四行詩351〜400

将来性など岡っ引き
卍固めの弱い闇
お酒の力を借りてワナビー
差し引きゼロで身投げの縄とか

たれてあることの一瞬
3000匹の蚊が止まった桶を突っ込んで
不条理なまでに翁
知るべきことと見るべきこととの乖離

家族になろうよ ふなっしーとの訣別
賢治兄ちゃんの撮ってきた写真 赤目
人間が存在することのウコッケイ
否認させまいとカウンターアタック 血

おいらは花花札五番勝負でやんす
デレる妻ミスチルのベーシスト 烏賊
所狭しと立ち並ぶランキング形式
ウサギの六匹 ハネデューの屋形船

浅倉さんちの昼ご飯装いだけピッコロ
リューマチを見つけ次第即逮捕すべし
オカメインコの砂丘で吸血鬼がダンス
来週のゲストはハツカネズミー択

あたぼうよおらこんな村住みたい
武蔵野のフンボルトペンギンを料理
手作りの午前二時 首長竜を祀る意味
ジンギスカンの為に国をひとつ滅ぼす

あせもができたので消火器で処置
トリップしたくて湾曲紛いのニヒリスト
態度で示す JIS漢字コードの友
(^ω^)←こいつを早く捜してくれ

雨の朝露からナフタリンのピラニア
サトウマサルにつける薬はもはやねえ
落さのイグサモグサ 北千住 小庭
妖怪はいまだ徘徊している!(笑)

