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ひとつ、村上さんでやってみるか 村上春樹
読者からのメールとその返事がひたすら綴られている。真面目な相談からふざけた内容までさまざまで面白い。以下備忘録に良かった回答を引用。
これはファンからのお便りの一部。
死にがいを求めて生きているの 朝井リョウ
内容・感想
じわじわと不気味さ、不快感を積み上げていくような物語だった。
物語から浮かび上がってくるのは、生きがいを求めて迷走する若者たちの姿。彼らは心から打ち込める「やりたいこと」が見つけられず、すごい人になりたい、他の人よりも優れた存在でありたいという願望だけが空回りしている。本当は興味が無いのに、社会問題に関心がある人を装ってみたり、何かの団体を立ち上げてみたり、外面を必死で塗り固めて
村上春樹を読みつくす 小山鉄郎
人の解釈が知れて面白い。村上さん本人に取材した内容も書かれているので、ファンの方はぜひ読んでほしい。
日常が輝く物語「ペンギン・ハイウェイ」
読んだ小説:ペンギン・ハイウェイ 森見登美彦
あらすじ
主人公のぼく(アオヤマ君)はおませな小学四年生。そんなぼくが住む街に、ある日ペンギンが現れる。ペンギンの謎を研究するうち、不思議な現象は増えていく。やがてそれらは1つに収束し、ぼくは謎を解き明かす。
小学生の頃に出会いたかった物語
主人公・アオヤマ君の目を通して見る世界は驚きと発見に満ちていて、何気ない日常も特別なものにしてくれる。彼
サブカルで成功している人も鬱になる……?!
読んだ本 サブカルスーパースター鬱伝
鬱を患っている/克服したサブカル界の著名人たちへのインタビューがつまった本作。鬱の原因や、どのように克服したかが語られており、医学的な根拠はないだろうが参考になる。好き放題生きているような中年男でも、鬱になったりするんだなと新しい発見だった。
生き残るために必要なこと?
大槻ケンヂ氏には子供の頃、才能豊かな二人の友人がいたという。けれど、大人にな
発注いただきました! 朝井リョウ
小説家の仕事は、自分の頭の中に浮かぶ物語を文字にすることだ。しかし彼らは自分の書きたいものだけを書いているのではない。本著書は、様々な企業から依頼を受け執筆した作品を集めたものである。文字数の制限、キーワード、テーマなど、様々な条件を盛り込んだ職業的要素の強い作品の数々が読めるのが特徴だ。
作品後に掲載されている著者の感想が、面白い。エッセイで見られるような著者の自分へのツッコミが光る。また、
フォントの話をしよう パイインターナショナル
パッケージデザインから会社ロゴ、装丁、ウェブデザインまで、あらゆる媒体のデザイナーのインタビューが載っていて面白かった。経歴はそれぞれ違うものの、美術系の大学や専門学校を出た人が圧倒的に多かった。仕事は広告系や出版業界の人が多かった。数ある質問の中で、キャリアに関するものが特に興味深かった。
中でも中市 哲氏のキャリアにわくわくした。以下はデザイナーになった経緯について答えた文章。
Wor
「月と六ペンス」は神秘的な表現の辞書のような小説
あらすじ
死後その作品の価値が認められた画家 ストリックランドの人生を、彼の知人である主人公の視点から描いた作品。
ネタバレと感想
「人間の絆」が面白かったので期待して読んだ。「人間の絆」は、主人公フィリップが様々な人間との出会いを通して、信仰について、生きることについて、考える物語だ。そして一番のボリュームを占めるのが恋に絡めとられ苦しむ場面である。女性に手酷く扱われ、それでも愛すること
現実に存在したとは思えないほど尊い記憶の集積「ボクたちはみんな大人になれなかった」
読んだ小説: ボクたちはみんな大人になれなかった 燃え殻
あらすじ
美術制作の会社に勤める主人公の半生が、過去と現在を行き来しながら語られる。著者の自伝的小説。
感想
エッセイが良かったので期待が高まっていた。読んでみると、エッセイと被る部分が少なからずある。自伝的小説というのは本当のようだ。
まず主人公が「自分よりも好きになってしまった」という彼女が素晴らしい感性と知性の持ち主で、そ
三浦しおん「まほろ駅前」シリーズの良さを語ってみる
今回は「まほろ」シリーズについて。全三作で、タイトルは下記の通り。
まほろ駅前多田便利軒
まほろ駅前番外地
まほろ駅前狂騒曲
第一作の「まほろ駅前多田便利軒」が最も完成度が高く、特に人物造形が素晴らしいです。さっそく中身に入りたいと思います。
あらすじ
主人公は便利屋を営む多田啓介。ある日、高校時代の同級生である行天春彦に出会います。家もお金も無い行天が多田の事務所に転がり込むことになり、