りょう 読書感想文

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最近の記事

読書感想文 『短物語』

【短物語】 物語シリーズ初の短々編集 なんと39もの短々編が収録されている豪華な一冊。 100%身近な(物語シリーズ内で)短な物語だった。 物語シリーズの醍醐味とも言える、キャラクターたちの軽快な会話のテンポと西尾維新さんらしい巧妙な言葉遣いが満載で大満足でした。 結構初期の頃の話もあって懐かしい話だったり、本編の余白を埋めるような話もあり、化物語からずっと読んできた読者には良い感じに刺さるんじゃないだろうか。 物語シリーズは章ごとに001から進んでいくスタイルだけ

    • 読書感想文 『彗星を追うヴァンパイア』

      【彗星を追うヴァンパイア】 人間とヴァンパイア、相反する存在から、人の未知への探究心を鮮明に描く作品。 導入として、人間とヴァンパイアもそうだけど、数学(研究)と怪異(ヴァンパイア)という2つの切り口があるところが面白い。 人の形をしたものがあるとして、それを未知と呼び、しかもそれが人間より格段に力がある。それを解明しようとしたときに、どこがどう違うのかって科学的に解明する発想は出にくいのではないだろうか。怖いし。 そこに焦点を当てて研究者視点を組み込み、物語にできてし

      • 読書感想文 『穢れた聖地巡礼について』

        【穢れた聖地巡礼について】 『近畿地方のある場所について』の著者、背筋さんの新刊 皆さんは、廃墟とか心霊スポットとか行ったことはありますか? 行ったことある、もしくは行こうと思っている、という人がいたら行かないことを強くお勧めします。この物語のようにならないためにも。まあ、勿論強制はしませんが。 今回は、心霊スポット突撃系YouTuberのファンブックをつくるという企画から、各地のスポットがどんな怪談のあるところなのかを深掘りしていく。 場所ごとの怪談の内容も怖いけ

        • 読書感想文 『ケーキ王子の名推理7』

          【ケーキ王子の名推理7】 約9年前、このシリーズに出会ってから訪れていた、毎日の変わらぬ読書時間において年1回あるかないかのスイーツタイムがついに終わってしまった。。。完全にロス。 このシリーズの良さを挙げるならば、出てくるスイーツが美味しそう、実際の店舗を紹介していて買いに行ける、未羽と颯人の恋模様、スイーツにまつわるトラブル、等々挙げればキリがない。 それほどたくさんの良さが詰まったシリーズだっただけに終わってしまうのが本当に寂しい。私は読み終わってしまったけれど、

        読書感想文 『短物語』

          読書感想文 『黒牢城』

          【黒牢城】 第166回直木賞 第12回山田風太郎賞 第22回本格ミステリ大賞 本筋は間違いなくミステリ小説である。しかし、読めばこの小説がそれに限らないことは多くが納得するだろう。 ミステリ小説の醍醐味は、もちろん謎が解き明かされるところだろう。だけれど、この小説はそこは確実に押さえながらも、ひとりの人間の思想に鋭く踏み込んでいる。そうすることで、ひとつひとつの謎が起こることの背景、過程、解決することの当人にとっての意味合いを緻密かつ克明に描き出している。 謎を解くに

          読書感想文 『黒牢城』

          読書感想文 『カフネ』

          【カフネ】 大盛堂書店さんでとても推されていたので購入。 間違いなく読んでおいてよかった一冊だった。 メインは野宮薫子と、その弟の元恋人である小野寺せつな。 全く性格の異なるふたりは薫子の弟春彦の急死から繋がり、「カフネ」という家事代行サービスを通じて徐々に距離を縮めていく。 カフネではチケットと呼ばれるサービスがある。これはカフネ利用者にチケットを発行して、家事代行者を必要としている人にチケットを渡してもらい、2時間無料で家事代行をしてもらえるというサービス。このよ

          読書感想文 『カフネ』

          読書感想文 『法廷占拠 爆弾2』

          【法廷占拠 爆弾2】 言うまでもなく爆発的面白さだった。 前作の『爆弾』で圧倒的存在感を放っていたスズキタゴサクが、今回被告人として裁判所に現れた。これだけの設定でも、前作を読んだ人なら絶対何かが起こることを確信できてしまう。 ただし、今回の主役はスズキタゴサクではなく、法廷を占拠したテロリスト。不運にも?テロリストに占拠された法廷に居合わせた人質達は無事に解放されるのか?スズキタゴサクはどんな行動をするのか?一時も目が離せない。(本は目を離すと読めない) このシリー

          読書感想文 『法廷占拠 爆弾2』

          読書感想文 『さよならの言い方なんて知らない。9』

          【さよならの言い方なんてしらない。9】 架見崎シリーズ第9巻 基本的には香屋歩が主人公の物語だけれど、今回の主人公は概ねユーリィだった。 これまではどんな場面でも飄々としていて、余裕しか見せていなかったユーリィのとても人間味のあるところが多々あり楽しませてもらった。 特に、タリホーとユーリィの関係性がよくわかる第二章『2分の1のヒーロー、1000分の1の死因』が刺さった。ユーリィが架見崎に来る前にあった物語とタリホーとの出会いが、ドラマチックに語られているんだけれど、

