げんきなおともだち

すいません!僕のすごさを測るものさしがまだないんです!

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記事一覧

濱口竜介『他なる映画と1』書評

「つながらないもののつながり」。これに類する言葉が本書で一体何度繰り返されただろうか。その言明は、映画のショットとショットとの間のそれ、映像と音声と間のそれ、時…

小説「身も蓋もないものども」②

魔理沙の住んでいる部屋は、「整然としたゴミ屋敷」とでも呼べるべき代物だった。所狭しと積み上げられた本やDVDは、少しでも動かしたら何かの天罰が降りそうなほどの独特…

日常で見つけたきらめき

とあるカフェにいたら、5歳くらいの男の子とその母親が入店してきた。店のオープン時間が18:00までと書いてあるのを見て、子供が母に「18時って何時?」と聞く。この声が聞…

小説「身も蓋もないものども」(冒頭)

プログレッシヴ・ロックバンド「イエス」が1972年に発表したアルバムは長らく『危機』と訳されてきたが、これをもっと即物的に「端の方に近く」と直訳してみてはどうだろう…

「自分から出る」ことについて

先ほど「自分を入れる」ということについて投稿した。今度は「自分から出る」ことについて書きたい。自分から出るというと解脱、超越のようであるが、そういうものよりもむ…

『終の住処』のある一行をめぐって

磯崎憲一郎の芥川賞受賞作『終の住処』の文庫版60ページに記されている、とある一行がとても気になった。妻がある日を境に全く口を聞いてくれなくなり(結局それは11年続く…

「自分を入れる」ことについて

先日、友人とウェス・アンダーソンの『アステロイド・シティ』という映画を見に行ったときのこと。友人は先に席(D−1番)をオンライン予約しており、遅れて行った僕が対面…

四行詩400〜431(一旦ここまで)

消化器官は閃いて 茄子の裾を美人局 応援してベルリン 回顧録のムッシューは お局も甚だしくJと呼ばれた獅子 首振りたがりの尻込みit was you ダウナーなつばぜり合い橋の…

四行詩351〜400

将来性など岡っ引き 卍固めの弱い闇 お酒の力を借りてワナビー 差し引きゼロで身投げの縄とか たれてあることの一瞬 3000匹の蚊が止まった桶を突っ込んで 不条理なまでに…

四行詩301〜350

地の利に任せて酸素が足りない なるたけ右方向に正確なマティス 無駄まに傘なる屠蘇と写仏いくら 程なるところに塞いて魔は出来ない 黒縁眼鏡の虎が目覚める245度 総てが…

四行詩251〜300

ふやけたシーサイドが二の腕キメる 弾けたドラ息子 手に負えねぇ 啄ばむ六日未満 ポン菓子が主食 技ありキャビネット 発注ミス 傷に泡を注ぐいざ輸血をば 飲み喰いが過ぎ …

四行詩201〜250

自転車泥棒 手厚く看護 石崎さん家のまずいお粥 ろくろ首をこちらによこせ はだけた浴衣のマスターピース 柏の葉 弥生時代一歩俯瞰で見ること ベースを弾く指中曽根氏孤軍…

四行詩151〜200

椅子を盗撮 慧眼見真 火の枠グリーン 危険な手助け 奥様は見んな胃の中 CEO はっちゃけて 翌々日の4時まで 胃の腑が悪い坊っちゃん見っけ 100ドル札を握りつぶす義眼 あま…

四行詩101〜150

ザ・グレーテスト・ヒッツ・オブ・横山大観 真珠に豚豆に鳩鉄砲 俺の得意技 無知の知 ぶっぱなせ 人間大砲 貴賎の区別なく 幸福であれたら 面影橋のように 森閑であれたら…

四行詩51〜100

束ねない 干さない ヘビメタ好む青アザラシ 身から出た錆落として循環 ニッチを探して玄人はだし 肌と肌が触れ合う瞬間 街の灯りが一斉に灯る 髪の短い女を追いかける男 …

四行詩1〜50

積み上げられた木の椅子の 頂に鎮座するドコモダケ シフォンケーキは好評 硯の黒が一番黒い 孤星は闇夜に己を光らせ じっと好敵手を探している 燃え尽きるその日まで 珈琲…

