四行詩1〜50

積み上げられた木の椅子の
頂に鎮座するドコモダケ
シフォンケーキは好評
硯の黒が一番黒い

孤星は闇夜に己を光らせ
じっと好敵手を探している
燃え尽きるその日まで
珈琲ジョッキで飲んで気つけ

1億歳になったら結婚してください
爪に灯して生き永らえますから
貴女が亡骸でも
ケバブの棒だけは回り続けるから

結果残したい子ら
ワークショップ痛い目おそうめん
じねんとたわむるお年頃
ドキュメント詰問おにゅうめん

呼気が白群に見える昼下がり
テレビのRGBが目に混ざらない
消えた蛍光灯は冷たく
ヨギボはいつもより固い

平日の昼間に独り
カルーセルを3周して考えたことがそれかい
「君はいつだって…」
早くその思想の凝りをほぐせ

お米刈り取る中腰の汗と
寝冷えした汗と
不意の便意の汗とを
一括カート注文で送料無料

本川越駅に着いたと思ったら
太めのミソサザイを見た
そいつが姿見に映る自分に
一喜一憂しているとは思えねぇ

あの三叉路が全然見えてこないから
地図に少し手を加えてやった
道ゆく白髪の手にも赤ペン
この頭はリー博士のものじゃない

窓の外にデモの声
押し合う体 飛び交う唾
僕の/私の大切なものを守るため!
ああ関係ない アクリルで蓋

変な転校生「柳生コアラ」
見たこともないくらい平凡顔
零細出版社について熱く語ってた
ひょっとしてあれが現代のブラックジャック?

紅芋探して所沢 暗くなってpray
あったけどもっと「くれない」かと思ってたよ、サージェント・ジョー
あらゆる手間省くことの結果がピストル?
そりゃ、まあ簡単だけど…

横なぐりの雨だけがかろうじて為し得た
バンカーに対しての水平のアプローチ
しゃぶしゃぶ屋のバイトは適応障害
今ん所みな暖かく迎えてくれてる

ウッスィーオ!S II(エス・ツー)胡麻絡繰り
右に舵切って〜 艫綱、離れてあれ!
黒のボブで赤のドレス着られたら俺イチコロ
少年誌夢中に繰る日の手の黄赤

シープ・ド・レープ レーパーザン蒼
ミンガス6すっぽ supported byコニカミノルタ
快適な蒼の旅をお愉しみください
利き酒6年 ウィ出処菜箸(オレンジの)

突き刺して 貫いて
赤い心臓 止まるまで
切り裂いて 投げ捨てて
誰もが目撃者ピューリッツァー

我が物顔G(ギガ) 肥大化した自我
病葉にオールタイムやまいだれ
串なき所に焼き鳥あらず
所在無げな奥様へへへ

椋鳥の声で目を覚ます
聞房から弩砲まで数センチメートル
泡沫(うたかた)の夢睨むケルベロス
東中野には何もない

特に何も問題はない
イクラートカヤゴンドルー
水色のハイハット 腕力自慢
引き裂きたいその衝動

待って地に足がついてない
嫌がって身にもなってない
白いカラス追い続けて
言葉の履歴書 いつまでも白紙

留めておけ その憤怒
内部崩壊するまで泡沫
レッツラ人肉パフォーマー人生
訣別の朝肌色の空

最初の言葉は靴下
愛妻家の 「それでも」を封じる
多言語空間に斜めの閃光
また繰り返すハチャトゥリアン

二方向へ同時に向かうこと
切り返し送り迎え
飛び損ねた飛行機
見えたはずの飛行機雲

平原に用はない真っ白け
あたぼうとかしかとかしか
黄色いトゲトゲ 死の棘
左右の区別すらわからない

反道徳の誓い からはやふると
美技に酔いしれ エイヒレおかず
後のところは遣唐使に任せて
聞き分けのない駄々っ子排除

アッピールしていこう 地の塩
セッティングだけさせて世の光
農薬はもういらない そんな
こととかを言っているかどうか

瞳に殺された十七の夏
傾ぐことすら寿ぐことすら
現実逃避して言論挫く
待たせるだけ待たせておけ

睨(ね)めているの? 感じているの?
もう私たちの午後戻らない
真実の容疑者 方輪のイジチュール
俚諺使いこなすマタタビ仔猫

夜のガスパール金輪際輪ゴム
文化に貢献 両手に双剣
奇妙に増え続けるお為ごかし
ユニヴァーサルにささくれだつ

右に二回転 波打つモティーフ
下っ端貴族に木っ端喰わせろ
お得意の二枚舌でビスケットしてみろ
故郷捨ててきたこの思いに恥じぬよう
ぼくは生きる

デトロイトの闇夜泣き叫ぶ猫
裏技知ってる 俺だけすり抜ける
くされ縁が役に立った日
忘れないでいや忘れて

東方見聞録で酒を飲んだ
お通しがぼったくり価格だった
茜色の空から女の子が降ってくる
彼女の名前はずっと前から知ってる

退屈に恥じぬgrand mother
裂けるチーズチューリッヒ発
人間合格 丸まりながら
今宵の今宵をわめけどわめけど

舌ごと飲み込みサイバーパンク
領収書片手に腹筋地獄
銀のサラダに盛り付けるのは
紅い蝶のラストチャンス

表現者の苦悩 鑑賞者の無能
表面であり裏面である存在
温めて食べるものから順に
誅殺せよいざ我に続け

排気口の中から出てきた一匹の狼を
痩せた老婆がビンタする
すると夜明けの東方に
岡田将生がほの見える

しぐれの猫窓から配送料
腹に一物食わせて惹起
水底から燃ゆる火花いなして
知らずに推され 感謝感激

猩々ども道に横たわる
一陣の風が木の葉を散らす
ざわめく静寂 轟く沈黙
ガーゴイルの目は真紅のルビィ

シーザーは渡る無情な河を
朝飯前の自転公転やらかした
神様 泊めて 今夜だけ
自信過剰な扇風機とクワガタ

練り固めた紋切型
白く裁いた空隙の中で
オドラデクが踊り出す
ある旅芸人の一生

五つの色を使っても
一つの色しか描けない
砂漠の砂に紛れ込み
天使のラッパが聞こえてくる

猥雑な街頭の中から不意に
現れた待望の子 待ち望まれた子
さくらんぼの種から生まれた
子の名前は永遠につけられない

108匹のミノムシ
親指ほどの大きさ
思弁的に過ぎる
奴らを甘やかすな

ドレープ状の狡猾な罠
レイバンをかけた一人の男が
そそくさと虎から逃げ回る
真夏の夜の夢

梟が智慧の実を食べた夜
星が一斉に消失し
その焼け跡から新しい息吹が
言の葉を伝えにやってきた

環状線を歩いて渡る大男の話
乞食が必死に編んだその話は
誰にも語り継がれることなく
法螺貝の中にだけ 眠っている

猫を踏んだ命を踏んだ
裏表のない平面ピエロ
詳細はのちに報告します
だから今はだから今は

柵から身を乗り出す 奇矯な女
金切り声をあげるが 誰にも聞こえない
ふと見上げると空には風船が
今にも割れそうで割れた

何の象徴でもない ただの赤ん坊
多才な割りにはカルアミルクの臭いがする
画家はその赤ん坊を買い取った
自らの絵筆と引き換えに

決別の時それは今だ/未だ
憂国の闇は訪れる者を呑み込み
地獄の深淵が口を開く
さあ飛び込め 我れ先にと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?