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2020年10月の記事一覧

凡人が、天才に勝つ方法。

凡人が、天才に勝つ方法。

はじめまして、どうも、つんく♂です。

作詞・作曲を中心に音楽やエンタメ全般のプロデューサーをやっています。モーニング娘。のプロデュースから始めて、アイドルやアーティストなど、たくさんの作品を生み出してきました。

『リズム天国』などのゲームや、アニメにも関わっています。今は、「つんく♂エンタメ♪サロン」のメンバーで、「中2」をテーマにした映画制作を始めたばかりです。

声の病気をしたので今は歌え

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そしてあの子はいなくなる

そしてあの子はいなくなる

 昼過ぎに玄関のチャイムが鳴った。
 家事を終えたばかりのアリアが玄関の戸を開けると、黒いジャケットを着た大男が立ち塞がっていた。
「ダイモン……」絞り出すような声でアリアは言った。

 茶と菓子をテーブルに置く。そばには、夫が買ってきた花が花瓶に生けられている。
 ダイモンはソファに腰を静かに下ろすと、ジャケットの胸をはだけた。
 アリアはそれを見た。
 むき出しの皮膚に、窪みが14。うち2ツに

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四国大戦~プロローグ2~

四国大戦~プロローグ2~

 七年後、常陸の国。
 腕白大師は金剛杖を突いて田んぼ道を歩いていた。擦り切れた法衣が、旅の長さを物語っている。
 頭にかぶった傘をずらして、澄み渡った青空を見やる。夏の青空だ。見ているだけで全身に生気が満ち満ちてくる。蝶が舞い、ウサギが道を横切り、子供がそれを追いかける。現世これ修行の場と言うが、現世がこれだけ素晴らしいのなら極楽浄土はどれほど美しいのだろうか。
 腕白大地が先へ進むと、今まさに

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四国大戦~プロローグ1~

四国大戦~プロローグ1~

 ブッダがキレた。
 今や平安京に昇る太陽は家々から立ち上る煙によって覆い隠され、月と星々は絶え間なく燃え盛る戦乱の炎によってかき消された。
 見よ! 南の彼方より田畑を踏み潰し、家々を蹴散らす八体の大仏を! 大火を鎮め、洪水を治水し、地震を収め、疫病を駆逐するために伝来したテクノロジーは今! 後白河天皇と崇徳上皇の戦いという形で大きく歪められたのである!
 この冒涜の背後にあるのは南都六宗だ。奈

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機械不良市街大戦〈マシンヤンキーシティーウォー〉

機械不良市街大戦〈マシンヤンキーシティーウォー〉

「10年早ェんだよ!」とは言った。
 だが10年後“から”、10年早く来るとは思わなかった。

 登校途中に落ちてきたデカい金属の中から出てきたのは三日前にボコった橋本。
「三沢ァ! 言われた通り10年早く来たぜェッ!」 
 顔だけ橋本で他は橋本じゃない。全身銀色2mのメタルボディに学ラン。
「何だテメー? シルバーでキメやがってよォ?」
 凄んだダチの吉田が奴の蹴りでブッ飛ぶ。3mの距離、橋本の

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『無限大穴』

『無限大穴』

落下し始めてから30分は経っていた。俺はまだ現実を受け入れられないでいた。

コンビニに煙草を買いに行く途中だった。目の前を歩くミニスカの女に見惚れていたせいで、道すがら蓋のないマンホールで俺は足を踏みはずしてしまったんだ。こんなバカな話信じられるか?

あろうことか俺の落ちたマンホールは、都市伝説でたびたび語られてきたあの悪名高い「無限大穴」だった。

悪い夢に違

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ルースター・マン

ルースター・マン

俺はルースターマンだ。
ルース・ターマンではない。ルースター・マンだ。
人間の身体に軍鶏の脳を移植。
闘争本能と身体能力を強化した、それがルースター・マン。
俺は軍鶏に酷いことをしやがる人間を取り締まっている。早速困ってる軍鶏からヘルプが来たようだ。
もうフラフラなのにまだ闘わせようとしてるようだな。
高く高く飛び上がるとシャモ・アイで現場を発見した。一直線に降下、軍鶏をけしかけてる人間の脳天に蹴

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ジゴクダイバー 懲役100兆キロメートル

俺は

無限に

続く穴を

落ちていく。

【通告:覚醒せよ。30秒後に『鬼』と会敵。覚醒せよ】微弱な電流で目覚める。
「……おい、いまどのあたりだ」【「落下刑」執行開始から約10億キロメートル】「くそったれ」

周囲の景色は相変わらず異常な速さで更新される。アーマー無しでは死ぬほどの速度がかかっているから、当然だ。

【3

2

1

会敵】バイザー越しに視覚情報が補正。蜘蛛のような形の『鬼

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天の光は全てカニ

天の光は全てカニ

カニだ。俺の目の前で両断されたジョンウォン――親友だった――の上半身から血肉を啜っているそれは、悪魔でも火星人でもなく、カニだ。

『こちらステーション中央本部! 何が!」
「無数のカニに襲われている! 大型犬並のサイズ! ハサミが強力で装甲服が役に立たない!」

雲霞の如く押し寄せるカニの群れに、ジョンウォンに留まらず俺たち火星開発公社警備部隊員が次々と犠牲になっていた。

始まりは突然だったと

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牙に生え変わるとき

牙に生え変わるとき

 まず通帳を、次に結婚指輪をフロントガラスに投げつけた途端、リョーコは閃光と轟音にやられた。
 耳鳴りが遠ざかると、ゆっくりと目を開けて目の前を見た。
 銀行の窓という窓は消滅し、そこから黒煙が噴き出している。路上では数人が血まみれで倒れ、身動きひとつしない。
 バン!
 びくり、と飛び上がった。見る。運転席の窓、血の手形。髪と髭がぼうぼうの大男。全身黒く汚れている。
 目が合った。
 男がさっと

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長谷川家の決闘

長谷川家の決闘

 応接室に置かれた父の生首は、決闘だと息巻いていたあの時からは考えられないすまし顔で、なんだかとてもまぬけだった。

「私との決闘に臨む長谷川君の姿は、それはもう堂々としたもので実に立派でした」

 これが彼の得物ですと、父の上司は懐から古めかしい拳銃を取り出し、父の横に置く。その物腰は穏やかで、聞いた話とずいぶん違う。生意気な若造。口だけが達者。家族相手に唾を飛ばして愚痴る父の言葉は一面的なもの

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竜とロックダウン

竜とロックダウン

 台車で運んできた金塊を交差点のド真ん中にぶちまける。山と積まれた金塊の上に腰を降ろしてライフルを構える。五十メートル先にグリッチを伴って現れるが早いか、駆けてくる略奪者に向けて弾丸を撃ち放つ。命中。略奪者はロウソクの燃え残りみたいにグズグズとくずおれて消えた。

 俺は無線機に思いっきりがなり立ててやった。

「こちらフラグメントゼロ、『悪竜』だ。どうした! せっかく目につくところにお宝を置いて

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『ローグ、ローグ、ローグ』

泥棒だけはやっちゃいけねえ、って、爺さんはことあるごとに俺に言い聞かせた。俺は尋ねた。置引は?泥棒だ。賽銭拾うのは?泥棒だ。死体漁りはどうだ?それはいい。人の名前を借りるのはダメか?だから泥棒だって言ってんだろ。
爺さんはしまいにはガッチリした拳骨で俺を殴った。目から火花が出た。いいか、オレたちはな、悪党ばかりのクソみたいな血だって言われてる。合ってる。でもな、泥棒だけはダメだ。爺さんは何度も俺に

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