濱口竜介『他なる映画と1』書評

「つながらないもののつながり」。これに類する言葉が本書で一体何度繰り返されただろうか。その言明は、映画のショットとショットとの間のそれ、映像と音声と間のそれ、時間と空間の間のそれといったふうにさまざまに変奏され、さらには最終章で小津を論じるにあたっては「周吉の言葉は、私たちが無関係であることこそ、むしろ最も深くつながり合うための条件であると示しています」とも述べられているのだから、これらを著者のあ

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小説「身も蓋もないものども」②

魔理沙の住んでいる部屋は、「整然としたゴミ屋敷」とでも呼べるべき代物だった。所狭しと積み上げられた本やDVDは、少しでも動かしたら何かの天罰が降りそうなほどの独特の秩序を持って並んでいた。雑然にもルールがあるのだなとその時私は思った。
「TVは絶対に354の演歌チャンネルしかつけない」と言いながら彼女がTVをつけると、NHKだった。そこでは妙齢の女性が二人、いやらしさのかけらもないレオタードのよう

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日常で見つけたきらめき

とあるカフェにいたら、5歳くらいの男の子とその母親が入店してきた。店のオープン時間が18:00までと書いてあるのを見て、子供が母に「18時って何時?」と聞く。この声が聞こえていた私は即座に「6時よ」を無意識裡に予測した。ところが母親はこう言った。「12引きなさい」。 ! そもそもそういう仕組みで答えが割り出せることすらよくわかっていなかった私は問題外だが、私の馬鹿さよりも問題は、母親が子供に自分で

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小説「身も蓋もないものども」(冒頭)

プログレッシヴ・ロックバンド「イエス」が1972年に発表したアルバムは長らく『危機』と訳されてきたが、これをもっと即物的に「端の方に近く」と直訳してみてはどうだろうか。魔理沙に初めて会ったとき、彼女はまるで私と会うのが35回目くらいの調子でそう熱っぽく語ってきた。聞いてみればその言い分には頷けるところもあったが、「プログレってわかる?」的な話もいっさいなくいきなり核心に飛び込まれたので、私は面食ら

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「自分から出る」ことについて

先ほど「自分を入れる」ということについて投稿した。今度は「自分から出る」ことについて書きたい。自分から出るというと解脱、超越のようであるが、そういうものよりもむしろ、「私」「あなた」という人称性の強い屹立(およびそれらを対立させること)から逃れ、主客合一…言葉はいくらでも言えるが、とにかくそういう状態を描き出すこと。ドゥルーズはそれを「ひとつの生」と読んだ。以下に引くのは、彼の亡くなる直前の文章で

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『終の住処』のある一行をめぐって

磯崎憲一郎の芥川賞受賞作『終の住処』の文庫版60ページに記されている、とある一行がとても気になった。妻がある日を境に全く口を聞いてくれなくなり(結局それは11年続くのだが)、夫である「彼」がどうしてそういうことになってしまったのだろうとあれこれ考え、口を聞かなくなる直前に乗っていた遊園地の観覧車が何か怪しいのではないかと思う場面。そこでこう記される。

「あらゆる可能性に当たっておこうと観覧車の歴

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「自分を入れる」ことについて

先日、友人とウェス・アンダーソンの『アステロイド・シティ』という映画を見に行ったときのこと。友人は先に席(D−1番)をオンライン予約しており、遅れて行った僕が対面窓口でチケットを買おうとして、こう言ってしまった。「隣に友達がいるんで、D−2をください」。このおかしさがわかるだろうか。「隣に友達がいるんで」という情報は、販売員の方からしたら全く不要で、ただ「D−2ください」と言えばいいものを、瞬間的

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四行詩400〜431(一旦ここまで)

