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ファッションとにじさんじ🌈 ーーコスプレ、普段着、2.5次元、そして更新されていくスタイル

ケータイ電話が日常のコミュニケーションの主流となり、現実とヴァーチャルな世界との境界が限りなく曖昧なものになりつつある今日、ファッション、モードの世界はかつての規範からときはなたれた人びとの思い思いの「てつがく」の交響の場となっている。                                          鷲田清一『てつがくを着て、まちを歩こう ファッション考現学』背表紙より

はじめに ーー海を越えたかわいい文化とキャラクター文化


Vtuber以前に、2010年前半のカワイイ文化やそれ以前のゆるキャラを筆頭に、3次元の世界で現実と虚構が逆転するようなファッションは流行していた


こうした「カワイイ文化」やオタク文化的な記号性は、特に80年代音楽とファッションの再流行の波や、ハローキティの人気、村上隆氏の芸術活動により、アメリカにも伝播し始めている

バーチャルユーチューバーについて語る知り合いの話を聞いていて、不思議に思ったことがある。バーチャルユーチューバーは、IT技術がないと存在しえないものであるため、どうしても語り方が「バーチャルとしてのすごさ」や「技術力」の話、またにじさんじの場合、始まりがアンダーカルチャーに近い文化(月ノ美兎のマイナーな映画や文化に対する語り)から始まったこともあり、オタクっぽい目線になりがちである。

ここまでやるといかにもバーチャルだったり、異世界転生していそうな感じである

それはそれで間違いではないのだが、にじさんじの方の動画を実際に見て見ると、むしろYouTuberの方がおしゃれを語るのと同様、ストレートにファッションの話をされている方も多い(めっちゃ楽しそう)。これは、「オタク文化」という一段大きい枠組みで考えると、むしろVtuberがこれだけ流行できる要因には、きゃりーぱみゅぱみゅさんの存在からわかるような、「オタク文化の一般化」や「二次元と三次元をつなげるようなファッションの流行」という要素が考えられそうである。


星川サラさんや、鷹宮リオンさんは季節ごとのファンのファッションチェック放送を行っている(まぶしい)


さらに、にじさんじの場合、「新衣装お披露目」が各ライバーにとって大事な日として、「3Dお披露目配信」と同じく盛り上がることになる。それは、ライバーさんとデザイナーさんが「どうやったらファンに気に入ってもらえるだろうか」と考え込んだデザインの発表は、それだけドキドキするものだろう。


1年以上長髪だった長尾景くんの断髪式の様子は、ファンも熱い目線で見守った

イラストレーターYuzukiさんによる、にじさんじライバー・フミ様の設定画。刀の持ち方や鍔、光り方や服の柄までこまやかにデザインされている。このようにイラストでデザインを行ったものを、ライバーがそのまま着てくれるのも、魅力である。

今回の記事では、Vtuberの文脈を踏みつつも、ファッションの歴史を考えることのできる記事をまとめた。ファッションは文字通り趣味のレベルが大きくでる分野であるため、哲学と美学に関わる文章以外のところは論理というよりもむしろ読んだ人のインスピレーションの元になるように、幅広い文脈から記事を配置している。

ファッションはおそらく冒頭引用した鷲田清一氏の引用にもあるように二次元と三次元を橋渡しすることのできる臨界点である。ポケモンのようなIPではないぶん、人型のVtuberは現実の人と同じ服を着て行動ができる。

にじさんじの文脈で、自分が考えていたのはこれからのVtuberの成熟期に備えてのことである。にじさんじのライバーさんを見ていると、徐々にではあるが、テレビやゲーム展覧会、音楽業界など、他の世界でも活躍する人が増えて来た。また、活動が長引いているライバーをずっと追ってきた人は、三年以上追う、つまり視聴者側も卒業や就職などの節目を迎えている可能性が高い。つまり、いままで通り、ずっとライバーの近くで活動を追うことができなくなるかもしれない。また逆に、Vtuber以外の文脈(つまり、VtuberをVtuber以外の文脈で見る人たち)の流入も、大手事務所の拡大方針を考えると避けられないだろう。