ブラック企業の腰骨に風船機を代入
席亭の領主が吹っ飛んでちょろまかし
機関誌「ネルソンマンデラが行く」
奢った酒に寂寞の狂気と水分量の差

サキソフォン風の祖母の背中ヒールキック
怒声がしたので利率を求めていざ鎌倉へ
八戸さんから四度目の留守電しつこい
ボストンの骸は今生身の温泉街と化す

朝露飲んで今日も快調なミソジニー
救済は要らないのただ欲して
盲目の野性時に羅列と諭されても
窮鼠のあわいでかがよう鬼の目の毒

御殿場と日光の中間地点で写生
斜めからの一途放哉の役得恐れずに
九割方眠る猫背に腹は代えられず
汚れを気にして目を見開く小兵

彼女の尾鰭が無限退行する夜
視界が定まらないしかし心地良く
御身を任されたなし崩しの生と性
きりきり舞いの雛菊は不躾で

濁った鱗を鼻で嗤い 叫んだ声に耳を閉ざす
あけびのも時には往来喧しく
さあ 行け時は夏野に降る火の雨よ
旧来の破天荒から新しい維新の結語へ

人混みが密度を着実に上げて行く
余所行きの恥知らず 天性の賭博者
痛みをともに分かつことの不可能性
の/前で/我々は/私語するのみ

焦げつく夏の匂いに風鈴がけたたましい
凍てつく冬の匂いからおのがしし逃げ延びて
諦めて 気は心 二束三文の甲虫
湾と精神科医のシンメトリックな結婚

諸手を挙げて反対原理との対立
獲得と損失の似合う男の中の女
ストライキとかき氷の意外な関係とは
本村氏の手作り明日葉スパゲティ食えたもんじゃない

球根を送る輩をとっちめて煮込む
ささやかな不幸と疎かにした痛手
ゲバ棒は必要ないこの握り拳さえあれば
音声的意思疎通のなくなった未来へ

そんなとこ見てるのチミだけだよ
右手には早稲、左手にウシガエル
義手で見る「ちりとてちん」
子は宝、とは言ったものですなぁ

園児の顎を片っ端から砕き 自己満足
そよ風を覗いたら本物の哲学者がいた
斜線に耳をつんざかれ血に溺れる
陶酔の果てには長い明けることのない夜

人が人を人にするのであって在宅
無理強いそのものの発現 永代供養
落とした斧の色に拘ってはいけない
存立の危機にこそ (無)意味を見出せ

翌日何の?愚問 導き出せ波動を
傲岸に萎縮右手をクラップしてさあ
今何かが終わろうとしており、終わるものは終わるのであって、終わる

末端と餞別を取り違え地に足がつかない
寝転んで味噌 回転させて彼我の差を知る
黒眼がちな産毛の背の下で止まらない鼓動
栗の樹の奏でるジョン・ゾーンを聴け

茜色の扇風機に火照った汗を飛ばす
触れることのできないものを求め
失うことを恐れ はにかみで誤魔化す
16歳 一生に一度の夏の夜の夢

井の中の蛙を待ち伏せて高飛車
高邁な紳士を扉越しに暗殺者が狙う
都営三田線にまで勢力は及んだ
血の味を確かめ 今日も生の実感を得る

総てが演技侭よ恰も尾白鷲のように
大海を見ずに此処で生を終えるとは
「違う」 その一言が切り拓いた世界
透明な心でしか見通せない残酷さ

報酬は得た名誉は要らない心は無
足音は軽く伏しまろびて号外読む
小悪魔な悦子 司馬懿と同期させたい
仮面の下から覗く素顔を端倪

言の葉の流星を両の手で受け止め
練成させるは習熟の手習い
発心するも時が追いつかず
食うや食わずの忠臣蔵に籠る

死者の演説を聞き流す生者の群よ
知らぬが仏 馘斬ってごぼう抜き
すべてが線対称の世界 分葱の束
末期の水をちぎることの愉悦

生肉にシャワーをかけた
猫がニャーンと鳴いた
地蔵が微かに動いた
お茶の花を摘んだ

追い風には興味がない 水溜りの宇宙
シャボン玉の中に世界が丸ごと入る感触月に食われた太陽の愚かな美しさ
それは一瞬の瞬で消える類のもの

涙袋に真っ赤な血を溜めて
方法としての着払い不遜なる農民
落した週末が腰を執拗に狙う
枕木の軋みに思いを馳せては眠る

尻の皮膚が硬化してあからさまに
児達の集い いつまでもとれないむくみ
オスカを乗り回す休日が大声で黙る
カスピ海からの便り虹の伝言 ごめん

老いた灯台守に尋ねたあなたは誰
答えは潮騒に掻き消されてしまい
やがて空に打ち上げ花火を見る
私は常世の闇 あなたはいったい誰

底抜けの磊落さで負け戦も気にせず
今日も君を肴に僕はこの全身の痛みを
恐るべきことの到来の暗き先触れとして
この世に生きた証を遺すまで

最も長い道のりを最短距離で進む
地球をくるむナプキンを首にかけて
いざ眠らん 夢の世界はユートピア
裏から覗いた天体望遠鏡には何が映る

我は是空と説く茶碗 海辺の花束
色彩は幻滅六本の弦が歪める世界
その手に委ねられた獣としての使命
名を名乗れ我を見下ろすものよさあ

こうして腕を絡ませていると
いつまでも君から離れられる気がしないのに
君と僕とは別の個体/であって
肉体の刃が互いを血で染め合う

よろずのことは相談済 死語でさえ
私には宝玉いずれにせよタダ働き
天駆ける馬のいななきを聞くなかれ
あらゆる隙間が気になって入水

聖なるほどのポケカ
その点について熟考したとは思えない
アジア語って地球っしょ
病気は治したい、塩っ辛いダゴ汁

明日庭師が言う聞き取れない声で
昨日にとっての明日とは今日ですが
その今日は明日なのであって今は
永遠に訪れない 名付け得ぬものと

夢の午睡を果たし午睡の夢に散る
裸の海が生々しくこちらを凝視する
私は取り残されていった信天翁の心
その胸の中には浅葱色の死の匂い

振り返りざまに傾けたグラスから
紫色の液体がまるで温めた子供のように
ゆっくりとぬらりと零れ落ちる時
僕らは知るだろう時の流れの意味を

ニシンを付け焼き刃で炊き込み 破局
当局からの相談に一杯の水蛸も応えず
我は身一つであざなえる縄を引きちぎり
愚論を背に受け 虚無の底に落す

ケイギルを横切り 俄かテレビ誌に付け入る
壁そしてまた壁立ち塞がるは情報の盾
貫かれる「もしも」 生き続けるには呼吸
絶えず呼吸せよ誰にも必要とされずとも

んだ糸の白さを体言止めで表し
紅を引いた 軋轢の所作をうべなう
日頃の糧に感謝と弔いの念を捧げ
茶渋は猫の尾を徒らに引き寄せる

炎のまろみに危うく口を近付ければ
呼び返すは子供の情景 リトルネロ
義眼を外す際の心得はただ一つ
瞼の中で逆立ちしてのけるのみだ

を被っちゃいけませんか
あの計画をまたやるのですね
日照り続きの切り通しの中で
祖父の手を握る 孫の面影

DADAは歪められたスパイス 酢漬け
逆光に照り映えるおもむろな抑圧者
平行四辺形を結ぶ糸を捜す中途で
私は出逢ってしまった縦移動の枠に

顎髭の転がる音に密かに耳を澄ます
手に入れた和睦弑して失えば
虫の羽音は呪われた隠語の陰に潜み
奈落を喰らうとなって腕を千切る

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