齋藤悠紀
会場:阪神梅田本店 8階 ハローカルチャー1 日時:2023年7月19日(水)〜25日(火)(最終日17時まで)
前回、実際に見沼周辺をうろついたのをきっかけに数日散歩を続けています。 基本的な概要もさらっておきたくなってきたので少しだけリサーチ。 見沼は、もとは沖積低地が沼沢化した広大な自然の沼。 だそうです。 縄文時代まで・・・ 古芝川が大宮台地を侵食した谷に、奥東京湾が入り込んでいた。 (周辺に貝塚が点在。) 弥生時代・・・ 海岸線が後退し、多数の沼が繋がる広大な沼沢地となる。 Y字型で、3方向に湾曲して伸び、岬や入江も多い複雑な地形。 この形↓・・・そのま
身近過ぎて逆にあまり見ていなかったような場所が、自分にとっての見沼です。 龍のテーマで制作するなら、実際に絵に出てくるものが直接的か間接的かはともかく、再び自らの五感で改めて感じておきたいと思い、自転車にまたがり出発。 見沼代用水沿いに自転車を走らせ、なんとなく氷川女體神社へ。 中学生の時の写生大会で描いた景色もほとんど変わっていなかった。変わっていないなぁと思いつつ、果たして写真で撮った場所だったらこんなに覚えていたかなとも同時に思う。感度は鈍く、記憶力も並以下の
少し前にリクエストで龍を描く機会に恵まれました。普段描かないテーマに、描きながら感じたことや発見があり、改めて向き合ってみようと思っていました。 自然という掴みどころのないものの象徴としてのそれという発想から、自らの収集物の混成体としての龍です。黒い龍は鱗がキラリと月光を映す。月と龍の組み合わせは前回の金龍から。黒龍は更に夜、闇を司る龍という印象。 そして黒龍を描くと同時に、白い龍も描こうと思いました。 調べてみると白龍は、龍の中でもすごい速さで飛ぶという特徴があ
前橋のアートギャラリーミューズが閉廊するという事でご挨拶に。 現地で久しぶりに作家の箕輪さんと合流。 ミューズは自分の個展をはじめ、版画企画のリトルクリスマス(LC)や、シードストーリーズ(SS)を通じ、10年以上お世話になりました。 オーナーの松村さんは、元々はカフェのマスター。たまたま空いていた壁にかけた一枚のポストカードが、その無機質な空間をガラッと変えたことに驚いたそうです。 飾った瞬間にはそれほど多くを感じなかった絵も、ふとした瞬間にその美しさを強く感じ
阪神梅田の個展、無事に終えました。久しぶりにお会い出来た関西の方も多く、新しい出会いもありました。ありがとうございます。 搬出を手伝ってくれた彼とその晩は打ち上げ。カップルで行くような素敵空間におっさん2人で長居。長い付き合いですが、絵に関してどのように思うかに加え、作家業についてどうか、なども言ってくれるようになったのは高校生とは少し違います。普段会えなくても自分を気にかけてくれる人がいる、というのはそれだけでありがたいことですね。 涼しいのは博物館内だけ。一歩屋
ガラス絵の方でも、梅と玄兎を組み合わせた作品がありますが、銅版画の方には梅と和のしつらえ、あるいは梅のみ描かれた作品もあります。 ↑「梅の間」 (Room of plum blossom) ed.50 楮紙に銅版画 /雁皮刷り(手漉き紙) 215×160mm ¥40,700(額込み) ↑ 「春流」 (Spring flow) ed.50 楮紙に銅版画 /雁皮刷り(手漉き古紙) 285×180mm ¥55,000(額込み) ↑「夜花」 (Night Blos
今回泊まった大阪のカプセルホテルは、1階のロッカーに荷物を置くとそのままバスローブを着てスパ。からの寝床。という、宿泊施設というより、泊まれるスーパー銭湯といった風情でした。 会期途中から友人宅へお邪魔させていただく。今回も愛知の友人の米花のパンを送って一緒に食べます。 なんとなく毎朝お腹が減らず、お客さんがいると1人の個展会場からは抜け辛いので昼飯も抜き、夕方にコーヒーと軽食くらいで数日済ませてきていたので、突然食事の質がアップしました。彩りが凄い。 今回は出品中
「玄兎夜行」 (Night Lines) 多層ガラス絵(3層) 200×255mm ¥187,000 本日は、個展の表題作をご紹介。このアイボリーのフレームは、インドネシアのものです。京橋のGOROさんで出会ったものです。 個展は25日(火)の午後5時まで。 お問い合わせ:06-6345-1201(阪神梅田) #齋藤悠紀個展_玄兎夜行