Vtuber「電脳女将・千鶴」を考案した渡辺健太さんは、2020年の豪雨災害で亡くなった。彼を偲ぶ人たちは、温泉に集まりコスプレのイベントを今も続けている。

「ベルセルク」の作者、三浦健太郎さんが亡くなった際、北米のFFプレイヤーたちは「ベルセルク」の主人公ガッツを思わせるキャラ「暗黒騎士」の姿でフィールドに集まり、氏の追悼を行った


必要なのは、Vtuberご本人からリアル側の事情で離れていても、また戻って来られるような工夫、あるいは―—Vtuberの方が引退され、その存在を消えても、その思い出を残しておくための工夫となる。バーチャルユーチューバーは、その存在をキャラクターとしてずっとネットに残し続けるかもしれないが、その中の人も、視聴者も、少なくとも現在、基本的に人間である。人間は、ずっとバーチャルに生きられない。ならば、持ち帰れるものは、おそらくアクセサリーなどの形見だろう。

ファッションやアクセサリーは、これから世俗化・一般化していくだろうバーチャルユーチューバーを思い出すうえでなくてはならないエレメントである。そして、アクセサリーなどを真似ることは、推しからもらったものを現実に持ち帰る時にもっとも手軽に行える二次創作(解釈)になる。その世界を、少しだけ覗いてみよう。


にじさんじの衣装については、少し古い動画だが、こちらの切り抜きに詳しい。また非公式wikiを参照することで、直接設定画にもふれることができる


サムネイルはしまむら×にじさんじコラボアイテムより。地元で見に行ったら狙いのアイテム売り切れていた…

ファッションに力点を置くため、今回はあまり言及できないがにじさんじライバーの方がバーチャルの世界で活躍できるのは、ANYCOLOR株式会社のデザイン・Live2D技術に関わる従業員の方の努力がある。


にじさんじオフィシャルストアでは、ライバーさんご本人がデザインしたグッズが売っている


(2021/10/03追記 アパレル事業に踏み切ったにじさんじ)

この記事を投稿した2日後に、にじさんじはファッショングッズを発売することを発表した。私は回し者ではない(小声)




「ファッション」タグから読まれる方へ ーー二次元と三次元のアパレルがつながる時代へ



ニュースなどを見ていても、昨今のコロナで人々の外出が難しくなり、アパレル業界の苦しい話を目にするようになりました。こうした状況を打開するために、多くの企業がVRなどIT技術を活用しはじめています。あつまれ どうぶつの森は特に、各種ブランドとコラボするなど注目されているようです。

私は、あまりファッション雑誌などを読む人ではないのですが、にじさんじを見ている際に、明らかにグッズ販売の方向で、面白いことをしているのをちょこちょこ目にしました。



Vtuberには、悪魔や柴犬のようなふっとんだ姿のキャラも多くいるのですが、その多くは人間の姿をしています。つまり、「Vtuberと同じような服を着る」のに関心がある人も多いのかな~と考えたりします。

この記事は、ファッションとバーチャルの話の双方に少しずつ目を向けて、どちらもに役に立ちそうな記事や考え方を自分向けにまとめたものになります。正直、文章では限界がある分野なので、かなりリンク集のような形になりましたが、お役に立てば幸いです。


VRChatの世界では、すでにファッションブランドcholmaが色々なアバターに合わせて着ることが出来る衣装をVR世界で発表し、さらにそれを現実でも販売することになった。


イラストレーターの中でも、ファッションデザイナーと並行した活動をされている方は数多くいらっしゃる。『ストップ!!ひばりくん!』の作者江口寿史さんは、特にそうしたファッションにも影響を与えたマンガ/イラストを描き始めた先駆者でもある。おそらく、Vtuberはこうしたファッションデザインとサブカルチャーのぶつかった位置に存在している


