四行詩101〜150

ザ・グレーテスト・ヒッツ・オブ・横山大観
真珠に豚豆に鳩鉄砲
俺の得意技 無知の知
ぶっぱなせ 人間大砲

貴賎の区別なく
幸福であれたら
面影橋のように
森閑であれたら

私は胎児
いつまでも生まれることがない
私は卵
いつの日か割れておしまい

技巧派志向 世に出て速
矢面立って槍玉浴びる
中立国と流しそうめん
頻繁に午後がやってくる

仄めかして楯突く輩
裏返して足先から
飛ばして一ずつ
勾引かして身体ごと

秀でたい胴元 媚びて串刺し
おちこちエーデルワイス
泡吹くと潮騒マーケット
金環の主題魚雷を摘発

慌てふためくビュルストナー嬢
チョビ髭 ヴァニラアイス 1247
ポニーテールに頼朝
段差を転げ落ちて心を整える

幌で騒ぐオヤジ 摩天楼を推挙
ガム吐きましたええ 吐きました
竹林を抜けて見ゆるは暗黙星
とどめのお針子 お呼びでない

凡愚にかける お汁粉はねぇ
アングラ好事家まとめて発破
ささくれが痛いここ30年くらい
メレンゲ・マチズモ ・ジャンキー牧

鎖鎌 足に巻きつけ 身動き封ず
修善寺行くからタクチケよこせ
歯のない好々爺蝋梅眺む
明日また天気に/ハレーション

結婚詐欺 今更寒がりカムア
伝記を自費出版 超ダセェ鬼
第17回 拍手の甲乙記憶装置
ろくすっぽ草薙エージェント

瞬きする一瞬桜の花が散った
私はそれを見逃してみせる
誰でもない者の呼ぶ声が
複製の廃墟にこだまする

竜飛岬 日帰りで行こうかと
その勇気買われ 入院 (全治3ヶ月)
すんでのところで眼差し回避
全身シャネルのホームレス

夜汽車の窓を開けて
風を顔いっぱいに浴びた日
コンパートメントの向かい側には
逆立ちする少女がいた

音速でおしめ変える受験生
三白眼の人間国宝 集まれ
枕木燃やす/おお 民の声が聞こえる
逆子には通用しないそのジョーク

手にした刹那 消えてしまうひとひら
べにをひくをんなぼた雪に寄せて
目を開けて見る夢 目を閉じて見る現実
幼子は叫ぶこんなにも年老いたのかと

醒め続けることの圧倒逆境の賭博者
西行の湿布時にはボウガン
ふいごに寝首をかかれる
祐天寺の十姉妹は鳴かない

緑地のイザナミ掟の門番
眠りたい気持ちは還元の詩学
諫早を左手でむんずとつかんで
起きあがりこぶしのように承認

スクランブル・真面目・菜っ葉
コロサインコロシアムチョギー
トンネルを抜けると 頭ごなしに
我慢の限界がやってきた仲裁

上下動 水道橋で行うと良くない
社会的に 福祉関係の仕事の罠
新品の枕のように平手で殴る
ある阿呆の涙目 Exchange

紋切型を集めて手で聞く背ばや
鳥兜の意味 僕の行いの総体
広目天さん此度はようこそ
疲れを癒してニコラの右眼

濁声の梟がいかづちのペダルをこぐと
自分自身の価値が 相対化される
烏賊墨スパゲティーをこぼすと
破滅的思想がふつらと湧いてくる

戸刈勲68歳 職業 : 盗っ人
出来たての卵焼きをすぐさまポイする
ことが何よりも楽しい晩夏
よくゴルフボールと間違えられる

差し詰め、整地は自分で行え
越境することの不条理
こぼさで、 墓地を巡ることの情緒
圧勝、存在するはずのない存在者

眩暈が常駐コーン抜きのカフェオレ
鳥は鴉蛇は厭い
むずかれ独歩の一人鬼退治
帰属の病と自然薯の末端価格

もっと近くに寄せて見せて