今日は月面着陸の日、だそうです。 私は「月歩」というシリーズで、月の上を歩く玄兎たちを描いています。 昨年の作品(個人蔵)は今回の個展の壁紙にしてもらいました。 昨年末に作った方は、現在個展にて展示中です。 「月歩」 (Walk in the moon) 多層ガラス絵(5層) 370×460mm ¥605,000 光の具合によって様々な表情を見せます。 25日(火)の午後5時まで。 お問い合わせ:06-6345-1201(阪神梅田) #齋藤悠紀個展_玄兎夜
阪神で個展と銘打って開催するのは3回目ですが、これまでは他の作家と会場を分けてのダブル個展だったので、実はフル個展開催は今回初です。というわけで会場にも少し拘ってみました。 今日は表題作のご紹介。涼しげな作品。 「玄兎夜行」 (Night Lines) 多層ガラス絵(3層) 100×150mm ¥121,000 25日(火)の午後5時まで。 お問い合わせ:06-6345-1201(阪神梅田) #齋藤悠紀個展_玄兎夜行
こちらとあちら。本日から始まった個展に出品中の作品をご紹介。 「銀河の肖像」 (Portrait of galaxy) ガラス絵 130×180mm sold out(個人蔵) もう一点は、自分には珍しい楕円の作品です。 「銀河の夜伽」 (Galaxy night fairy) ガラス絵 300×400mm (楕円) ¥220,000 日本製の楕円額もたまに見かけますが、フレームの厚みとのバランスが悪いように感じ、手が伸びなかった。そんな時に見つけたこの楕
今日は個展の搬入飾り付けを関西の友人に手伝ってもらいつつ行いました。 この友人とは16歳の頃からの知り合い。我々の軸には作品があり、今でも勿論そんな話をします。 私は、私の作品を見てくれた人に色々なことを言われるのが好きです。ちなみに友人は、これまでの流れを含めた感想を言ってくれます。「自分は齋藤君の多層ガラス絵の完成形を夢想している。それはこうなんだけど・・・」という興味深い話。 さて、新月の夜・・・明日から月が満ちてゆきます。私の個展「玄兎夜行」にはぴったりの
「空鏡」 (Sky mirror) ガラス絵(段付アーチ) 230×160mm ¥143,000 「月影」 (moonlight) 多層ガラス絵(2層) 70×70mm sold out(個人蔵) すごいインパクトのフレームです。他で見たことがない。しばらく何を描こうか寝かせていましたが、絵柄はシンプルにしました。 お問い合わせ:06-6345-1201(阪神梅田) #齋藤悠紀個展_玄兎夜行
私は作品内の絵の具以外の大部分に箔を使用しています。 ガラスとグランドに箔を使用することで、それぞれの素材感が際立ちます。 特に、積層による表現の際にそれは最大の効果を発揮します。絵の裏側に施した色は、他の層にも響き、この技法でしか得られない「反射の色彩」を楽しむことが出来ます。各層を自由に行き来するその色は、見る角度により無限の変化を見せます。 箔を使用するにあたり特に影響を受けたのは、イタリアで見た黄金祭壇画の、絵画と工芸の境界を横断するような、名もなき職人
前回、裏側から描くことについて書きましたが、今回は何で描くのかということについて。 私は多層ガラス絵に、銅版画の材料とテクニックを応用しています。 まず、ガラス面全体に、ごく薄くグランドを塗布します。暗さが必要な場合には火で炙り、煤で濃淡を調整します。 グランド:銅版画のエッチングで使用するマスキング剤。蜜蝋とアスファルトが主成分。 次に、図となる箇所以外の全てを削り落とします。つまり絵の中で明るくしたい部分を段階的に掻き落としていく事になります。これは銅版画の手順
私が発表している多層ガラス絵の技法について。今回は裏側から描くことと、積層についてのメモ。 鑑賞する裏側から描く、特殊な技法のガラス絵に私がこだわるのは、それが文字通り、自らの現実と表裏一体の、もうひとつの世界の表出にぴったりだと直感したからです。 14世紀ベネツィア発祥と言われるガラス絵。江戸時代にはびいどろ絵として日本でも描かれました。裏側から描く事で絵の具が乱反射せず、「濡れ色」の艶を楽しめるという特徴があります。 積層は、絵巻物における異時同図法(同じ画