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美術館レポート

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美術に関する知識はないですが、様々なアイディアを得るため定期的に美術館を訪れています。展示を通して感じ考えたことをまとめていきます。
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「Material, or」展を通して切貼民話について考える

「Material, or」展を通して切貼民話について考える

今日は、21_21 DESIGN SIGHTで開催されている「Material, or」展に行ってきました。

切貼民話制作においてフィールドワークをしていると、ふと「なんだこれは!面白い!」と思うものとの出会いがたくさんあります。また、それらを印刷して切り抜き、並べる中で、単に「木のコブ」「落ちた瓦の破片」などといったものが、「コラー獣」の一部分として新たな意味を持ち始めます。

こうした感覚を

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太陽の塔と国立民族学博物館

太陽の塔と国立民族学博物館

明日から京都で行なわれる学会に参加するため、ひと足早く関西に来ています。今日は初めて大阪の地に足を踏み入れ、念願の「太陽の塔」と国立民族学博物館を訪れました。

念願の「太陽の塔」へ!

私は小学6年生の歴史の授業で縄文時代〜古墳時代について学んで以来、土偶や埴輪などの類が大大大好きになりました。そのため、岡本太郎さんの作品に惹かれるのは、もはや必然としか言いようがありません。10年ほど前から美術

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「メカリアル」展と、触発された表現

「メカリアル」展と、触発された表現

今日は山梨県立美術館で開催されていた、たかくらかずきさんの「メカリアル」展を訪れました。

「日本で広く共有される信仰の中に息づく『存在を信じるが触れることのできない、向こう側のものたち』を『デジタル上の存在』に極めて近いものと捉え、AIによる画像生成、ビクセルアニメーション、3Dプリント、VR(仮想現実)、NFTといったデジタル技術を用いて表現する作家」(山梨県立美術館ホームページより抜粋)とし

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北斎館「あなたは信じる?摩訶不思議」展レポート

北斎館「あなたは信じる?摩訶不思議」展レポート

河童を見たという原体験をして以来、私は幻獣的なものに関心を抱いています。

そのため、幻獣・異界・民話・妖怪(ホラー要素が少ないもの)・妖精・精霊などのキーワードが入っている企画展には直感的に惹かれ、「思い立ったが吉日!」「企画展を観ることができるのは今しかない!後悔するから即行動!」の精神で、ふらっと旅に出てしまいます。

美術館を訪れる道中では、様々な発見があります。風景や街並み、人などなど…

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「なむはむだはむ展『かいき!はいせつとし』」へ〜〝愛すべきカオス〟から共創へ〜

「なむはむだはむ展『かいき!はいせつとし』」へ〜〝愛すべきカオス〟から共創へ〜

今日は群馬県太田市にある太田市美術館・図書館で開催されている「なむはむだはむ展『かいき!はいせつとし』」へ。ホームページに掲載された展示の紹介を見て「これは行くしかない!」と思い、約3時間電車に揺られて訪れました。

太田市美術館・図書館を訪れるのは初めてでしたが、東武スカイツリーラインの太田駅の目の前にありアクセスは抜群。外観・内装共におしゃれな造りで、こんな素敵な場所が身近にあったら毎日でも通

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第10回市原湖畔美術館子ども絵画展『人間いがいのもの 人間がつくったものいがいのもの』レポート

第10回市原湖畔美術館子ども絵画展『人間いがいのもの 人間がつくったものいがいのもの』レポート

今日は千葉県市原市にある市原湖畔美術館を訪れました。こちらを訪れるのは「メヒコの衝撃」展以来になります。JR内房線の五井駅では、レトロな雰囲気が趣深い小湊鐵道へ乗り換え。

高滝駅から20分間ほど歩き、美術館へ到着。
今回私が観たかったのは「第10回 市原湖畔美術館子ども絵画展『人間いがいのもの 人間がつくったものいがいのもの』」という展示。

