- 運営しているクリエイター
#俳句
2020年まとめ|決算|西川火尖
今年最後の更新として、何をいうかいろいろ考えたんですが、結局一年炎環に発表した俳句から24句を選ぶことにしました。
今年は本当にしんどい一年だったと思います。何一つ解決しないどころか、日に日にシビアな状況になっていきました。その中で知らない人や友人知人の知性や理性、優しさにどれほど助けられたか分かりません。
今年一年ありがとうございました。
炎環2020.01~12
笛付きのケトルを鳴らし冬が来
2020年の抱負|敗色豊か|西川火尖
今年、36歳になるおりしもリーマンショック後の不景気で、第二新卒だった火尖には
どこも雇ってくれる会社なんかなかった。
採用担当の人に、「5年後君の同世代の人間はポツポツ出世しだして、
部下を持ったり、車や家を買ったりするものもでるかもしれない。
一方君のような人間はどんどん落ちぶれ碌な仕事にはつけないだろうね」と言われて、そうだろうなぁと納得してしまったりしていた。
今や、その彼女の言った五年後
【創作と道具】偏っている/西川火尖
実は私は漢字があまり書けない。小学生の時、毎日の漢字の書き取りの宿題をサボりにサボった影響で今も怪しい字は結構多い。サボったというか、出来なかったのだ多分。性格的に漢字を繰り返し書くということができなかった。そういう問題のある子供だった。小学校低学年の超基礎的なところで躓いたものだから、親もさすがに焦っていろいろ手を尽くしたが、あまり効果はなかった。そこで親が失望で取り乱さなかったので学問まで嫌い
もっとみる【俳句連作】浮遊(西川火尖)
話とは蛍狩その後のこと
六月のどんな水色とも違ふ
空蟬のやうなタイムマシーン描く
撒水車子を引き寄せてゆく速さ
一匹の黒蟻怒りながら逃げ
夕立の遠のくセレモニーホール
真つ白のヨットのやうに置く絵本
短夜の床へぼんやり移す熱
短夜の映画の青を手に掬ふ