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タモリストのために。

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#日経COMEMO

日本最長トンネルの現状と未来

日本最長トンネルの現状と未来

今井 政人
論説委員
北海道旅客鉄道(株)

日本最長、世界でも第2位の長さを持つ青函トンネルは、国鉄分割民営化翌年の1988年に在来線として開業以来、36年間北海道と本州を結ぶ大動脈としての役割を果たしてきた。現在は北海道新幹線と在来線貨物列車が共用で走行し、合計で1日約70本の列車が行き交っている。それにより、年間で貨物約380万トンと旅客約160万人が天候に左右されず安定的に津軽海峡を往来す

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総合的、複合的な地方インフラの探求

斉藤 親
依頼論説
東日本旅客鉄道株式会社顧問

年明けから半年程、この間のわが国の人口動向に関する記事が印象に残る。1月総務省は、東京圏一極集中の更なる進展を、6月厚労省は、合計特殊出生率の更なる低下と東京都で初の1.0切りを報じた。

想定内とは言え、昨年の社人研の衝撃の発表「半世紀後の人口は現在の7割に減少」が脳裏に浮かび、特に地方で顕在化する人口減少時代の到来を再認識させられた。

一方、

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建設DXのけん引役となる若手技術者の育成について

建設DXのけん引役となる若手技術者の育成について

井上 昭生
論説委員
(株)大林組

第198回の論説・オピニオンにて学生時代からデジタル技術に関する知識やスキルの習得が望ましいと述べた。

これを受けて本稿では若手技術者、特に土木工学、社会環境工学、社会基盤工学等(以下、土木工学系)を専攻する学生がデジタルスキルの基礎知識を蓄積することの有効性について、建設現場を指揮管理するゼネコンに勤務する立場から私見を述べる。

現状を把握すべく筆者なり

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土木技術者の努力を学ぶ

土木技術者の努力を学ぶ

穴見 健吾
論説委員
芝浦工業大学

先日、明石海峡大橋建設に挑んだ技術者たちを映したテレビ放映を視聴した。様々な問題に苦労しながら立ち向かい、新たな技術を作り出して前代未聞の大事業に挑んだ技術者たちの姿が非常に印象に残った。

挑戦の過程では失敗もありながら、それを克服していく様は、我々が学ぶべきところであると思うのと同時に、講義で学生に伝えている知識や技術が、このような技術者・研究者の努力の末

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社会インフラとしての「スマートエネルギーマネジメントシステム」の構築に向けて

社会インフラとしての「スマートエネルギーマネジメントシステム」の構築に向けて

浅野 浩志
依頼論説
東海国立大学機構
岐阜大学特任教授
内閣府プログラムディレクター

経年火力の休廃止等による電力需給のひっ迫や地政学的に不安定な国際情勢による燃料価格の高騰も踏まえ、リスクを分散するためにも既存の大規模エネルギーインフラを補完する形で、効率的かつ強靭な地域分散型のエネルギーインフラを導入することが望ましい。変動する再生可能エネルギーの出力を含むエネルギーの需給を予測・制御でき

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働く女性特有の健康課題に向けた具体的支援

働く女性特有の健康課題に向けた具体的支援

吉田 穂波
依頼論説
神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科

土木学会の女性会員は2023/3/31時点で正会員の6.2%と、男性会員が多数派ではあるが、学会を挙げて女性活躍の環境づくりに10年以上取り組んできたと聞く。女性の健康支援は、男女問わず先進的な勤務継続支援や離職予防の基盤となる。女性特有の健康課題を抱えながら働いていることへの理解、休暇を取得しやすい労働環境の整備など

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スマートインフラマネジメントで未来を切り拓こう!

スマートインフラマネジメントで未来を切り拓こう!

