読書感想文 『葉桜の季節に君を想うということ』
【葉桜の季節に君を想うということ】
・日本推理作家協会賞
・本格ミステリ大賞
・このミステリーがすごい!2004年版
・本格ミステリベスト10 2004年版
上に挙げた通り、これは2004年のあらゆるミステリー賞を総なめにした小説である。
もちろんミステリーの完成度には感嘆であった。しかし、最も驚いたのはミステリーの完成度もさることながら、伏線回収の切れ味である。
物語の大枠として、『霊感商法の調査をして真相を解決する』としながら、話が脱線していたり、過去の話が出てきたりで読んでいて物語の共通点というか、繋がりがイマイチ見えてこないように感じていながら読んでいた。もちろんこれは著者の思う壺だっただろう。
霊感商法の調査だけあって、読んでいてしんどい場面も多々ある一方で、偶然出会った麻宮さくらとの展開は恋愛要素を含んでいて読み進めやすい。この2つの同時進行に加えて、将虎の過去の物語が実は後々重要な意味をなしてくる。
読めばこの物語のこのミステリーの真相に誰もが驚き、今で尚書店で目立つところに陳列されている理由がわかる。ピースとピースが繋がるというよりも、完成されたパズルが一気に目の前に現れるかのごとし切れ味のある種明かしであった。
ぜひとも成瀬将虎と麻宮さくらの“普通ではない”恋愛模様を至極のミステリーとともに味わってもらいたい。
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