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読書感想文『成瀬は天下を取りにいく』
【成瀬は天下を取りにいく】
・2024年本屋大賞受賞作
個性が突き抜けている主人公は魅力的である。
ただし、成瀬あかりは天下を取りにいける魅力の持ち主である。この本を読んだことで、200年に及ぶであろう成瀬あかり史のほんの一時を見届けることができた。なぜ200年かは読んだ人なら分かるだろう。
性格を表現する言葉の一つに「真っ直ぐな性格」がある。成瀬あかりを表すなら、「真っ直ぐしか知らない性格
読書感想文 『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅳ』
【ビブリア古書堂の事件手帖Ⅳ】
今回は扉子栞子智恵子、3人3世代それぞれの17歳の物語。
鎌倉文庫という貸本屋と、夏目漱石の名著から3人が17歳の時の物語がひとつに繋がっていく。このシリーズを読み続けてきた人からすると結構豪華な一冊かも。
特に、智恵子や栞子は基本的に成人での物語だったので、過去編は新鮮であった。3人は、鋭い観察眼をしているところや本に対する好奇心とかは非常に似ているのだが(
読書感想文 『ガニメデの優しい巨人』
【ガニメデの優しい巨人】
『星を継ぐもの』シリーズ第2部
2500年前のガニメアン宇宙船が太陽系に帰還し、人間と邂逅することで、第1部で謎に包まれていたところが解明されていく第2部。
タイトルにある通り、ガニメデの巨人(ガニメアン)は優しい異星人だった。と言うより、優しすぎて人間の暴力性がよく分かった。作中でもガニメアンは地球を恐れている。しかし、ハント、ダンチェッカーたちがガニメアンが以前
読書感想文 『星を継ぐもの』
【星を継ぐもの】
・第12回星雲賞海外長編部門受賞
SF×宇宙
星をつぐものを読むまで、この組み合わせは「未来」を想起させる概念しか、私は持ち合わせていなかった。しかし、これを読んだことで、SF×宇宙に「過去」という面白さを概念に加えることができた。そして、SF×ミステリに「つまらない」は存在しないのではないかと思った。
帯に書いてある通り《月面で発見された5万年前の死体はどこからやってき