Norito Takechi

詩と珈琲。

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「詩」小詩集 ~白の世界~

「寺院」 巨大な寺院の門を 私は潜る 中には何もない 白い砂の地面を除いては この広大な空間に 果てはあるのか なぜ金堂や舞台や 塔はないのか 疲弊した私の心身は 無の中に立ち尽くす 「芝居小屋」 芝居小屋は廃れて 白い舞台だけが残っている 平穏を装って私は その舞台上に立つ いつしか雨音のない 雨が降り始め 白い舞台が消えていく 私は土に落とされる 現れた巨大な霧に 私は濡れながら包まれる 「居酒屋」 霧に包まれた 森の中の小さな村 私は古い木造の 居酒屋に入る

    • 「詩」初夏の願い

      夢の中 青い法衣を纏った 男が仄暗い石堂の中から 私に語り掛ける “ お前は知らないのか  生きとし生けるものが  想いのままに光輝く  その美しさよりも深い  安寧があることを“ 私は夢の中 石堂の外にいる 風に靡く初夏の 山里の風景を眺めている “ お前に告ぐ  お前がこの石堂の在り処を  知ることもなく生きていくのなら  せめて己に正直に生き  近い命に優しくあれ“ 私は目を覚ます 住宅街の生活の音と 鳥の声が 初夏の朝の中で鳴っている  

      • 「お知らせ」Norito Takechi 2 始動

        いつもお世話になっています。 Norito Takechiです。 noteでは主に詩の投稿をしてきました。 拙い詩ばかりですが、自分の中で作品と呼べるもの出来るだけ投稿したつもりです。 ただ作品と呼べるものだけを投稿するという自己基準に息苦しさを感じるようになりました。また現状、自分が詩だと思うものがほとんど書けない状況です。 よって作品ともっと自由に書く場所を分けたいと思いこの度、Norito Takechi 2 を開設しました。日々のことや習作などを書いていければと

        • 「詩」小詩集〜かつての場所へ〜

           *  西の門が風に開かれた  昔の人に会える気がしたのに  その風は深く私を揺らし  東の門を抜け森に駆けた  南の門は堅く閉ざされていた    *    記憶は全て心の中にある  産声をあげ生まれたあの日も  生まれる前の記憶も全て  一度だけ空白に包まれたことがある  私を超えた場所に 私はいた    *    泉は歪んでいた  波紋から雨粒が生まれた  葉の落ちた冬の森を抜け  ススキの枯れた冬の野に出た  そこはかつての場所だった    *    森の中には古びた

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        「詩」小詩集 ~白の世界~

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        記事

          「詩」生きること

           六角堂の格子の隙間から  柔い春の日差しと花弁が入り来て  まだ新しい観音菩薩像に  供えられた花たちと共に匂う    なぜだろう  私だけなのだろうか    冬の雪が春に包まれ溶けいくように  苦しみはいつか消え楽しみに満ちた  日々が咲き誇るというささやかな事実を  心の芯から信じ生きているのは

          「詩」生きること

          白雪の 積もる道路は滞り 未だ届かぬ100年の孤独

          白雪の 積もる道路は滞り 未だ届かぬ100年の孤独

          青信号 私一人が歩き出し 未熟な春に落ちる雨粒

          青信号 私一人が歩き出し 未熟な春に落ちる雨粒

          「詩」リリー

           ねえ リリー 全てが幻影ならば  僕は君だけを 愛し続けるだろう  壊れた噴水  ローズマリーが  生い茂る  二人だけの中庭の椅子  光の風に 君をさらして  世界の終わりまで 君だけを ※チバユウスケ氏のご冥福を祈ると共に、過去に投稿したリリーを少しだけ手直しして投稿します。元々チバユウスケ氏の歌詞へのオマージュとして書いた詩です。

