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「詩」春が終わる

春の光りが 私に囁く
もう 終わりにいるのだと

青々とした葉を 風に靡かせ
下枝に残る花を 桜は密かに包み隠す

私は そっと手を伸ばす
火照った空が 私を通り過ぎる

私は藤の花の 咲く宿の庭で
誰も訪れる 者のない宿の庭で

せめて降り出す雨が 花を散らす雨が
少しでも 柔らかに降ることを願う

空が鎮まっていく 雲が撒かれていく
私は春の 光から解き放たれていく


※小詩集〜春〜より


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