきました。
 現地に住む方と話した際、Tree In Progress を飯豊町で、という提案。

 Tree In Progressはそもそも、自分自身の展覧会の合間に、各地で行っていた小さなドローイングから始まりました。ドローイングをSNSで見た埼玉の柳沢画廊の柳沢さんから、個展をしようと提案されたことから発表す

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コレクターさんからの写真/忘れな草と桜のドローイング

コレクターさんからの写真/忘れな草と桜のドローイング

 以前の個展で気に入っていただけたドローイング。桜と忘れな草、全て一点ものです。額装が完了&発送し、先日コレクターさんから、ご勤務先に飾っているお写真を頂きました。(SNS掲載許可頂いています。)
 全て同じ木のフレームの浮かし額装(紙の縁まで全て見せる額装)で、作品の雰囲気に合わせ色味を少しずつ変えています。

 この縦長の桜は、京都の東寺の枝垂れ桜です。そして、これを元に銅版画を制作しました。

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長く居たいと感じさせる内装

長く居たいと感じさせる内装

 個展開催中のあまねや工藝店に在廊し、オーナーのお話しを伺う中で、外装のこだわりはもちろん、その内装への独自の視点も知りました。
 例えば写真の上の方にぶら下がっている木の枠のようなもの、これははじめただの装飾かと思っていましたが、そうではありませんでした。

 なんと、外に走っている電線を視線から遮るために横の線を入れたくて、わざわざ作ってぶら下げて時々塗り直しているとのこと。そのこだわりに驚き

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コレクターさんからの写真/ユーカリ、椿と忘れな草のドローイング

コレクターさんからの写真/ユーカリ、椿と忘れな草のドローイング

 5月に開催した地元の個展にて、作品をコレクションしてくれた方々から、飾っているお写真を頂きました。全てSNS掲載の許可を頂いています。

 作品を制作している作家は、他の方の元へと自作が一度旅立ったら、もうその姿を見ることは通常出来ません。それはその方のプライベートな空間で楽しむものになるのが一般的だからです。そしてほとんどの場合、作家よりもコレクションした方の方が、その作品と長くその後の時を共

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「ニュートン」銅版画制作動画/刷り

「ニュートン」銅版画制作動画/刷り

 最初の刷り。大体こんな感じで刷ってます。このプレス機との付き合いも15年以上経ちました。今でもフル回転中です。

作品のお問い合わせ:
あまねや工藝店
6/14(水)〜7/2(日)月曜定休。
福岡市中央区平尾1-12-2
電話092(526)0662

「ニュートン」銅版画制作動画/腐食

「ニュートン」銅版画制作動画/腐食

 この制作動画も含め、今回のシリーズ Tree In Progress は自らの撮影ではなく、カメラマンに撮影をお願いしました。
 技法ハウツーのような説明動画や、過度にポップな感じではなく、あくまでも現場のリアルを感じられるような方向性で、とだけお願いしてスタート。
 細かいことは何も言わず相手のセンスに完全にお任せ。

 その中でも今回のこの動画には度肝を抜かれました。一見何も変化がない腐食液

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「ニュートン」銅版画制作動画/エッチングの描き出し。

「ニュートン」銅版画制作動画/エッチングの描き出し。

 林檎のドローイングを元に、エッチングを制作。

作品のお問い合わせ:
あまねや工藝店
6/14(水)〜7/2(日)月曜定休。
福岡市中央区平尾1-12-2
電話092(526)0662