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11.【再会ロード : 救世主なドンちゃん】

アッチノ世界にある三本の分かれ道。
真ん中の道を進み、スケルトンハウスを通り過ぎて更に真っ直ぐ進むと、今度は十字路の分かれ道が現れる。

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十字路の右側は追われる右ロードに繋がっていて、反対の左側は再会ロードと呼んでいる。
思いがけない存在に会える不思議な道。

ある日の夢。
アタシは真ん中の道を歩いていた。
十字路を右に曲がろうと一歩入った瞬間、右側から野犬のような動物が大群で走ってきた。

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アタシは慌ててUターン。
真ん中の道には戻らず、そのまま真っ直ぐ左側の道に走った。

左側の道は霧なのかスモークを焚いているかのように白い煙で何も見えない。
でも、野犬が追いかけてくるのが鳴き声や足音でわかった。

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アタシは無我夢中で走る。
そして思いっきり転んだ。
かなりの衝撃で、すぐには起き上がれなかった。
振り向くと白い煙の中から野犬の口が見えた。

咬まれる!

身構えた瞬間――
どこからか小さな鈴の音が聴こえる。
野犬も音に気を取られて一瞬止まったけれど、また牙を剥き出して近づいてきた。

また鈴の音。
野犬が少しずつ近づくごとに、鈴の音も大きく響く。

音はどこから……?

辺りを見渡していたら、まだ離れていると思っていた野犬が跳びついてきた。
息も感じられそうなぐらい間近に迫った瞬間――
小型犬のような鳴き声が聞こえてきた。
振り返ると、白い煙の中から救世主が現れた。

「ドンちゃん!!」

ドンちゃんは昔、我が家で飼っていたポメラニアン犬の女の子。
夢の中のドンちゃんは、小さな鈴のついた青いリボンを首に巻いていた。

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小刻みに走ってくるドンちゃんに合わせて鈴が鳴る。
もう随分前に亡くなったドンちゃん。

夢の中で、アタシが危ないからって助けに来てくれたのかな。
それで格好良く登場しようとしたのに、自分の歩幅と野犬の迫り具合がズレちゃったから、思わず吠えちゃったのね……。
何だかドンちゃんらしい。

ドンちゃんを見ながら、そんなことを思っていた。
アタシの側に来て、ウルウルした瞳で見つめてくれるドンちゃん。
擦り剥いた脚をペロっと舐めてくれた。

そのまま野犬の方へ走っていくドンちゃん。
生前も走るのが物凄く速かったドンちゃん。
まるで自分がおとりになるかのように、野犬をどんどん引き連れて白い煙の中へ消えていってしまった。
それが嬉しいけど何故か悲しくて……
アタシはその場でドンちゃんの名前を叫びながら号泣。
目が覚めると、枕が涙で大変なことになっていた。


ずっと優しかったドンちゃん。

今でも大好きです。


別サイト初回掲載日:2010年 12月22日


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