アバターの外見は人の気持ちと行動を変える ーープロテウス効果と変身願望

Vtuberの世界で、今話題になっているのが「プロテウス効果」である。これは、自分が成り代わったアバターによって行動様式が変わってしまうという効果のことで、VR技術の発展と共に研究が進んでいる。

Vtuberになる人の多くはこの「変身願望」について言及される方が多い。これは、ファッションで着る服の色を変えて気分を変えるような「変身」の、延長線上にありそうである。またVtuberには「RP(ロールプレイング)」という文化も存在している。これは、コスプレと同じく、自分が変身したキャラのフリをして行動するなり切りの文化である。




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Vtuberとおしゃれ ーー美学者・難波優輝氏と哲学者鷲田清一の論考から

分析美学・ポピュラー文化論が難波優輝氏は、「おしゃれ」という言葉に注目してバーチャルユーチューバーの可能性を考えている。以下の要約は動画「361°アートワークス配信「バーチャル美少女学のための10のガイドトーク 1時限目」を参照している。

「おしゃれ」とは「人に見られることを意識しつつ、自分の姿を自分の理想に基づいて操作して、人に見せること」とまずおおまかに定義する。そこから、「装い」という概念は、人に見られることを意識した装いと意識しなかった装いがあり、ここでは主に前者の装いを考える。

ここで、難波氏のバーチャルYouTuber論の核である「ペルソナ」という用語が出てくる。上記の記事「制作するペルソナ:バーチャルYouTuberの"新しい生"」から、「パーソン」「ペルソナ」「キャラクタ」を整理すると、

パーソン →中の人(物理的な自分)                                    キャラクタ→アバターや絵                                         ペルソナ →キャラクタの上に乗っけられた、Twitterや歌などの自己呈示により作り上げられた、あるバーチャルユーチューバーの「共通理解

となる。

社会学者ゴフマンによれば、人は自分が理想としている自分を「自己呈示」という。(例・白衣を着たお医者さんが、賞状を後ろに掲げることで、信頼を得る)

「ペルソナ」とは自分の現れのことである。イデア(理想)を身体/パーソナリティとの関係性において、装いをして、ペルソナとして提示をするのが「おしゃれ」なんだ、というのが難波氏の理解である。この時、おしゃれというのは必ず自分の身体(身長や体格、性格)を介さなければできないものであるのがポイントである。その中で生まれたそのひとらしさの表現こそが「スタイル」である。

では、いくつもの身体が存在しているバーチャルユーチューバーの場合、どうだろうか?

デジタルなおしゃれの実践はMMORPGやセカンドライフと言った実践で行われてきたため、長い歴史が存在している。ここでは、前述の現実のおしゃれとは違い、身体の制約が存在していない。ここでは、バ美肉のような「異なるジェンダーの表象を装うことに倫理的問題はあるのか」という議論も深く行う必要があり、また、この目線からバーチャルユーチューバーの「おしゃれ」についても語ることができるだろう。


動画中で引用されたFAVRICは、2019年に行われたバーチャルユーチューバーによるファッションショー。にじさんじからは樋口楓さんが出場していた。

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さらにもう一人、ファッションについて考えた代表的な哲学者を紹介しよう。高校の国語の教科書にも選ばれた、鷲田清一氏は、フランスの哲学者ミシェル・セールを引用しながら興味深いことを述べている。

身体の内部から外部に引きずり出された模様、いわば内側からプリントされた柄については、フランスの哲学者ミシェル・セールがとてもおもしろい説を立てている。彼によれば、皮膚がそれ自身へと折り畳まれる場所、皮膚の面と面とが接触する場所(たとえば重ねられた唇と唇の間、舌を押しつけたときの口蓋、噛み合わせた歯と歯の間、閉じられた瞼、収縮した括約筋、拳を握りしめたときの手、押しつけあった指、組み合わされた腿と腿との間など)に<魂>が誕生するというのだ。(中略)                 衣服も刺青も、かつて<魂の衣>としてあった。衣服と入れ墨は、視覚的なものとして外側からプリントされるのではなく、むしろぼくらの存在の内側から外側へ向かってプリントされたものだった。化粧のことをフランス語で「コスメティック」というが、この語は「コスミック」[宇宙的]とともに、ギリシャ語の「コスモス」という言葉からきている。化粧も刺青も、ともに身体の表面のペインティングとしてあるが、それはぼくらの内部環境としての<魂>と外部環境としての宇宙をいきいきと交流させるメディアであった。鷲田清一『ちぐはぐな身体 ファッションって何?』p144-146

