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ソーのnote好きな小説まとめ

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とりあえず、分野にこだわらず、好きな物を集めた
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#詩

【散文】日が暮れると安心する症候群2

【散文】日が暮れると安心する症候群2

地を這っていたい私に
「どうして飛ばないの?
空はこんなに素敵なのに!」
と無邪気に笑いかける
圧倒的に正しい者たちの声
その声が煩すぎて
私は地に潜ってしまいたくなるのです

失敗者の叫びなんて
誰も聞いちゃいない

愛を教わらなかった子供が生み出せるのは
せいぜい愛もどき

他人を羨んで腹を立てたりしないけど
他人を羨んでるんだろうな、
と思われていることに腹が立つのです

私でごめんなさい

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【詩】そのまままつげ/あるよ

【詩】そのまままつげ/あるよ

そのまままつげまつげはくるんと上向きがいい
なんて
誰が言い出したのだろう

毎朝ビューラーで
必死にはさんで上げる
私のまつ毛は

それでも
夜には必ず下を向いてるというのに
下を向きたい、とこんなにも
主張しているのに!

今朝は下向きのまつ毛に
そのままマスカラを塗った

なんだ
フツーにかわいいじゃないか
今までごめんね

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆

あるよ「翼があればよかっ

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【散文】日が暮れると安心する症候群

【散文】日が暮れると安心する症候群

良い大人であろうとしたけれど
私の中のダメな子どもがひょいと顔を出した

片付けても片付けても
僕以外のところから
次々ゴミが湧いてきて
もうどうしようもなく
全てが虚しくなったんだ

家族団欒を否応なく見せつける
盆と正月が大嫌いだった

鳴かぬならいらない
ホトトギス

糸はプツンとわかりやすい音を立てて
切れたりしない
気付いた時にはもうなくなってるんだ

ケガがきちんと治るまで
キズパワー

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【詩】月時雨‥Tsukisigure        

【詩】月時雨‥Tsukisigure        

 

*・☪:.。

                 *・☪:.。

あなたも知らない
わたしの涙

あなたに見せない
わたしの涙

月明かりだけが
知ってるの

人知れず流す
涙のその理由(わけ)も

誰にも言わない
誰にも見せない

夜の秘め事
月時雨‥。

お月様だけに
話せること

眠りにつくその前に

月明かりにそっと
打ち明ける

胸に秘めた心の音を
ひとり抱えるのは
つらいから‥

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あえてやる

あえてやる

あえて旅をし あえて本を読む

あえて挑戦し あえて全力を尽くす

あえて友を作り あえて恋をする

あえて努力し あえて勝利を目指す

あえて学び あえて働く

あえてふざけ あえて楽しむ

あえて結婚し あえて子育てする

意味とかいいから

あえてやってるのです

あえて生きてるのです

「詩」五行詩群 工場の月 十一~十五

「詩」五行詩群 工場の月 十一~十五

十一

廃墟になった工場の中で
月はスヤスヤと眠っている
雨はまだ降り続ける
森の中に住む小さな人たちが
縦笛の練習をしている

十二

海への憧憬と畏怖
漁船のデッキで蝋燭を
灯して見つけたい
小さな光の向こうにある
原初の温かな闇を

十三

海など近くにないのに
君の音がする
置き忘れた三輪車から
雨粒が滴っている
この涙も 海へと還るのだろう

十四

さよならという言葉は
夢の中で覚えた

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「詩」五行詩群 工場の月 六~十

「詩」五行詩群 工場の月 六~十



幾つもの観覧車を乗り継いでも
あなたには辿り着けない
最上部から道化師は飛び降りたが
私はいつまでも廻り続ける
それが究極の愛だと信じて



三角屋根の洋館から
零れるオルガンの音が好きでした
オルガンは燃えたのですね?
月が溶けだす場所では今でも
哀色の旋律が鳴っています



あなたのデジャブに触れると
回転木馬が軋む音がする
ここはどこですか?
メランコリーに染まる交差点に
ピエ

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「詩」五行詩群 工場の月 一~五

「詩」五行詩群 工場の月 一~五



工場は忙しなく稼働している
煙突からは黒煙が吐き出され
その上で月は 青白く輝いている
下駄箱に座った少年だけが
沈黙の中で その月を眺めている



幾重に遮光カーテンを引いても
記憶は無意識の中で輝き
死さえそれを消すことは出来ない
残された記憶は魂と呼ばれ
今日も詩人は それを拾い集める



教授はドルコストについて語り
私はアジャセについての思索に耽る
ふと眺めた窓の外
空中庭

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「また会えるから。」〜儚い詩

「また会えるから。」〜儚い詩

ラピスラズリを見て、なぜか僕は心が痛くなった。

ウェールズ、カーディフのナショナルギャラリーで。あの日僕は胸が痛かった。

君がそこにいた。

少し前から君を生み出した人は知っていた。
つまらない教科書で覚えたからだ。

でも、作品を見て、君を見て、僕は衝動に突き動かされ、そして鳥肌が立った。

とても美しかった。

その顔か、その青か。

パリジェンヌ。タイトルはそうだった。君の名前だ。でも、

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