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3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達

宇宙ビジネスには金がかかる

ロケットの打上げ、衛星の製造・運用をはじめ、宇宙ビジネスには多額の資金が必要です。特にこれからサービスを始めていこうというスタートアップは、手元に何らかのプロダクトがあるわけではありません。
そのような状況で資金を確保するにはどのような方法があるのでしょうか?

資金調達の方法は2種類

資金を集めるには「もらう」「借りる」の2つの方法があります。
前者はエクイティ、後者はデットと呼ばれ、それぞれ出資、借金のことを指します。

出資(エクイティ):返さなくていい/経営権を渡す
出資は投資家からなされるのが典型ですが、タダでお金をもらうわけではありません。会社の株式や新株予約権の対価としてお金を出してもらうことになります。
ちなみに新株予約権とは将来株を買うことができる権利です。例えば、「将来100円で1株を購入できる権利」を30円で手に入れた場合、株の価値が140円を上回った時に権利を行使して100円で株を買い、すぐに売却することで10円の利益を得ることができます。スタートアップでは、企業価値が上がることへの従業員のインセンティブを確保するためにも新株予約権が与えられることがあります。
出資の場合、株が投資家の手に渡るので、あまりに多くの株が外部に出てしまうと会社のコントロール権が会社外の人に握られてしまうおそれがあるので注意が必要です。

借金(デット):経営権は確保/利息付きで返す
他方、借金は文字どおり借金です。株(経営権)を渡すことはないので会社のコントロール権を確保しておくことができますが、当然のことながら返済しなければなりません。もし、いわゆる「死の谷」を越えられなかった場合、破産などのリスクが伴います。また、利息がつくというデメリットがあります。

プロジェクト・ファイナンスとアセット・ファイナンス

お金を貸す側とすれば、返済してもらえるかどうかには大きな関心があるはずです。貸す側としても単に貸すというのではなく、お金を返してもらえるよう様々な工夫をしています。

プロジェクト・ファイナンス
返済の原資をプロジェクトから得られる収益から得るというものです。着目されるのが事業者というよりもプロジェクト自体という点がポイントです。プロジェクトを実行する事業体を別会社として設立し、事業者本体とプロジェクトを切り離した状態で融資を行います。
貸す側としては、事業者のリスクというよりもプロジェクトのリスクを集中的にチェックする必要が出てきます。

アセット・ファイナンス
事業者が衛星などの資産を購入するときに、資産の収益性に着目して組まれる仕組みです。例えば、銀行が事業者に融資しつつ資産を担保に取ったり、資産の購入代金を分割払いにして、完済時に資産の所有権が事業者に移るようにしたり、リースにしたりするということです(車のローンと似ています)。もともと飛行機の売買やリースで活用されていたストラクチャーで、資産を売却したらいくらになるか、その市場があるかどうかが重要ポイントになります。

まとめ

宇宙ベンチャーに限らず、スタートアップは資金調達が大きな課題です。
資金調達は奥が深く、様々なストラクチャーが考えられますので、引き続きテーマとして取り上げていきたいと思います。

参考:
・宇宙ビジネスのための宇宙法入門第2版 小塚荘一郎・佐藤雅彦
・これだけは知っておきたい!弁護士による宇宙ビジネスガイド 第一東京弁護士会

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