          読書感想文 『さよならの言い方なんて知らない。9』

          読書感想文 『キラキラ共和国』

          【キラキラ共和国】 ツバキ文具店の続編 今回は、あのぽっぽちゃんがミツローさんと結婚して、QPちゃんのお母さんとして、人生の新たな一歩を踏み出した一冊。 ぽっぽちゃんの書く代筆の手紙は、依頼主の要望に沿ったうえで相手を思いやる文面で相変わらずぽっぽちゃんの人間性をよく写していた。 ぽっぽちゃんが結婚報告の手紙を作成する場面がある。 紙飛行機を折って送るようにするのだけれど、(素敵な結婚報告だと思う)その時の表現で『〜家族三人の船出だ。』と書かれている。この紙飛行機は果

          読書感想文 『キラキラ共和国』

          読書感想文 『軽いノリノリのイルカ』

          【軽いノリノリのイルカ】 満島ひかりさんの回文に、又吉直樹さんの物語。 素晴らしい本と出会った。確信。 この感情は全くもって新しくて、こんな気持ちになるところが自分の中のどこにあったのかと驚く。 回文の不思議な魅力に魅せられた。 回文の魅力ってなんなのだろう。シンプルに上から読んでも下から読んでも同じになるところに面白さがある様にも思うし、普段の文章とは違った区切り方によって生まれる新しい語句との出会いであるかもしれない。この本は間違いなくどちらの魅力も満載である。

          読書感想文 『軽いノリノリのイルカ』

          読書感想文 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』

          【ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる】 シリーズ21巻目! 今回は ・ショコラな恋人たち ・あなたのマグネット ・かどわかしの山 どれも黒い影が存分に揺れていた。 特に好みだったのは第二話のあなたのマグネット。  妻を亡くした男が、転勤で妻に苦労をかけたことを後悔していたんだけど、ラストがとても感動的。 櫛木理宇さんのこの『ホーンテッド・キャンパス』シリーズの好きなところは、ホラーが主軸なんだけど、ただホラーな物語一辺倒ではなく、ホラーな感じで読み進めていくと

          読書感想文 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』

          読書感想文 『葉桜の季節に君を想うということ』

          【葉桜の季節に君を想うということ】 ・日本推理作家協会賞 ・本格ミステリ大賞 ・このミステリーがすごい!2004年版 ・本格ミステリベスト10 2004年版 上に挙げた通り、これは2004年のあらゆるミステリー賞を総なめにした小説である。 もちろんミステリーの完成度には感嘆であった。しかし、最も驚いたのはミステリーの完成度もさることながら、伏線回収の切れ味である。 物語の大枠として、『霊感商法の調査をして真相を解決する』としながら、話が脱線していたり、過去の話が出てき

          読書感想文 『葉桜の季節に君を想うということ』

          読書感想文 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

          【アンドロイドは電気羊の夢を見るか?】 ・ローカス賞 ・映画化名「ブレードランナー」 人間と、アンドロイドを対比することで、人間の共感性や感情移入といった感性が如何に素晴らしいことであるかを感じることができる。(もしこれを読んでいるアンドロイドがいたら、このような表現をご容赦ください) これは、第三次大戦により、生きている動物を所有することが地位の象徴となった世界が物語。 主人公リックは人工の電気羊しか所有していかなかったが、本物の動物を手に入れるために、懸賞金のか

          読書感想文 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

          読書感想文 『スピン/spin 第8号』

          【スピン/spin 第8号】 日常に「読書」の栞を というより、読書に「スピン」という「栞」を になってしまっているこの生活も、気づけばもう半分が終わってしまった。 天袮涼さんな新連載 「県警の番人」は定年間近の警官に隠された(隠した?)真実に迫る物語のよう。このパターンだと、真犯人を庇っているのかも? 最果タヒさんの詩集、今回は新世紀エヴァンゲリオン 各キャラクターをモチーフにした詩は、読んでいると人物たちの映像がオーバーラップしていく。 高野水登さんの「ロンドン橋

          読書感想文 『スピン/spin 第8号』

          読書感想文 『地雷グリコ』

          【地雷グリコ】 ・本格ミステリ大賞 ・日本推理作家協会賞 ・山本周五郎賞 ルールを追加するとは事前の情報で知っていたけど、誰でも知っているあの遊びたちが、こんなにも面白く頭脳戦となる遊びに変わるとは思いもしなかった。 グリコ→地雷グリコ 坊主めくり→坊主衰弱 じゃんけん→自由律ジャンケン だるまさんがころんだ→だるまさんがかぞえた ポーカー→フォールーム・ポーカー 高校一年生の一見ヘラヘラしてみえる射守矢真兎(いもりやまと)が一風変わったゲームに挑んでいく。その姿はゲ

          読書感想文 『地雷グリコ』

          読書感想文 『スピノザの診察室』

          【スピノザの診察室】 ・2024年本屋大賞第4位 スピノザ オランダの哲学者らしい。。。 スピノザのことは全く知らなかったし、哲学のこともよく知らない。でも、この本に出てくる雄町哲郎先生(マチ先生)がスピノザを評価しているのなら間違いなく素晴らしい哲学者なのだろう。 医療のイメージって、この本を読むまでは科学、技術、知識、経験、薬、、、色々思い浮かぶものはあったけれど、この本を読んでそこに祈りのような概念的なイメージが追加された。 それは、医療ひいては人間が万能ではな

          読書感想文 『スピノザの診察室』