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103.【 アンティークカフェと辿り着けない駅 】


ある日の夢は……

アンティークショップのような場所から始まった。
42.【黒羽根さん : アンティークショップ?】の夢で出てきたような小さいお店ではなくて、倉庫のように広い場所だった。

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家具や小物の他にも本や洋服、楽器なんかも置いてあるのが見える。
建物の中央奥にはティーポットやコーヒーカップが並べられた棚と大きなカウンターがあって、店主らしきお爺さんがお客さんと話をしていた。

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アンティーク調のレジスターを撫でながら話すお爺さん。
よく見ると47.【屋根のない洋服屋 : 夜の世界】の夢で助けてくれたお爺さん達みたいに体が小さかった。

69.【パラレル・ワールド:気紛れターミナル】の夢でも小さなお爺さんに会ったけど、アッチノ世界にはそういう種族のようなお爺さん達がいるのだろうか。


薄暗いお店の中は種類を区切るようにテーブルとソファーが並べられていた。
喫茶店も兼ねているのか、お客さんらしき人達がソファーに座って寛いでいる。
コーヒーのいい香りが漂っていた。

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壁にはたくさんの時計があるのに、立ち止まっていると時間が流れていないような不思議な気分になった。
みんな話しているのに何も聞こえない。
でも、息遣いのような物音のような……
何かが聴こえてきそうな気がするけど、よくわからなかった。

アタシはカウンターにいるお爺さんを知っている。
そして何かを探している。
でも、誰かに見つかってはいけない。

そんなことを頭の片隅で考えながら、ふと見た先には楽器が置いてあるコーナーがあった。
いつの間にか手にはトランペットを持っていた。
傘みたいに広がった部分が欠けている。
怪しまれないために楽器が置いてある辺りに行こうとした瞬間、誰かに手を掴まれた。
振り返ると、後ろ向きでソファーに座った男の人がアタシの手を掴んでいた。
ちょっとソバカスがありそうな白っぽい肌と茶色い大きな目をしていて、その人の雰囲気もまるでアンティークみたいだった。

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その人は手を掴んだまま、何も言わずにアタシの目を見つめている。
なぜかアタシは男の人のオデコにキスをすると、そっと手を離して建物の外へ出た。

建物の前は10mぐらいの短い一本道になっていた。
歩いて行くと大通りに出た。
海外にありそうな建物が並んでいる。

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さっき歩いてきた道路も大通りの道路もモノクロビルの道路みたいに真っ黒で、なんとなく雰囲気も似ていた。
とても綺麗だけど、全く使われていないみたいに綺麗すぎる。
計算されたみたいに無駄がない。
そんな風に感じる街並みだった。

駅に向かわなきゃ……。

そう思ったけど、大通りの右と左のどちらに向かえばいいのかわからない。
さっきのお店に戻ろうか迷っていたら、いつの間にか手に紙を持っていた。
折り畳まれた白い紙を広げてみると地図があった。
一部分しか印刷されていないシンプルな地図。
だけど、それを見ても駅がどっちにあるのかわからなかった。

「先輩、どこに行きたいんですか?」

さっきまで周りには誰もいなかった。
だから、アタシは驚いて動けなかった。
ゆっくり振り返ると、69.【パラレル・ワールド:気紛れターミナル】の夢に出てきた後輩の一人が立っていた。

「えっと、駅に行きたいんだけど……」

「そうなんですか! 確かあそこにある教会の先に進めば駅に行けたはずですよ」

そう言いながら後輩は大通りの右側を指差した。
見てみると、教会らしき絵が描いてある看板が見える。

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「途中まで一緒に行ってあげますよ」

そう言って後輩は歩き始めたので、とりあえずついて行くことにした。
でも、少し歩くと後輩は立ち止まった。

「どうしたの? 教会はまだ先だよ?」

「そうなんですけど、ここを通り抜けた方が近道なんですよ」

笑顔でそう言うと、後輩はすぐそばに建っていた建物の扉を開けて中に入ってしまった。

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アタシも急いで中に入ってみると、そこはショッピングセンターみたいな場所だった。
中を見渡した瞬間、84.【パラレル・ワールド:凍った扉】の夢に出てきたショッピングセンターが浮かんだ。
不気味だった小さな青い物体はいないけど、あの建物の中だと思った。
そんなことを考えていたら、いつの間にか後輩が上の階にいた。

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アタシもエスカレーターで上に行こうとしたら、乗った途端にエスカレーターが停まってしまった。
うんともすんとも動かない。
歩いて上がろうとしたら、突然反対方向に動き出す。
アタシは思わず座り込んでしまった。
そのまま下まで辿り着くと、エスカレーターも動かなくなった。
もう一度歩いて上ろうとしたけど、また反対方向に動き出してしまう。

夢に邪魔されている……。

そう思っていたら、上から大量の紙が降ってきた。
一枚手に取って見てみると、さっき持っていた地図だった。

「先輩ー! 大丈夫ですかぁー?」

後輩の甲高い声が聞こえた瞬間、目が覚めてしまった。

色んな夢と似ていて、色んな夢と繋がっている。


そんな夢でした。


別サイト初回掲載日:2015年 05月24日



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