やりきれない衝動躊躇いの折檻
体もたげて 骨相のままに
闇に縛られないで Holas

献身的な転任 一口の煩い
寂寞の恒河沙 集まるエテ公ども
暁のアームチェア居座る不良
千両万両 右手だけ煮沸消毒

足を煮込めぐつぐつぐつ
森の小人たち謀るフットライト
博打打ちを採取とれたてのニヒル
大きな目玉の膿をハレルヤ

生まれたてほやほやのチェリスト
感度は十分浅慮に過ぎる
星の砂を集めて捨てる
我が道通す 押し並べて憂慮

解脱せよ 紳士淑女大王イカ
イオンが足りてない 足首総統
粕汁ニャンコ 異形のファンタジア
霞草の陰から寄り添うまつ毛

無機物による止め処ない摂取
白兵戦 思い込みの毒針
旭川の暴力 水際のシンフォニー
腐れこの朝の終わりよ

午後の曳航虹色の革命家
托鉢によるルビコン河断
交差点的述懐手捌きはコンビーフ
踊り狂おう 時が失くなるまで

永遠より長い一瞬
紅茶に砂糖を溶かす時間
待つということ
裏切りのハウステンボス

藝術家のスランプ発狂フラグ
お色直しにカマトト連れて来い
刺され 富裕層にこの暮れ方の一撃
佐久間が来たりて笛を吹く

函南 橙色の灯篭 木洩れ陽の奥歯
枠組みだけは手作りお休みなさい
そして夜は明ける
ゴロツキどもが街から姿を消す

真っ赤なファルコーン 突き抜けて
口蓋カタストロフ like a 湿潤地帯
緑色のバレッタ 光線銃持った軍人
眼光紙背 アメリカの挽歌

嗚咽と徒労 クリオネ焚き火
カワラヒワのボディバランス
もんどり打つこと承知で金髪
夜に短し真昼に長し

チャンスはピンチ 岡っ引きの舞い踊り
通過点はアニマルカラー
検非違使のナンセンス 黒い交際
電脳図で見て心の屏風

赤い毛並みの天駆ける馬が
空にビロードを敷き詰める頃
地下に住む家族たちは
声をひそめ 来し方を語り合う

映写室の9 音楽室の7
謎めいた執事一向に口を開かない
涎をたらす獣北を向く船首
剥がされた肩当て 鈴の音チリン

野沢菜ばか植わったテラス
正気でない限以耐えられない
酒宴に興ずる暗愚な臣民
右肩上がりの天秤座 出張

かなりのプロ意識 持たずとも栄転
力及ばず 騙しそこねる豚玉
ロから砲撃 わざわざ見舞い
ナラダッタの恋と総選挙

鋭利にできたいかした木槌
右に左に振り回す小男
禁忌を恐れ 忍び足の童歌
温泉街には欠かせない角度

憂愁と栄誉 両手に抱え
私はこの街を旅立った
後に残すものは何もない
鋼の矜恃を除いては

愚作駄作に塗れるあまり
金の卵を見失う
純粋という言葉の虚構
言葉そのものに潜む嘘

凍てつく夜霧を駆け抜く死の馬車
馳せる思いを掬せミリアン
即興詩人の中身は腑抜け
豚も回せば策を練る

あの人の髪の色が変わってゆく
無人駅にも流れる時間
役立たずな勝敗を捨てて
大渦に飲み込まれてみよう

群衆の中にいる時ほど感じる孤独
共感ほど切ないものはない
固有性を追い求め続け
たどり着くのは庸人の答え

バネ式梯子茶柱 R&B
380回にわたるトリートメント
手の甲に現れた新種のマニラ
厠へ行く間に日本沈没

広角レンズとお披露目の情け
糸巻きエイの底意地見たった
御意に御意にメエルストロム
砕いた雪を片っ端から喰うぜ

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