鷲田清一氏のファッション論で大事なのは、「人間にとっては鏡がなくては基本的に自分の見た目は部分的な<像>としてしか認識できない」という前提である。そのため、衣服や化粧は自分の内側と外側という境界をどれほど出すのか、どれほど隠すのかによって、複雑な加工を人間の身体に及ぼす。

この部分は非常に詩的な文章であるが、バーチャルユーチューバーで「魂」という言葉が頻繁に使われていることと合わせて考えると、色々考える部分んが出てくる。




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難波さんの講義を聞いた感想。実は、Vtuberの話を最初に聞いた時に思い出したのは、マイケルジャクソンのことだった。彼はメディアによって理解される自分と、本人の乖離に苦しみながらも、その苦しみそのものを作品として昇華した人だった。この曲、Behind the mask(文字通りペルソナ!)はマイケルジャクソンが亡くなる直前、YMOのカバーとして提出している。

ゼロ年代批評においては、パーソンがない存在であるキャラクターがインターネット上を流通する「二次創作」が特筆するべき存在とされていた。パーソンが無いため、初音ミクはその存在を薄くすることができた。一方でVtuberはパーソンから離れることができない。ただ、これほど「パーソン」がある存在に対して二次創作が集まった文化も珍しく、色々考えられることは多い。(詳しくは上記二つの文章に書いている)




ヘルエスタアーマーは、人身実験に失敗したかのような衣装


にじさんじ内でもたびたび、衣装コンテストが行われている。先日、ソロイベントの決まった葛葉くんが、ただいま募集中



森中花咲さんとえま★おうがすとさんは、場合によって大人になったり子供になったりする。特に森中さんは大人の姿でメジャーデビューすることになった


ファッション初心者向けの入門 ーー轟京子さん

轟京子さんは、ファッション初心者向けの動画を出している。ご本人も他のライバーの方の衣装を作成する活動をされているので、デザイナーの人が何を考えているかリアルタイムで見ることができる。

表紙は、にじさんじ関係でも時々名前を聞く『ゆるゆり』のなもり先生

にじさんじの絵として出てくるファッションをいきなり日常生活に取り入れるのは、カラーリングの関係含めて難易度が高い可能性がある。ちょっとぎょっとするタイトルであるがこの本のような指南書からはじめ、まずは清潔感のある恰好を目指し、そこから挑戦してみるのがありかもしれない。ハードルは低めからはじめよう。


ファッションについては、こうしたコーディネート図鑑も存在している。最初からこうしたカタログを見ると目移りして時間を使いすぎてしまうかも

相羽ういはさん、轟京子さんは、にじさんじFes2021のために自作衣装を作っていた。


コスプレとバーチャルユーチューバー ーー<非日常>



風の噂で聞いたことがあるのは、Vtuberになる方の中には、コスプレをやっていた人が多いということである。YouTubeで検索すると、多くのにじさんじのコスプレや踊ってみた動画がヒットするので、是非みてみてほしい。


コスプレ文化は海を越えて人気


最近ではミュージカル『テニスの王子様』や舞台『刀剣乱舞』の人気とともに、自らの身体でキャラクターを再現する「2.5次元文化」と呼ばれるものも人気である。『戦国BASARA』や『うたの☆プリンセス様』についてのブログを見て見ると、Twitter(つまり劇場の外)でも俳優たちがキャラに成り代わって発信を行っており、「本来そこにはいないはずの対象」を存在させるために、俳優は自らを消していき、ファンと役者の間に共犯関係(つまりロールプレイ)を成立させる。



