フォントの話をしよう パイインターナショナル

 パッケージデザインから会社ロゴ、装丁、ウェブデザインまで、あらゆる媒体のデザイナーのインタビューが載っていて面白かった。経歴はそれぞれ違うものの、美術系の大学や専門学校を出た人が圧倒的に多かった。仕事は広告系や出版業界の人が多かった。数ある質問の中で、キャリアに関するものが特に興味深かった。
 中でも中市 哲氏のキャリアにわくわくした。以下はデザイナーになった経緯について答えた文章。

大学では、 Windows に元々入っている画像編集ソフトやWordやExcelを使ってフリーペーパーを作りました。プリンターで出力して、毛糸を使って製本して。 古着屋やカフェに持っていって。 そんな活動をしていたこともあり、デザインやアートに関わる仕事がしたいと、 広告代理店に入りました。 でも「違ったな」 と、 3か月ぐらいで辞めちゃって。 そのあとの会社で玉村浩一(以下、玉ちゃん)と出会って、一緒に独立し、 ライツデザインを立ち上げました。

 WordやExcelで作ったフリーペーパー、どんなものだったのか見てみたい。自分のやりたいことに忠実で楽しそうだ。
 一方、山田和寛氏のキャリアは金銭的な理由で決定された。

プロダクトデザイナーを目指し、 大学は多摩美術大学に入りました。多摩美の夜間部のデザイン科には4つのコ ースがあって、2年の途中までは、スペースデザインとプロダクトデザインの授業を受けていましたが、 作品の制作費がかかるんですよね。それで専攻を決めるときに、 お金がかからないコースにしようと思い、ビジュアルコミュニケーションコースを選びました。

 おそらく当時の山田氏には「これがしたい」という明確なジャンルが無かったのだろう。しかし、自分の欲求以外の理由から選択した道であっても、熱心に勉強していたことがこの後の文から窺える。



メモ
鳥海修  「文字塾」
松田行正 ブックデザイン
府川充男『組版原論』タイポグラフィ

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