消化器官は閃いて 茄子の裾を美人局
応援してベルリン 回顧録のムッシューは
お局も甚だしくJと呼ばれた獅子
首振りたがりの尻込みit was you

ダウナーなつばぜり合い橋の下で口喧嘩
媚びへつらう餓鬼どもに餅を喰らわす
恩寵を与えて期待を裏切った結果
押し黙る猿 キジムナー 融解寸前

弓を煮た男俗情ハンティング
湿地帯に潜むいいとこ取り焼売
各種揃えてヴラジミール 小鳥遊び
嘘だろ?お前寝

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四行詩351〜400

将来性など岡っ引き
卍固めの弱い闇
お酒の力を借りてワナビー
差し引きゼロで身投げの縄とか

たれてあることの一瞬
3000匹の蚊が止まった桶を突っ込んで
不条理なまでに翁
知るべきことと見るべきこととの乖離

家族になろうよ ふなっしーとの訣別
賢治兄ちゃんの撮ってきた写真 赤目
人間が存在することのウコッケイ
否認させまいとカウンターアタック 血

おいらは花花札五番勝負でやんす
デレる妻ミス

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四行詩301〜350

地の利に任せて酸素が足りない
なるたけ右方向に正確なマティス
無駄まに傘なる屠蘇と写仏いくら
程なるところに塞いて魔は出来ない

黒縁眼鏡の虎が目覚める245度
総てが杜撰で何もかもが背負われた
使命と責任に蓋して増して増して
「暁光の貫部に踊るしかない梁の空

所詮2と3の交錯割を食うアテはどれ
すれ違うナサリン 踏む右足の一瞬
泥の箱柳 根源的事象の究明に急げ
さすればAを逆立ちさせてみよ

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四行詩251〜300

ふやけたシーサイドが二の腕キメる
弾けたドラ息子 手に負えねぇ
啄ばむ六日未満 ポン菓子が主食
技ありキャビネット 発注ミス

傷に泡を注ぐいざ輸血をば
飲み喰いが過ぎ 朝まで留年
さらば我が青春 紋切り型の罠
撫子のかいなに抱かれオノマトペ

熱狂的な空虚さ 心臓に直輸入
遥かに満席目立ちたがり屋の物販
ニーニョ現象エル 1.2.3の粒揃い
豆食ってドン俺の所為で世界滅亡

I'm lookin

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四行詩201〜250

自転車泥棒 手厚く看護
石崎さん家のまずいお粥
ろくろ首をこちらによこせ
はだけた浴衣のマスターピース

柏の葉 弥生時代一歩俯瞰で見ること
ベースを弾く指中曽根氏孤軍奮闘
チェダーチーズがカビてる 臭え
初鰹の季節にお汁粉飲みたいな

ええ 確かに屁はこきました
ですが誤解しないで頂きたい
これはチャリティーの一貫なんです
言ってる意味わかりますか?

アスファルトに咲いた花のように
こんな紋切

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四行詩151〜200

椅子を盗撮 慧眼見真
火の枠グリーン 危険な手助け
奥様は見んな胃の中 CEO
はっちゃけて 翌々日の4時まで

胃の腑が悪い坊っちゃん見っけ
100ドル札を握りつぶす義眼
あまりにGがかかり過ぎた
けふはこの辺でアディオスアミーゴ

愛しているのか憎んでいるのか
わからなくなるほどに 渦巻く感情
溢れ出る結晶の粒 狼狽した好奇心
骨の髄まで其処に浸らせて

波紋を呼ぶ養子の一振り
ざっと1万匹は

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四行詩101〜150

ザ・グレーテスト・ヒッツ・オブ・横山大観
真珠に豚豆に鳩鉄砲
俺の得意技 無知の知
ぶっぱなせ 人間大砲

貴賎の区別なく
幸福であれたら
面影橋のように
森閑であれたら

私は胎児
いつまでも生まれることがない
私は卵
いつの日か割れておしまい

技巧派志向 世に出て速
矢面立って槍玉浴びる
中立国と流しそうめん
頻繁に午後がやってくる

仄めかして楯突く輩
裏返して足先から
飛ばして一ずつ

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四行詩51〜100

束ねない 干さない
ヘビメタ好む青アザラシ
身から出た錆落として循環
ニッチを探して玄人はだし

肌と肌が触れ合う瞬間
街の灯りが一斉に灯る
髪の短い女を追いかける男
女のボーダーシャツに惚れたらしい

赤紅葉 見れずに終わった晩秋
右上から何かが飛んでくる
黒縁眼鏡 あなたの横顔
レンジでチンして一瞬のこと

エンジンかけて出発進行
目的地なんて決まってないさ
虹色の実を貪り食うボーランド人たち

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四行詩1〜50

積み上げられた木の椅子の
頂に鎮座するドコモダケ
シフォンケーキは好評
硯の黒が一番黒い

孤星は闇夜に己を光らせ
じっと好敵手を探している
燃え尽きるその日まで
珈琲ジョッキで飲んで気つけ

1億歳になったら結婚してください
爪に灯して生き永らえますから
貴女が亡骸でも
ケバブの棒だけは回り続けるから

結果残したい子ら
ワークショップ痛い目おそうめん
じねんとたわむるお年頃
ドキュメント詰問お

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