          「詩」リリー

          「詩」街の夜の始まり

          その街は突如として 輝き出す 夕暮れ時にはまだ 街に灯りはない 完全な闇が 街を支配したその時 街灯が街の輪郭を 鮮やかに描き出し 家々や食堂や 宿屋や夜市に オレンジ色の活気が 溢れ出す 私は少し遠くから 街の夜の始まりを 来る日も来る日も 眺め続ける 誰もこの街の夜の 始まりの瞬間を 知らないのだろか 私は一人橋の傍らで 対岸の街の始まりの灯を そっと愛でている

          「詩」街の夜の始まり

          「詩」夏の幻影

          草原の風が 二人を包み込んでいた日々 あなたは少しだけ 私に似ていた その手に触れることは 一度として なかったのに 今あなたの幻影が 艶めかしい声で 私に囁きかける あの夜の想い 涙に沈んだ朝の部屋 差し込んだ光の中 私はあなたを求め 空白の心で 手招きを続けた 呼び戻された場所 時の流れを知らぬ場所 湖畔の小さな部屋で あなたの幻影は 澄みきった笑みを浮かべ そして私は立ちすくみ 窓辺の淡い陽を浴び あの日の風の音を探してしまう

          「詩」夏の幻影

          「俳句」春から夏

          春風や光の中で踊る人 夕深しバレンタインの日の列車 混沌に目覚めし昼や花の雨 川波に夏揺れにけり屋形船 雨に消ゆ夜店の明り人の影 砂の熱素足のままの波の音 袖に寄る蛍火ひとつ風の宵 いにしへに漕ぎ出でにけり鵜飼船 ※月一回俳句の講座のようなものを受けており  先生から添削済みのものを投稿しました。

          「俳句」春から夏

          「詩」春が終わる

          春の光りが 私に囁く もう 終わりにいるのだと 青々とした葉を 風に靡かせ 下枝に残る花を 桜は密かに包み隠す 私は そっと手を伸ばす 火照った空が 私を通り過ぎる 私は藤の花の 咲く宿の庭で 誰も訪れる 者のない宿の庭で せめて降り出す雨が 花を散らす雨が 少しでも 柔らかに降ることを願う 空が鎮まっていく 雲が撒かれていく 私は春の 光から解き放たれていく ※小詩集〜春〜より

          「詩」春が終わる

          「詩」誰もいない部屋

          いつもと同じように ノックし 懐かしさの残る ドアノブを引き 誰もいない 部屋の扉を開く いつかの部屋が そこにはあり いるはずのない あなたがいる あなたは あの日のままに微笑み あの日のままの 春の風が あの日のままに あなたの その柔らかな 髪を揺らす テーブルの上には かつての 二人の姿が 木彫の 写真立ての中に 飾られている あなたの肩に触れる 二人の影が消える 部屋は初夏へと 光の色を変えていく ※小詩集〜春〜より

          「詩」誰もいない部屋

          「詩」終わりのない風景

          春風の 野辺にぽつりと建つ 納屋の戸は カサカサと揺れ 土の道は 陽炎の その先へと続いていく 山や野は 葉や花の 色に飾られ 陽射しが 風が それらを躍動させている 全ては ただ在るだけ 私はいる 今日もここに ※小詩集~春~より

          「詩」終わりのない風景

          「詩」十七歳の頃

          窓から街を 眺めていただろうか 二流シネマのように 覚えているのは 廊下側の席の後ろ 半透明な硝子 30分に一本の JRの車内の 青く硬い椅子 のような青春の中で 私は何かを 失くしたのだろうか (長崎の 修学旅行で  老人の話をきいた 皆無意識的に  無言であった その壮絶さに) 校庭には 桜がなかった それでも冬から春へと 季節は巡っていたのだろう あの頃も多分 今と同じ秒針で   春の嵐の中に 留まり続ける可憐なスミレ 私は何かを 今も求めているのだろうか 

          「詩」十七歳の頃

          「詩」ジャスミン

          目覚めれば 甘い香り あなたが お茶を注いでいる どれくらい 眠っていた? 時計のない部屋で あなたに 問いかける この香りもあなたも 面影だと 知りながら ~この詩を元に書いたもう一つのジャスミンもぜひ~

          「詩」ジャスミン