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不定期通信

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#エッセイ

最初の大きな一歩

最初の大きな一歩

Hybrid ER system導入に向けて一歩踏み出します。

運用をどうするか、どれくらいの稼働数を目指すか、何年でペイできるのか、などなど。考える事が多く、なかなか一筋縄では行きません。一時は三次救急でも無い当院で必要なのかとか諸々考えましたが、運営の方法を考える事で解決できる話題が多いようです。

自分自身が能動的に関係するはじめての高額医療機器であり、病院の存在自体を左右する機器です。無

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全力を費やさない理由など無いだろうに

僕は幸運な生き物だ。

口惜しいが生まれた環境は恵まれていた。毎日生きると言う事自体の苦労は味わった事がない。のうのうとドラ息子らしく生きて来て、その延長線上にしか今は無い。ハングリーに生きているつもりだが、言わば、イミテーションワイルドだ。

とある人から、そこまで臨床に打ち込めるのは何故かと問われた。僕のスタンスとしては、逆に、どうして打ち込めないのが普通なのか、と言う形なので、若干答えに窮し

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理想と現実と暴論

理想と現実と暴論

有るべき姿を定めて、それを到達すべく対応する努力やら調整やらを尊いものと思う。そして、その体制を構築する、そのチームを作り上げる、この為に尽力する事を正しい事だと思う。

ただ、現実を見なければならない。医療には継続性が必要だし実現可能でない理想は空想に過ぎない。また度外視できない現実的な問題を恫喝や脅迫で押し除けようとするなら、それは大人のやる事じゃない。

折角の正論や理想論が暴論になる方法論

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どんな顔で会えばいい?

どんな顔で会えばいい?

昔、大誤診した。

エクスキューズで言えば、ギランバレーかもって思い精査を提案したが、上級医に否定され、検査できなかった。その後、神経症状が悪化して、ようやく時間がかかってMRIを撮影し、脱髄性疾患の診断を付けた。初診から2週間近く経っていた。

それから文献を漁り診断に焦った。治療も進めつつ、毎日神経診察もして、状況を逐次把握した。多分あの瞬間には、あの患者の症候と鑑別診断に誰よりも詳しい自信が

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ところで僕はどこにいるのか。

ところで僕はどこにいるのか。

救急科の頃も思ってきたこと。放射線科に来てからといっても感じていること。

自分は今どこにいるのだろうか。それぞれのキャリアパスが明らかでない時代だからこそ感じることだが、医者として今の立場は真っ当なのか。

例えば今やっている手技は救急専門医として恥ずかしくないレベルかどうかと言う判断。もしくは、放射線科専攻医として何年目のキャリアに相当するレベルのスキルか、と言う評価。こう言ったマイルスト

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正しさの物差し

正しさの物差し

今年が始まってもう二週間、驚くべき速度で日々が流れていく。日々やるべき事が山積みになっているからこそ感じる事かも知れない。

日々の臨床の中、もしくは、同僚との問答の中で正しさとは何か考えさせられる事が多々ある。人の命とか生活の存続に関わる一線で働いているのだから悩まない方がどうかしている。これで良いのだとは思う。ただ、自他の正義が必ずしも一致しない時も多々ある。

僕は正しさをFairnessと

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あの日、燃え尽きていたのか?

あの日、燃え尽きていたのか?

数日、夏休み的な感じで休んでいた。

僕にはリフレッシュ休暇なんて不要だと思っていたのだが、上司の命令もあり、大人しく休んだ。確かに、年末年始フルに働いていたから、連休自体が久しぶりであった。何となく、休んだ方が良いことは理解ができた。

休んでみて、家族で遠くに行ってみて、意外と自分には職場以外の世界があるのだなと感じた。仕事以外の存在意義は無いと思っていただけに驚いた。

行った先が知らない土

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多分勝手に誰かの何かを背負って生きている

今日は新宿でお勉強。

東新宿からストライカーまで歩いてきて、街の景色に感じ入るところあり。10年前は時々関東に帰ってきて、あっちこっち行っていたけど、ここに来ることは、あまり無かったなと思い至る。あまり来たいと言う気もなかったのだろう。

会場は東京医科大学病院の直ぐ近くだ。綺麗な建物、アーバンな街並み。ハワイ大学時代にお世話になった先生は、こんなところで診療していたのだなぁと今更ながら実感が湧

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フラッシュバックが止まらない

フラッシュバックが止まらない

写真と裏腹、雨である。全国的な現象のようで、台風連発している以上は止むないのかも知れない。たまの受け持ち患者さんの少ない連休にて、少しゆっくりと行きたいが、学会の準備はギリギリ食い込んでおり、このままだと間に合わないかも…と言う状況である。まぁ、ラストスパートかければ意外に何とでもなるし少し大きな気持ちでいようかな。

さて、それはさておき。寝てる時など、ふとした瞬間思い出しては網膜に焼き付いて離

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堂々巡りで朝が来る

堂々巡りで朝が来る

かつて分不相応にもマネージメントが主業務だった。医者として、当時4年目。自分が思う理想の為には、必要な立ち位置だった。しかしながら、そうこうしている内に澱のように積もったのは、1人の医者としてスキルアップするべき時期なのに、ジジくさいことに注力して自分自身の5年後10年後にとってはマイナスじゃなかろうか、と言う想いだった。その気持ちを信じて、僕は一度所属を離れた。

同一の院内で立場が変わると言う

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真夜中の風が季節の移ろいを教えてくれる

真夜中の風が季節の移ろいを教えてくれる

病院という所にいると、季節の移ろいに疎くなる。快適ではあるけれど、変動しない気温、均一な灯り、季節を感じるのは疾病構造くらいだ。

真夜中、一歩外に出た時の匂いと気温が、僕の感じる一番の季節感だ。虫の声、遠くから響いてくるエンジン音、夏場は聞こえない電車の音。

もう秋だ。オータムフェストに行きたいと言っていた患者さんは、ちゃんと行けるようになるだろうか。来るべき冬に、増えるだろう重症例に、チーム

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