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読書日記

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#小説

読書日記〜あのこは貴族〜

読書日記〜あのこは貴族〜

知らせは突然。冷蔵庫の残りもので作った簡単な炒めものをつまみながらチューハイを片手にネトフリアニメを流し観るいつも通りの夜。突然「ポロン」とスマホが鳴る。「また親からのLINEか」面倒に思いながらスマホを覗くと「お久しぶり」の文字と見慣れない名前が見える。誰、何事。恐る恐る画面を開く。ビジネスメールのような簡素な文面が結婚と伝える。送り主は旧友から。

彼女は私の親友。中高時代の1番の親友。卒業後

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読書日記〜リスを実装する〜

読書日記〜リスを実装する〜

朝のアラームが鳴り無の中から無理やり目をこじ開け、働かない頭でスマホを手にとりSNSを眺めることが日課。顔認証でスマホを立ち上げ、指が自動的にSNSアイコンを探り文字を追う。自分の眠った間に交わされた面白いお喋りを見逃さないよう投稿をじっとりと遡る。知り合い達の会話の応酬に参戦したい気持ちもあれど時間が経ったやり取りを無理やり蒸し返すのも野暮。じっとりとした気持ちを残しつつ止めどなく続きゆく文字列

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読書日記〜儚い羊達の祝宴〜

読書日記〜儚い羊達の祝宴〜

あと少しでお休み、金曜日。月曜日から走って息切れ気味な金曜日に読んで欲しいのは「儚い羊達の祝宴/米澤穂信」 

最後の1文に殺される。 本作程、物語の終わり方が分かり易く幸せでおぞましく綺麗な物語は中々ない。物語は5つの短編集構成。

・完璧主義により倫理を踏み外してした子の話
・欲に任せ兄を殺した子の話
・冬の山荘にお客様を饗す為に人を消した子の話
・自分の敬愛する主人に尽くしどんな命令にも応え

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読書日記〜中原中也全詩集〜

読書日記〜中原中也全詩集〜

まだ週の真ん中、木曜日。頭を空っぽにして楽になりたい時に読んで欲しいのは「中原中也全詩集」 此処で突然の詩集?ゆあーんゆよーんゆあゆよんの「サーカス/中原中也」で有名な彼の作品は独特の文字遣い、歩調により優しい描写が可能なことが特徴的。私が特に大好きなのは「春日狂想/中原中也」

彼の詩にはあまり喜び、俺は頑張るみたいな正の感情は多く出てこない。その場に置かれた人にとっては至極辛く悲しい状況を軽快

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読書日記〜他人事〜

読書日記〜他人事〜

1週間の真ん中は何もしたくない。重怠い仕事、課題も全部ふっ飛ばしたくなる水曜日に読んで欲しいのは「他人事/平山夢明」

胸糞悪い話が勢揃い。特に秀逸なのは短編集の題名でもある他人事。 倫理って?道徳って? 私達が今まで生き一生懸命学び体得してきた平和な世界を作る概念を本作は一瞬で破壊。交通事故により妻、同乗していた幼い娘が瀕死。主人公も脚を挟まれ身動きがとれない状態。現れた男に主人公は助けを頼む。

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読書日記〜後藤さんのこと〜

読書日記〜後藤さんのこと〜

課題も仕事も山程あり他人からはよく分からないことを言われる。面倒な火曜日に読んで欲しいのは 「後藤さんのこと/円城塔 」

最初から断る。意味不。後藤と言うんだから人?何ていう前提をつけてかかってはいけない。それをしていると早々に作品からグーパンで殴られる。 だからといって読者を置いてきぼりにせず丁寧に説明。後藤を分かった気になる事実を鵜呑みにして自分の常識の範疇で後藤という存在を仮定してしまうと

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読書日記〜ぐうたら人間学〜

読書日記〜ぐうたら人間学〜

疲れ切った平日夜に読んで欲しい本。おやすみ、また明日。月曜日は憂鬱な日。月曜夜に読んで欲しい本「ぐうたら人間学/遠藤周作」。先生が日頃感じているエッセイ集。読んでいると本当にくだらなくふふっと笑うことが多い文章。とある学生の尿検査の試験管に焦げ茶色の物体が詰まってきた話は先生の日記。何だか人生こんなに息を抜いて生きてもいいと感じさせてくれる本。息の詰まりそうな月曜日に。是非。

読書日記〜死にたい夜に限って〜

読書日記〜死にたい夜に限って〜

フォロー有難う。文章を読んで貰えとても嬉しい。noteでは文章が中心。実はよく喋る。「死にたい夜にかぎって/爪切男」読む。何だコレと狼狽えると共に、よく考えたら私もこの気持ち解る?不思議な共感。記憶に新しい今をときめく作家・爪切男。

女性の存在に振り回される半生。自己肯定感が異様に低い所に共感。個性、女性、性への執着との化学反応が奇っ怪。とても興味深い作家。エロ、男女、物書きとして、感染爆発、表

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読書日記〜そこのみにて光輝く〜

読書日記〜そこのみにて光輝く〜

先日、新しい首飾りを買う。気に入って何時も付けていた小さな金色首飾り。何処かで落とし1ヶ月経過。願掛け。胸に光ると安心。小さな雲丹のような形。トゲトゲの金色の星を瞳に映し、願う。あなたは大切な昔に失くした物を今でも思い返すことはある。

夏は喪失、追憶の季節。何時からか思う。色、匂いが濃く必要以上に記憶が焼き付く。心の方まで痕を残す話。別れて5年。元恋人が忘れられない。新しい人と出会っても心から好

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読書日記〜凹凸〜

読書日記〜凹凸〜

あなたは如何お過ごし?私は昨日、一昨日までのイベを思い出しにやにや。モアナと伝説の海、キングコングのどっちを見るか悩む。何も観ず帰る。何かを極端に心を寄せる事柄がある間、ぽんぽんと新しいものを取り入れられない。私の不自由な所。

鑑賞後、何かに数日、心をやんわりと支配。心地いい。大好きな人が魂を削り作り上げた。違いない。完全に私の人生の時間。香り高く幸福な不自由さ。胸を縛って。

先週、新作長編小

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読書日記~最低。~

今日はのんびり休日を過ごす。毎日誰かと一緒に行動。1人になり、日々の隙間に放り込まれる。寄る辺の無い不思議な感覚。目の前には積まれたDVDがやけにキチンと置いてある。返却期限前なのに未だに何だか見ることが不可能。

「最低。/紗倉まな」を読む。深い視点で物を見ながら生きる。書く天性の文才、鍛えられた筆力。素晴らしい。絶対に数えきれない程に読者は言う。割愛。感性、文章力。例えば、若い=瑞々しい、女性

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1、ロッキン・ホース・バレリーナ 大槻ケンチ(☆4)

バンギャとバンドマンの話。ロリータにヴィヴィアンのロッキンホースバレリーナを履いたキャラの強いバンギャと出会ったバンドマンが何故か少しの間一緒にツアーをまわるみたいな話。読んだのは中1の頃。正直内容も結末もきちんと記憶にはない。刹那的で表現が綺麗。超エモくて青春。日々流れ行く時の中で重なる一瞬が描かれてる。人間関係は惑星みたいなもの。凄く分か

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