久田 真
依頼論説
インフラメンテナンス総合委員会・副委員長
/コンクリート委員会・常任委員
東北大学大学院工学研究科・教授

2024年は、1月1日に発生した能登地震による悲惨な災害の発生で幕を開けました。今般の地震で被害に遭われた皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。

当日、筆者宅に配達された某紙の新年特集では「日本反転」という特集が組まれていました。この特集では、経済力を示す1

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ポルトランドセメントの200年とこれから

ポルトランドセメントの200年とこれから

小林孝一
論説委員会幹事長
岐阜大学・教授

何の断りもなく「セメント」と言う場合には、ポルトランドセメント(Portland cement)のことを指すことも多いが、2024年はイングランドのLeedsのJoseph Aspdin(ジョセフ・アスプディン)によって出願されたポルトランドセメントの特許が成立して200周年の節目に当たる。彼のセメントは現在のポルトランドセメントとは大幅に異なるもので

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科学映像と土木

科学映像と土木

久米川 正好
依頼論説
明海大学 名誉教授
NPO法人科学映画館を支える会 理事長

私が骨の研究を始めたのは、48歳の時だった。1980年代、細胞レベルのメカニズムが不明な時代に骨の科学映画を撮っていた小林米作氏が、私を訪ねて来られたことから研究生活が大きく動いた。「科学映画の父」といわれた小林氏が、熱意をもって顕微鏡下の撮影を行った映画『The BONE』は、骨の形成を鮮明に示した作品で、国内

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ノルウェー、透明な世界から日本の未来を考える

ノルウェー、透明な世界から日本の未来を考える

依頼論説
屋井鉄雄
一財)運輸総合研究所所長
東京工業大学特命教授
東京医科歯科大学特任教授

発端は土木学会のビッグピクチャー検討時にあった。

「ノルウェーでは長期インフラ計画が事業規模と共に決定され、1100㎞に及ぶフィヨルド縦貫道路等が建設中である」との話を聞いた。当時、筆者はノルウェーでは国や地域の計画体系が備わり、万事公論に付して決めるから可能なのだろうと推察した。それは必ずしも間違い

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河川維持管理の高度化に向けて

河川維持管理の高度化に向けて

田村 秀夫
論説委員
日本工営ビジネスパートナーズ(株)

気候変動に伴う洪水被害の頻発を受け、流域に関係するあらゆる関係者による流域治水の取り組みが本格化した。安全度を向上させる河川の整備はその根幹となるものであるが、整備された河道や施設の適正な維持管理が行われてこそ、その効果が継続して発揮される。河川の維持管理は地味ではあるが地域の安全を支える最も基礎的でかつ重要な分野である。

河道や河川管

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技術者・研究者の研鑽の場としての土木学会

技術者・研究者の研鑽の場としての土木学会

下村 匠
論説委員
長岡技術科学大学

土木学会よりも規模は小さいが、同じくインフラに関連する分野の学会であるプレストレストコンクリート工学会の会長を現在仰せつかっている。そこでの経験から、最近、社会における学会組織の存在意義を自問している。学会の役割はもとより多角的であるが、ここでは技術者・研究者の研鑽の場として学会の役割について自身の経験をもとに考えてみたい。

今から30年ほど前、土木学会の

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学生は主体性がないのではなく、知らないだけだ-学生小委員会設立から1年を振り返って-

学生は主体性がないのではなく、知らないだけだ-学生小委員会設立から1年を振り返って-

水谷昂太郎
依頼論説
学生小委員会委員長
東京都市大学大学院総合理工学研究科博士前期課程1年

企画委員会学生小委員会は、土木学会史上初の委員全員が学生から成る革新的な体制で2022年に発足した。現在12大学、総勢30名の委員が活動している。

この委員会には6つのワーキンググループ(以下:WG)があり、その中に総計15のプロジェクトを推進中である。つまり委員の2人に1人は自分のプロジェクトを持っ

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森林環境と再生可能エネルギー

森林環境と再生可能エネルギー

楠見 晴重
論説委員
関西大学

近年、世界の様々な地域において気候変動に起因する自然災害が多発している。例えば高温・少雨による自然発火による森林火災、集中豪雨による大規模洪水災害、乾燥地の拡大などが挙げられる。

気候変動の原因の一つに温室効果ガスの排出による地球温暖化の進行が言われている。これら温室効果ガスは化石燃料から排出されるために、その削減が世界各国で取り組まれている。更に二酸化炭素を吸

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