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事業はニーズからなのか、シーズからなのか 第2回

自転車のペダルを逆足から漕ぐ

さて、前回、事業創出はニーズからなのかシーズからなのかは、自転車を右足から漕ぐか左足から漕ぐかの違いではないか。そしてニーズからスタートする場合の方法について記述をしてきました。

今日は、逆足から漕ぐ場合。つまりシーズスタートの場合の考え方について記載をしていきたいと思います。

シーズスタートの場合はプロトタイピングが大切

実際に一緒にプロジェクトに取り組む際に、シーズからスタートをしていく事もあります。売りたい未完成の製品、技術が手元にあるが、お客様像が明確ではない、というスタートの方法です。特に企業内のアセットを活用した新規事業を行いたいという目的の場合は、こちらの形が多いようにも思います。

この際にやる事は、お客様となりうる方を探し、試作品を使ってもらい、フィードバックを得ながら改良し、最終的な製品・サービスに仕上げていくという進め方です。この方法をプロトタイピングと言います。

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「あれ??」と気づかれた方もいらっしゃるかもしれません。結局、お客様になりうる方を探すという事は、ニーズの確認をしているのです。また、逆にニーズスタートで事業を創る場合も、次のステップでこの方法を用いて、得られたニーズに対して正しい価値をもつ製品・サービスが作れているのかを確認していきます。


目的なきリーンの罠

このような開発手法は「リーン・スタートアップ」と呼ばれ、普及をしていきました。しかしこの手法を知っている人も多いですが、現場ではうまく使いこなせていていない場面も多く見かけます。

罠1「今、何を確認しているのか不明瞭」

特にシーズスタートな場合、顧客像の確認も並行して、プロトタイピングが担いながら進んでいきます。今回の検証目的が一体何なのか?どのように評価するのかが、決まっていないままスタートするケースがあります。

リーンと闇曇りは違います。チームメンバーやステークホルダーとも、ここの意識合わせは大切で、実働後にそれぞれのポリシーが異なっていたり、評価の方針がなかった場合、それぞれが自由に解釈し、仲違いや交渉の決裂につながってしまう場面を見かけてきました。

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ではどのように解決すればよいのでしょうか。

些細なことですが、上図のように、1回目の目的と現在正しいと思っている仮説を明文化してみると良いでしょう。そして1回目から2回目に移る際に、1回目の検証で得られた新しい発見により、その内容を上書きしていきます。このように記録を残すだけで、自分たちが何をしているのかを見失う事を回避できます。

検証が進んでいくと、上図の縦軸の項目には、「必要な機能」「コスト」など、より具体的な項目が増えてきます。

最終的には、これで事業が回せるな!と自信が持てたところ、或いはステークホルダを説得できるな!と思えたところでストップをすればよいのです。

罠2「自分だけ知っている」

さて、罠1を回避できたとして、それをプロジェクトオーナーだけが胸のうちに秘めている事が良くあります。これは大きな罪です。チームの仲間は、本製品を作る手前で制作作業に入る訳で、この活動は直接は、各人の実入りに直接繋がらない事が多いのです。そんな活動の目的や理由の説明もなしにスタートすることは不誠実です。まして、検証の評価タイミングで「作ったものが良くない」と聞こえるようなフィードバックが飛び出たら、不満が噴出してしまいます。

プロジェクトオーナーの方は実に忙しいのは事実です。しかし、忙しい中で取捨選択をしていく際に、ここだけは捨ててはいけません。仲間や協力してくださったお客様を大切にしてほしいと思います。「こんなに頑張っているのに!なんでだ!」と後で後悔をしないためにも、重要なポイントだと思います。


R&Dと営業担当者の素晴らしき連携

最後に、少し事例を紹介しましょう。ある、大手素材メーカーさんの組織的なイノベーションの取り組みが素晴らしい、というお話です。

同社では、R&D部門が日々新しい技術の開発に臨んでいます。基礎研究と呼ばれる、製品の裏に活きる根幹の技術です。まさにシーズ。そこで生み出された技術は、R&Dの技術ポートフォリオとしてストックされていきます。

次に、同社の営業担当者は、お客様である製造業に出向き、そこで新たな需要を発掘してきます。ここでの特徴は、この営業担当者の皆さんは、R&Dで開発された新たな技術について、実に深く理解をしている点です。お客様の需要に対して、自社の技術を混ぜ合わせた際に出来上がる製品をイメージして提案します。

その先で、ストックされていた技術を加工し、数回のプロトタイピングを重ねたうえ、最終的な製品としてお客様へと納品をしていきます。

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組織的なシーズからのイノベーション創出の事例と言えるでしょう。

こう考えると世の中、すべてが教科書通りではないようです。上記の素材メーカーの例では、化学の知見に富み、かつ技術応用のイメージを作る事ができる営業担当者の存在は大きなポイントかと思います。目的や、組織の持っているアセットに合わせて、プロセスを設計することが良いのではないでしょうか。


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