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作品(多層ガラス絵)

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オリジナルな技法「多層ガラス絵」を作りました。ガラスの裏側から絵を描いて重ねて一つの作品にします。一点ものです。派生作品「リバースドローイング」は薄い1枚のアクリル板の裏側から描…
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「多層の龍」(multilayered dragon)/個展「山際」出品作#8

「多層の龍」(multilayered dragon)/個展「山際」出品作#8

 前回に引き続き龍の作品です。この作品では龍の身体を各層に分けて描き、それらの層が集まって全体が見えてくるという構図を試みました。要はこの作品で初めて作品としてやれたことを、今作では龍でやってみようということです。
 フレームはヨーロッパのアンティーク額。真っ黒ではなく深いグリーンがかった古いもの。

 出品作品は随時更新していきます。本作は現在、福屋八丁堀本店ギャラリー101にて開催中の個展に出

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「天地」(universe)/個展「山際」出品作#7

「天地」(universe)/個展「山際」出品作#7

 イタリア製の楕円の額を入手してから、これに合わせた絵の構想を以前から温めていました。天と地、といういわば区分けをする意識を、再びつなぎ合わせる”気”のような存在としての龍です。
 ”龍”というテーマをガラス絵や多層ガラス絵でここしばらく取り組んでいます。自分なりに描くきっかけとなったのは、様々な動物の混成体という龍自体のルーツでした。これは、自身が特にコラージュ作品を制作する際などに強く感じる、

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「空間のエオストレ」(Eostre of space)/個展「山際」出品作#6

「空間のエオストレ」(Eostre of space)/個展「山際」出品作#6

 これまでの作りと少し異なる作品。スペーサーと最奥層をスモーキーなアクリル板で設えています。ドローイングと多層ガラス絵、二つのあいのこみたいな作品です。

 出品作品は随時更新していきます。個展も本日から始まりました。
 作品のお問い合わせは福屋まで。電話:(082)246-6111(代)

「空鏡」(Sky mirror)/個展「山際」出品作#5

「空鏡」(Sky mirror)/個展「山際」出品作#5

 “空鏡”は澄んだ月の異名。その言葉の響きから連想した作品です。数年来、ガラス絵の他、銅版画でも取り組んでいるテーマです。
 僅かに茶味がかったシルバーの広いフレーム。最奥層の箔は錫です。

 互いに響き合う領域をテーマとしているので、元々平面としてそういう構図をとっています。
 今作では立体的、物理的にも層を増やしました。反射の色で各層を超える表現をするのが「空鏡」には合うと以前から感じていたか

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 「残響」(reverberation)/個展「山際」出品作#4

「残響」(reverberation)/個展「山際」出品作#4

 イタリアの職人が製作したアンティークゴールドのフレームに、2枚のガラス絵を嵌め込んだ組作品です。写真では伝わりにくいですが、フレームはのっぺりした金色ではなく、なんとも言えない味わいのある凹凸があり、一目惚れしてコレクションしていました。
 絵の内容は、自身が山に囲まれ過ごした体験がベースになっています。
 昼間の山肌に射す光線の移り変わり、流れる雲。日が暮れ、自分の足も見えない闇の濃度。明け方

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「山際・みはらし」(yamagiwa・view)/個展「山際」出品作#3

「山際・みはらし」(yamagiwa・view)/個展「山際」出品作#3

制作風景

箔を押しては乾かし、絵の具で留め、再度箔押しを繰り返して山を描いています。

 出品作品は随時更新していきます。会期前のご予約も承ります。
 作品のお問い合わせは福屋まで。電話:(082)246-6111(代)