『踊ってみた』シリーズは、現在アイドルグループ「でんぱ組。」に所属している愛川こずえさんが『ルカルカ★ナイトフィーバー』を踊ってみたを投稿したのが始まりと言われている。2011-2013年には小中高でダンスが必修化され、その後三浦大知が人気になるなど、徐々にダンスに対する若者の注目は集まっていった。『踊ってみた』の中には、コスプレと組み合わさって原作をとんでもないレベルで現実で再現させたものもある。



「2.5次元演劇」や「踊ってみた」そして「コスプレ」は、Vtuberと部分的に重なりあう部分も多く、こう見ると突然現れたように見えるVtuberも、ニコニコ動画から続くネット文化の一部のように見える。




にじさんじのコスプレも、時期が時期ならばコミケに大量に表れていただろう。


コスプレに欠かせないのが裁縫の知識である。コスプレ衣装は基本的に市販されていないため、自分でイラストを確認しながら布の質感、型紙、裁断などを行う。市販のコスプレ衣装はなかなかのお値段になるため、金銭感覚がくるってしまうという話も聞いたことがある


コスプレもまた、解釈の問題などがあり、暗黙のルールが打ち立てられている



普段着を着るVtuberたち ーー<日常>と結びつくVtuber

げんじさん、in Livingさんのようにご近所付き合いの感覚で、おススメの日用品を紹介するYouTuberは数多くいらっしゃる。

今回の記事を書くきっかけになったのは、星川サラさんの服装チェック系動画を見た時に、「そういえばVtuberって意外とアニメチックな服装だけじゃないよな」と気づいた所からだった。コスプレの場合、どちらかというと踊りや歌のようなショーのような、華々しい舞台に似合うものになりがちである。

一方でにじさんじのような大手事務所になると、イヤリングやカチューシャ、メガネのような小物類や、髪型、部屋着や寝間着まで、一人のライバーに複数の日常的シチュエーションに対応する服が作られている。

以下は、私が見た感じコスプレではなく普段着的に着ることができるかな…?と感じたものである。ただし、Vtuberの髪色は緑や強い金色といった、染めなければ出せない色合いもある。




ファッションの偉人たちとファッションの歴史


音楽とファッションの様式は、ワンセットで語られることも多い

ここから先に上げるデザイナーの名前は、この本を参考にしている


ファッションデザイナーの先駆けたち ーーデザイナーの誕生とコルセットからの解放



ココ・シャネル ーーモダニズムと自立の精神


エルザ・スキャパレリ ーーファッションは芸術である


クレア・マッカーデル ーーアメリカンカジュアルの確立


ディオール ーーオーガニックモダニズム


マリー・クワント ーーミニスカートの誕生


ヴィヴィアン・ウエストウッド ーーパンクファッション


トピック:矢沢あいとパンク ーーNANA


コムデギャルソン ーー日本発の「ボロルック」



マルタン・マルジェラ ーーリアルクロース


(おまけ)ドルチェ&ガッバーナ





さらに広く、さらに古く ーークラシックファッションと職業服、民族衣装

シスター・探偵・ナース・FPS服・軍服・ホスト・ウェディングドレスなど、職業や場面ごとに特徴のある衣装を着ているライバーも多い。それぞれの服装に、なぜこのような形態があり、どのような道具が使われてきたかを調べてみると、実はただ来ている服装が社会的な意味を持っていることを深く知ることが出来る。



民族衣装は、その土地の環境、習慣、宗教によってそれぞれの国で特色が出る。さらに時代によっては機能美、華麗美…など美の定義も異なる



ユニセックスの服 ーー多様性の時代へ

多様性を尊重する社会を目指す中で、ファッション業界でも男女どちらも着ることのできる服が注目を集めている。


緑仙やメリッサさんの場合、来ている服はかなりユニセックス性が高いものが多い(男女どちらでも着ることができる)

