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サブカルで成功している人も鬱になる……?!

読んだ本 サブカルスーパースター鬱伝

 鬱を患っている/克服したサブカル界の著名人たちへのインタビューがつまった本作。鬱の原因や、どのように克服したかが語られており、医学的な根拠はないだろうが参考になる。好き放題生きているような中年男でも、鬱になったりするんだなと新しい発見だった。
 

生き残るために必要なこと?

 大槻ケンヂ氏には子供の頃、才能豊かな二人の友人がいたという。けれど、大人になった今、一人は自殺し、平凡だった大槻氏だけが成功していることが不思議だ。社会で生きていくためには鈍感でなければならないと誰かが言っていたように、生きる秘訣は才能とは別のところにあるのかもしれない。
 また、精神が不安定になる原因として、大槻氏は選択肢の多さを挙げている。なぜなら「何をしようって悩んで、結局何もしなかったって無力感が自分を責めるから」。たしかにそうかもしれない。だからと言って選択肢を狭められない多様性の時代ならではの問題なのかもしれない。「自由からの逃走」を思い出す鋭い意見だ。

立ち直りの秘訣

 釣りに誘われても「沼の中にじっとしている ブラックバスの様子を想像したら怖くなって行けなくなちゃう」ほど弱っていた大槻氏は、どのように立ち直ったのだろうか。
 まず行ったのは精神医学や鬱の本を読み、自分の状態を調べること。医者にも通ったというが、そこでは安定剤と軽い睡眠導入剤しか処方されず、空手を始めるなどして自力で抜け出した感が強い。それから重要なのは考え方のようだ。森田療法というもので、「生きていれば不安や葛藤があるのは当たり前。でも、何か目的があって、それに向かって行動してるなら、どんだけ不安や葛藤があっても人間として君は間違ってないから、それでいい」と言い聞かせるそうだ。

モノマネのおかげで?!

 杉作J太郎氏の鬱克服談は冗談かと思うような内容だ。なんと氏は、死を考える中、ふとアニメのモノマネが出来ることに気付き、「これを披露するまでは死ねない!」と思ったという。面白い人である。しかしながら、音楽やアニメ、映画に救われること自体は珍しいことではないようだ。杉作氏は「人生に楽しいことなんか何もないから100円でDVDを借りる」と言って映画にハマったという。ペシミストの傾向が強い人ほど、作られた理想世界に救いを求めるのかもしれない。

鬱病患者増大の原因は製薬会社?

 川藤正幸氏は、抗鬱剤を飲むことで安心感を得られるという。薬に頼りながらも、「だいたい鬱のサイトをやってるのは製薬会社だから、 鬱病患者増大の背景には企業戦略が絡んでいるのかもしれませんが......。」と社会の闇を語った。


総括
運動と娯楽と自己暗示が回復のカギ



メモ
ドストエフスキー「絶望のなかにも焼けつくように強烈な快感がある」

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