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トウキョウ百景

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東京生まれ東京育ちの30代。 太と環は、それぞれの東京で生まれ育ち、二十歳の時に東京で出会いました。 2人が見てきた東京の景色、東京での物語を、紹介していきます。 ぼくらが育…
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#今こんな気分

下高井戸での違和感は私のアラーム?

下高井戸での違和感は私のアラーム?

声が大きいなと思った。
下高井戸駅の本屋で待っていると、吉田くんが若干の汗を滲ませながら「遅くなりました」とはにかんだ。時間に遅れたことは本当にどうでもよかったものの、なぜこんなにも本屋で声が大きいのだろうと少しひっかかった。

それから下高井戸駅の周りを散策して、カレー屋さんへ行く。クラフトビールを飲みながら、仕事やジェンダーのことに話が進む。同じソースから情報を得ていることや、大切にしたい考え

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君が生まれて、虎ノ門に向かう銀座線で泣き笑いしたくなったことを思い出した

君が生まれて、虎ノ門に向かう銀座線で泣き笑いしたくなったことを思い出した

自分の人生の底と言えば、いまからちょうど7年前だ。
思い返すと、自分で引き起こした出来事がうまくいかず、それでもう世界の終わりみたいな気分になって、なかなか浮き上がることができなくなってしまった。
最近「鬱の本」といういろんな人の鬱な感情や出来事のエッセイ集を読んでいて色々と思い出したのだけど、自分がそのテーマで文章を書くとしたら間違いなくその頃のことを書くと思う。

妻との出会いや家族や友人の支

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西新宿でふと気づく役割

西新宿でふと気づく役割

縛られるのがこの上なく嫌いだ。
誰でもそうかもしれないが、自分は特にその気持ちが強いと思っている。日々生きてて困るのは、定時という概念による束縛だ。

定時。それはこの時間からこの時間まで働くという会社との契約を指す。誤解のないように言っておくが、定時退社するやつが嫌だとか、そういうことではない。なんで私が生活する時間を、相手に決められないといけないのだと思っているだけだ。

ただ一応、社会でどう

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事件は国分寺のマンションの一室で起きた

事件は国分寺のマンションの一室で起きた

大学4年生の頃、就活を終えたと同時くらいのタイミングに、仲が良くて色々と面倒を見てもらっていた一個上の先輩から「久しぶりに会おうぜ」という連絡をもらった。
ぜひ進路の報告をしたいですと返信すると、待ち合わせ場所は国分寺駅近のタリーズを指定された。先輩は、最近国分寺でよく遊んでいるらしい。

タリーズの中に入ると、すでに先輩は到着していた。
学生時代と変わらず元気そうな先輩と向かい合わせで座って、お

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