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人工衛星

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人工衛星をめぐるルールを3分で解説しています。
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記事一覧

3分でわかる衛星リモセン法アウトライン

3分でわかる衛星リモセン法アウトライン



2017年11月15日、衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律(通称:衛星リモセン法)が施行されました。
これは、宇宙基本法の下、リモセン記録が適切に取り扱われるようルールメイキングされたものです。

衛星リモートセンシング記録とはリモセン記録とは、衛星に搭載したセンサーを使って得られた地球表面の観測データのことです。

例えばこれは、名古屋周辺の土地がどのように活用されて

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3分でわかる軌道上損害



星座の導きアメリカの衛星通信会社、ワンウェブの衛星コンステレーション計画がいよいよ始動です(コンステレーション は星座という意味です)。
2月27日、全650基のうち最初の6基がソユーズロケットで打ち上げられました。
衛星コンステレーションは、まさに星座のごとく展開される多数の衛星によって、常に通信可能な環境を構築するシステムです。

ワンウェブは、インターネットに繋がらない地域をなくすという

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3分でわかる測位衛星の法律問題



生活インフラとしての測位衛星初めての場所に行く時、私たちはGoogle mapなどを通じて位置情報を使います(少なくとも私はGoogle mapがなければ初見でX-NIHONBASHIに行けませんでした)。宇宙基本計画では、準天頂衛星システムは2023年度をめどに持続測位可能な7機体制での運用を開始するとされています。
測位衛星は衛星から発信される電波によって位置を特定するという仕組みというわ

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3分でわかる宇宙基本法アウトライン

3分でわかる宇宙基本法アウトライン



快挙再びはやぶさ2がまたも快挙です。
2月22日のタッチダウンに続き、クレーターの生成実験に成功しています。ますます目の離せないはやぶさ2ですが、政府が打ち出す宇宙基本計画に「宇宙科学・探査」の項目として記載されていることをご存知でしょうか?そもそも、宇宙基本計画とは何なのでしょうか?

宇宙基本計画宇宙基本計画は、宇宙開発利用に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための宇宙開発利用に関す

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3分でわかる宇宙活動法〜人工衛星の管理計画〜

3分でわかる宇宙活動法〜人工衛星の管理計画〜



人工衛星の管理許可宇宙活動法では、人工衛星の管理を行うには内閣総理大臣の許可が必要とされています(国内の設備を用いる場合)。その際、人工衛星をどのように管理するかといった管理計画は審査項目の一つとされていますが、具体的にはどのような項目が審査されるのでしょうか?「人工衛星の管理に係る許可に関するガイドライン」に詳細が記載されているので、簡単にまとめてみます。
なお、宇宙活動法の全体像はアウトラ

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3分でわかる衛星リモセン法〜用語の定義〜

3分でわかる衛星リモセン法〜用語の定義〜



2018年11月15日に施行された衛星リモセン法は、リモセン記録の適正な取扱いを確保するため、①リモセン装置の許可制度、 ②リモセン記録を保有する者の義務、 ③リモセン記録を取り扱う者の認定等についてルール化しています。

リモセン法でも用語を定義している規定がありますが、肝心なリモセン装置とリモセン記録の定義が若干複雑なのでまとめてみます。

衛星リモートセンシング装置条文上は、以下のように

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3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン装置の使用許可〜

3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン装置の使用許可〜



衛星リモセン法は、リモセン記録の適正な取扱いを確保するため、①リモセン装置の許可制度、 ②リモセン記録を保有する者の義務、 ③リモセン記録を取り扱う者の認定等についてルール化しています。

今回は、リモセン装置の許可が認められるためにはどうすれば良いのかを取り上げます。

許可制度
高分解能(詳細に地上のモノが判別できる)のリモセン装置を使用するには、内閣総理大臣の許可が必要です。
そして、以

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3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱い〜

3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱い〜



リモセン法は、リモセン記録の適正な取扱いを確保するため、①リモセン装置の許可制度、 ②リモセン記録を保有する者の義務、 ③リモセン記録を取り扱う者の認定等についてルール化しています。

今回は、リモセン記録を取り扱う際の注意点をまとめます。

リモセン記録の提供の制限提供の制限
リモセン記録をやり取りすることは原則として制限されており、許可を受けたリモセン装置の使用者、特定取扱機関、認定を受け

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3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱者認定〜

3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱者認定〜



高分解能のリモセン記録は、原則として①許可を受けたリモセン装置の使用者、②特定取扱い機関、③認定を受けた衛星リモセン記録取扱者認定を受けた者にしか提供できません。
認定制度は、テロリストなどにリモセン記録が渡って悪用されてしまうことを防止するため重要です。
今回は、認定を受けるためには何が必要かを取り扱います。

認定制度リモセン記録を取り扱う者は、申請によって内閣総理大臣の認定を受けることが

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マンガでわかるリモセン法

マンガでわかるリモセン法



リモセン法とは?2017年11月15日、衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律(通称:衛星リモセン法)が施行されました。
衛星リモートセンシング記録(リモセン記録)とは、衛星に搭載したセンサーを使って得られた地球表面の観測データのことです。

例えばこれは、名古屋周辺の土地がどのように活用されているかを表している画像です(赤が市街地 左:1983年6月1日 右:1993年5

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3分でわかるコンステレーションの法律問題

3分でわかるコンステレーションの法律問題



コンステレーションとは?2019年5月23日、SpaceXは、約12000機の超小型衛星からなるシステム「Starlink」のうち、60機の打上げに成功しました。
Starlinkは、地球上のあらゆる場所で最大1Gbpsのインターネット接続を提供することを目的とするプロジェクトです。

上の図からわかるとおり、大量の超小型衛星が軌道を周ることで地球上のどこにいても通信が可能となります。
また、

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3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達

3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達



宇宙ビジネスには金がかかるロケットの打上げ、衛星の製造・運用をはじめ、宇宙ビジネスには多額の資金が必要です。特にこれからサービスを始めていこうというスタートアップは、手元に何らかのプロダクトがあるわけではありません。
そのような状況で資金を確保するにはどのような方法があるのでしょうか?

資金調達の方法は2種類資金を集めるには「もらう」「借りる」の2つの方法があります。
前者はエクイティ、後者

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3分でわかる宇宙のサイバーセキュリティ

3分でわかる宇宙のサイバーセキュリティ



人工衛星に対するサイバー攻撃人工衛星は、通信やGPSはじめ広く民生技術としても活用されていますが、使い方によっては人の生命をも奪い得る能力を秘めています。
例えば、複数の衛星が同一地点に向けて電波を発すれば巨大な電子レンジが出来上がりますし(殺人兵器になり得ます)、GPSの信号に誤りを生じさせて自動運転車の事故を発生させることも可能でしょう。
そうだとすれば、人工衛星あるいはその設備をハッキン

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3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達(その2)

3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達(その2)



前回の「3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達」では、デット(借金)とエクイティ(出資)の違い、プロジェクト・ファイナンスとアセット・ファイナンスの違いなどについて解説しました。

ところで、アセット・ファイナンスでは、お金を貸す側が会社の資産を担保に取ったりすることで、返済してもらえるようリスクヘッジをします。ここでいう担保については、宇宙ビジネスの資産専用の制度があるわけではなく、昔から地球に

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