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3分でわかる宇宙活動法〜人工衛星の管理計画〜


人工衛星の管理許可

宇宙活動法では、人工衛星の管理を行うには内閣総理大臣の許可が必要とされています(国内の設備を用いる場合)。その際、人工衛星をどのように管理するかといった管理計画は審査項目の一つとされていますが、具体的にはどのような項目が審査されるのでしょうか?「人工衛星の管理に係る許可に関するガイドライン」に詳細が記載されているので、簡単にまとめてみます。
なお、宇宙活動法の全体像はアウトラインをまとめているので併せてご参照ください。

1 分離又は結合時の他の人工衛星の管理への干渉防止

人工衛星から機器・部品を分離する場合や、人工衛星を他の人工衛星等に結合する場合には、他の人工衛星の管理に支障を及ぼさない仕組みが必要となります。

2 異常時の破砕防止

人工衛星の異常を検知した際に、破砕を防止する措置や終了措置を行う条件について定めることが必要です。
具体的には、破砕防止措置については、以下のような項目を定めておく必要があります。

① 残留液体推進薬及び残留高圧流体に関する措置
 タンク及び配管類に残留する推進薬を排出又は消費する手順
②バッテリに関する措置
 充電経路を永続的に遮断する手順
※いずれも、構造上の措置により破砕の危険性がない場合には適用外です。

3 他の人工衛星等との衝突回避

他の軌道へ移動できる人工衛星であれば、他の人工衛星等と衝突する可能性についてどのように把握するか、回避措置を行うかどうかの判断条件について定めることが必要です。

4 人工衛星の管理を実行する運用体制の構築

(1)管理組織・業務の明確化
業務の担当者や誰が責任を負うかについて、体制図等で明確にすることが必要です。
ガイドラインでは、通常の管理を担当する部署、JSpOC(国防総省戦略軍統合宇宙運用センター)からの情報の受信や対応を担当する部署の体制(ツリー図等)や各担当の業務内容について明確化しておくことが例として示されています。

(2)異常事態への対応
異常を検知するための監視体制や監視手段、異常を検知した場合の運用継続・停止に関するプロセスを定めることが必要です。
ガイドラインでは、異常事態発見時の連絡体制・連絡ルート、異常検知項目の内容、運用継続・停止に関する判断のためのフローチャートの準備等が例として示されています。

(3)セキュリティ対策
管理計画の重要な情報の外部流出・盗用対策や、外部から容易に侵入されないような対策を行うことが必要です。
ガイドラインでは、例えば、暗号化・ウイルス対策・定期的なチェックによる検知・発見ができるシステムの構築、情報セキュリティ規則の規定、設備への入退室管理方法や記録媒体の管理方法について定めておくことが例として示されています。

参考:
・人工衛星の管理に係る許可に関するガイドライン 内閣府宇宙開発戦略推進事務局

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