「山際歩き」(yamagiwa walking)/個展「山際」出品作#2

「山際歩き」(yamagiwa walking)/個展「山際」出品作#2

 二種類の箔を使って制作した作品です。山の尾根のラインを金箔で描いています。山の形は天香山から。

この作品は個人蔵となりました。

「汽笛」(steam whistle)/個展「山際」出品作#1

「汽笛」(steam whistle)/個展「山際」出品作#1

 「中略)動いている汽車と停まっている汽車とは丸で別物だと云う事です。その別々のものを一つの汽車で間に合わせると云う点が六ずかしい。」『阿房列車』内田百閒

 長浜での滞在中に訪れた旧長浜駅には、日本最古の駅舎が残っていました。そこで見た動かない巨大な鉄の塊としてのD51と、それが疾走していたという過去の姿が自分にはどうにも結びつかず、それは不思議な乖離感覚でした。
 動かないストップモーションと

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多層ガラス絵の不動明王完成。

多層ガラス絵の不動明王完成。

 奥の層には縄文の火焔紋様を配しました。
 火をまなざす太古の人々は、そこに何を見ていたのだろうか。生かされている自分たちの命と、その糧として燃えゆく命。その相互の繋がりが熱の中溶け合い、分かち難く結びついている不思議ではなかったろうか。
 厳しく煩悩を断ちながら、その行いが即ち人々を悟りに導くという不動尊。その容赦のない苛烈さは、多くの仏像の中でも一際目立つものですが、それでも民衆に「お不動さま

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龍にまつわる自作の変遷

龍にまつわる自作の変遷

 龍というテーマに興味を持ち、向き合うきっかけをもらったリクエスト作品をご紹介。その制作にまつわる記事。
 先日、この龍の持ち主のコレクターの方が、この作品も含むコレクション展を成功させた事を知りました。
 私の作品が多くの作品と触れるきっかけの一つを担っていたならとても嬉しい事です。制作の励みになりました。

 その後、再度描きたい気持ちが起こった為、自分なりに対作品を制作しました。
 この作品

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「鷺藪」(Heron bush)/個展「かくれざと」出品作#10

「鷺藪」(Heron bush)/個展「かくれざと」出品作#10

 鷺藪についてはこちらの記事に書きましたが、すっかり減ったとは言え、川沿いを散策すると今も鷺をしばしば見かけます。地図から引用した形と、昔の見沼、鷺の姿を重ねました。

お問い合わせは福福堂まで。(伊勢丹浦和店は会期中のみ対応。)

「表門・龍猫」(Front gate・Dragon&Cat)/個展「かくれざと」出品作#8

「表門・龍猫」(Front gate・Dragon&Cat)/個展「かくれざと」出品作#8

国昌寺の開かずの門を描いた際、門の表と裏それぞれの表情に惹かれ、両方とも描きたくなり、二点連作にしました。今年の後半は、ほとんど見沼やその周辺を足や本、ガラス絵で散策していました。思えばそれ全体が、私の制作の日々でした。

 国昌寺は、見沼代用水東縁にあります。それは日光御成道に接しています。その開かずの門の龍の彫刻は、日光東照宮の眠り猫や三猿で有名な左甚五郎作とのこと。これが歴史的事実かどうかは

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「裏門・微睡み」(Back gate・Sleep)/個展「かくれざと」出品作#9

「裏門・微睡み」(Back gate・Sleep)/個展「かくれざと」出品作#9

 裏門は、日光御成道へと続く想像から描きました。表門で龍から逃げてきた猫が、再び眠ります。いつの間にかそれは眠り猫の彫刻へ・・・。微睡みの中みる夢は、自由に時空を駆け巡っていることでしょう。

 フレームは「表門・龍猫」(Front gate・Dragon&Cat) とお揃い。こちらは正方形です。

 本作は個人蔵となりました。ありがとうございます。

「科戸(しなと)」(wind occur) /個展「かくれざと」出品作#6

「科戸(しなと)」(wind occur) /個展「かくれざと」出品作#6

 科戸(しなと)は、風の起こるところ。罪を吹き払う風。元を辿れば神道に登場する言葉ですが、画面下に描いた開かずの門は国昌寺のもの。
 明治政府の神仏分離政策以前は、神と仏は当たり前のように混ざり合っていました(神仏習合)。例えば日本の七福神を代表する柔和な大黒天が、インドでは破壊の神だったのは有名な話です。
 このように外から入ってきたものを、自らの内のものとどう折り合いをつけるかは、人間の常に変

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