日本のファッション史  ーーTOKYOとファッション、織物と日本の装飾史




現代の有名デザイナーたち

あまりに最新すぎて、まだジャンルをどのように定義づけてよいかはわからないが、カニエウエストをはじめ、現代でも多くのファッションデザイナーが活躍している。



音楽の世界において、ファッションの文脈で外せないのは海外であればDavid Bowie、日本では椎名林檎だと私は考えている。二人とも、発表した曲に合わせてペルソナを作り出し、そのペルソナにあった独自の衣装を次々と作り続けるスタイルを貫き通している。


アイドルとヒップホップ ーー音楽目線から

アイドルの衣装については、正直綺麗な歴史を描くことは困難だが、複数名で同じファッションを取ることによる独特の統一感を出そうとしている


HIP HOPの衣装は、特にRUN DMCがアディダスの曲を作ってからというもの、強くスニーカーやジャージへのこだわりを見せている


サイバーパンク ーーSFからやってきた、Vtuberに大きな影響を与えた衣装

意外とにじさんじでは言及が少ないが、サイバーパンクは存在そのものがインターネットと切り離せないVtuberにとって、通奏低音のような役割を持っている。




化粧/メイク ーーガンプラとまさかの共通点…?!

Vtuberの場合、メイクしているところを直球で見ることはできないが、特に朝日南アカネさんのチャンネルを中心に特集されているのが「メイク」である。


ガンプラをよく制作されている加賀美社長は、ガンプラとメイクの共通点を発見した


小物類/その他 ーー誰でも持っている自分だけのとっておき

In the bagシリーズや、かかせない10アイテムシリーズを探すと、他の人が使っている必需品を知ることが出来る

かなり範囲が広いが財布、香水、アクセサリー、手帳といった小物類は、凝り出すと止まらないが、日常生活にちょっとした花を添えてくれる。



ライバーが直接身に着けているものでは、こんなものが商品になっていた。にじさんじのグッズは受注生産や期間限定が多いのも注意してほしい(一匹と一人本人が封入されているが気のせいである)

月ノ美兎委員長自作のグッズ。つけたら呪いで取れなくなりそう



髪型

罰ゲームとしてだされた坊主ヘアがまさかの似合ってしまう場合も

Billie Eilish "NOT MY RESPONSIBILITY" ーー現代社会とファッション


今や世界で一番有名になったアーティストのビリーアイリッシュが、この衣装を着るまでには自分の抱えるコンプレックスとの葛藤や社会の目があった。

VOUGEやGQ Japanのようなファッションやカルチャーを取り上げる媒体でも、ファッションにおける色々な問題が取り上げられている。ファッションは、身体と自分の思想が入り混じる、他人に見える部分であるため、どうしても社会の問題とぶつかることがある。私はビリー・アイリッシュのファンなので、彼女が巻き込まれた様々な問題を見ると、何とも言えない気持ちになる。ここにあげたのは、そうした問題の例たちである。


終わりに ファッションはそれぞれの想いから

にじさんじのリゼさんは、先日ある独特な方法で新衣装を発表した。この服のデザインをされたのは、リゼさんのデザインを手掛けられた藤ちょこさんである。

この記事ではマクロからミクロへ(大きな枠から個人のスタイルを見て見る)形でファッションを捉えている。しかし、ファッションは個々人が抱えている思いが直接現れる場所であり、さらに価値観が多様化する時代においては、いよいよ様々なジャンルがまじりあい、ひとつの衣服にいろんな意味がどんどん重ねられていく。だから次に必要なのは、全てを網羅するのではなくて、ある人がどんな思いでその衣装を選んだのか、しっかり考えるミクロの視点かもしれない。

Vtuberとファッションはこれからどんな形でまじりあっていくだろうか。 私には予測もつかない。


noteの化粧やファッションタグには、それぞれの人の想いが現れている。

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