子どもたちの想像・創造が膨らみそうなコンセプト、画一

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「トンコハウス・堤大介の『ONI』展」へ

「トンコハウス・堤大介の『ONI』展」へ

現在東京都立川市のPLAY!Museumにて開催されている「トンコハウス・堤大介の『ONI』展」を訪れました。

子どもの頃に河童と出逢って以来見えないものや不思議な世界に興味を持ち、最近は古来日本において大切にされていた目には見えない移ろいゆくものとの関わり方や「八百万の神」的なイマジネーションに関心があるため、直感的に「これは行こう!」と思ったことがきっかけ。

原風景的な世界に包み込まれる体

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2023年初美術館〜ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ「柔らかな舞台」展へ〜

2023年初美術館〜ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ「柔らかな舞台」展へ〜

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

不定期更新にはなりますが、今年も実践や研究、美術館や読書のレポート等をまとめていきたいと思います。

さて、2023年初美術館は、東京都現代美術館。新年は本日1月2日より開館しており、現在開催されているウェンデリン・ファン・オルデンボルフの「柔らかな舞台」に興味を抱いたため訪れました。

展示は映像作品が中心ですが、役者が

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美術展レポート〜オリジナル・解釈・表現のズレを楽しむ〜

美術展レポート〜オリジナル・解釈・表現のズレを楽しむ〜

2つの企画展を訪れた。
まずは練馬区立美術館で開催されている平子雄一さんの展示。

美術館にある「コレクションの中から10点の絵画を選び、分析、解釈し、それらの作品から様々な要素を取り込んだ新作絵画を制作し、選んだコレクションとともに公開する展覧会」とのことで興味を持った。それぞれの作品を通して平子さんの中に湧いてきたイメージが作品の傍のパネルに描かれており、それらが混ぜ合わさって巨大な作品が生ま

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「異界」展を通して感じ考えたこと

「異界」展を通して感じ考えたこと

先日、栃木県立博物館で開催されている「異界」展を訪れました。伝説の生き物に興味があり、子どもの頃に河童に遭ったことがある私であるためとても興味深い内容だなぁと思い、インターネットで知るなりすぐに出かけました。企画展終了までに行けてよかったです。

今回はこちらの展示を通して感じ考えたことをまとめていきたいと思います。

「異界」を創る〜〝あいだ〟を創り対話や物語を生み出す〜

まずは、先人たちが「

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2121年Futures In-Sight展へ行ってきました

2121年Futures In-Sight展へ行ってきました

先日、現在21_21 DESIGN SIGHTで行われている「2121年Futures In-Sight」展へ行ってきました。

地球誕生から現在までを1年間(365日)に表すと、ほんのわずかな時間しか生きていない人類。そう考えると100年というスパンは、地球規模ではあっという間なのかも知れません。けれど、その中で良くも悪くも人類が様々な影響を地球に与えてしまったのだなぁと痛感しました。

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「語りの複数性」レポート〜「自己」「間主観性」の視点から〜

「語りの複数性」レポート〜「自己」「間主観性」の視点から〜

現在、東京都渋谷公園前ギャラリーにて開催されている「語りの複数性」という展示へ行ってきました。ワクチンを2回接種した上での、久しぶりの美術館。「間主観性」「間主観的アプローチ」という視座から遊びを捉えている立場として直感的に「これは直接観ておかなければ」と感じ、気付けば足が動いていました。

展示会場の入り口には、こちらのパネルが掲示されていました。学生の頃に臨床教育学という学問に出会い、社会人に

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「視覚トリップ」展へ行ってきました。

「視覚トリップ」展へ行ってきました。

先日、ワタリウム美術館で開催されている「視覚トリップ」展へ行ってきました。

私は美術に詳しくないけれど、未知のものを真ん中にして異質なもの同士が出会い、共創造されゆく「いま、ここ」の連なりと生成変化に関心があります。だからこそ自分と他者の「体験」や「感情」の「混在」という部分やホームページで紹介されている作品に惹かれ、足を運びました。

今回のブログでは、特に印象的だった青木陵子さんとナムジュン

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