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銅版画技法/間接法(腐食液を使用)

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オープンバイト/ディープエッチング/リフトグランド
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「樹の中で」銅版画制作動画/雁皮紙のカット、刷り〜刷り上がりチェック

「樹の中で」銅版画制作動画/雁皮紙のカット、刷り〜刷り上がりチェック

前回の続き。
雁皮紙という極薄の和紙を、インクを刷る際に一緒に刷り上げる雁皮刷りという技法。

 まず雁皮刷り用の雁皮をカットする為の型紙を作ります。伸び率などもこの型紙で調整しておくことが出来ます。
 紙やインクを変えながら色々刷りながら試していきます。
 版を作ったら後は刷るだけ、という直線的な制作ではなく、刷りの中であれこれ試し、思いついたことを再び版の方にフィードバックします。

 今月2

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「樹の中で」銅版画制作動画/銅板の準備から下絵転写まで。

「樹の中で」銅版画制作動画/銅板の準備から下絵転写まで。

 銅版画を制作する際のアトリエを撮影してもらいました。
 3分クッキングの様なハウツー動画ではないです。その分実際の制作の速度や音、手触りのようなものが伝われば良いと思っています。
 カメラマンが信用出来る知人で、すぐにこちらの意図を理解し良いものを作ってくれました。

 続く

エッチングとドライポイントと歩行。

エッチングとドライポイントと歩行。

 銅版画の技法には、マスキングを施した銅の板を腐食液によって溶かし凹凸を間接的に作る、いわゆるエッチングと言われるものと、銅よりも硬い金属の針や刃などで直接凹凸を作るやり方があります。その中でもドライポイントという技法は原始的でありながらとても魅力的な線の表情を得られます。
 素材と素材の出会いが強調されて立ち上がるところはTree In Progress にはぴったりの技法だと思いました。

 

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アトリエ撮影。始まりも終わりもない制作のリアル。

アトリエ撮影。始まりも終わりもない制作のリアル。

 自分の制作を、他の人の視点を通して撮影してもらおうと思い立ちました。以前、カメラマンに依頼し、完全にホワイトキューブの空間で多層ガラス絵の制作のダイジェストのような動画を制作してもらいました。それはそれで気に入っていますが、それは点と点を繋ぐような動画でした。今度撮るなら、より線的な、様々なものと結びつくような動画を改めて撮影したいとぼんやりと思っていました。この辺は文字で書くのはちょっと難しい

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木蓮を描く。(青空エッチング)

木蓮を描く。(青空エッチング)

 屋外で、下絵なしでグランドを塗布した銅板を直接引っ掻いてみる事にしました。

グランド:アスファルトと蜜蝋が主成分の、腐食を止める為の薄い皮膜。エッチングという、腐食液を使用し凹凸を作る銅版画技法ではお馴染みのマスキング材。

 線は線を消せません。消しゴムもありません。掻き落とした線の痕跡はそのまま残っていきます。しかしそれこそ望むところです。(この記事参照。)
 最初に針先が触れる瞬間からニ

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梅の木をエッチングで描く。drawとpaintの違い。

梅の木をエッチングで描く。drawとpaintの違い。

 個展を開催する方向が見えてきたので、やってきたドローイングを元に進んでみることにしました。
 自分が扱う素材の中で、四半世紀近く触ってきた銅版画という技法へドローイングの線を広げてみます。

 屋外に出て、ここ数年描いている梅の木を改めて銅版に描いてみました。一旦試しにマジックで描いてみてから腐食。
 TP.1はこの記事に。TP.とはTrial Proof(試し刷り)の意味です。

 エッチング

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