マガジンのカバー画像

俳句・句集

75
句集や季刊誌の紹介など。
運営しているクリエイター

#句会

俳句・二句選・花林花句会。

俳句・二句選・花林花句会。

先日、花林花句会の忘年会に参加させて頂きました。

各人の自選20句があり、
その場では言いそびれた感銘句を
各人分から二句選でご紹介します。

※各人の年間自選20句の全句は
来年2月刊行の「年刊花林花2024」に
掲載、とのことです。

高澤晶子氏「デクレッシェンド」より

言の葉を飾りて祝うお正月

身ひとつ宙に浮かせて赤蜻蛉

廣澤田を氏「空白」より

待ち合わす人も黄蝶も風の中

宙を打

もっとみる
俳句の会の忘年会に参加しました。

俳句の会の忘年会に参加しました。

今日は忘年会に参加させて頂きありがとうございました。

作品についてのそれぞれの考え方や身の上が窺えて、大変参考になりました。

短歌と俳句の違いはあれど
「作品作りに自分はどう向き合うか」
という問題は共通だと思いました。

そして作品作りへの向き合い方が
人生への向き合い方と重なる部分があるのでは無いかなあと思いました。
まるっきり同じでは無いけど。

古本屋の営業もしてきて
売約の本のお渡し

もっとみる
オンライン句会の参加日記・2023年5月7日

オンライン句会の参加日記・2023年5月7日

夏雲システムを利用したオンライン句会に参加している。

私は俳句に関しては鑑賞や読む方が得意だと思っていて、他の参加者の俳句の
・季語の上手な使い方

・取り合わせ

・マニアックな季語の使いこなし
などにすごいなと思うばかり。

季語の奥深さや
短い中にいかに収めるかなど
俳句は俳句なりの独特の難しさがあると思う。

その難しさを楽しめる人はすごいとも思った。

終わり。

「年刊花林花2023」を読む⑫渡邊慧七氏

「年刊花林花2023」を読む⑫渡邊慧七氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。
※新しい同人のため十句連作が掲載されている。

渡邊慧七氏「寂寞」より。

種田山頭火の「分け入っても分け入っても青い山」を彷彿とさせるが、更に作者らしさや、定型句などの要素がある。空を掬うという魅力的な設定が、この句を爽やかにしている。

蟹を食べる場面なので、家族団らんだ

もっとみる
「年刊花林花2023」を読む⑪内藤都望氏

「年刊花林花2023」を読む⑪内藤都望氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。
※新しい同人のため十句連作が掲載されている。

内藤都望氏「幽霊人」より。

ひまわり目線の句だと読みました。ひまわりが元気に咲いている時ではなく、終わりかけで中心部分が種になりかけて、うつむき始めている頃の様子。元気なひまわりの句が多い中で着眼点が良い。

クチナシの甘くて

もっとみる
「年刊花林花2023」を読む⑩杉山一陽氏

「年刊花林花2023」を読む⑩杉山一陽氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。

杉山一陽氏「ゆううつ」より。

こたつとこたつの外との温度差で震えたのだろう。観察眼がある。なんとなく犬の性格も伝わってくる。

大きい鮫ではなく、小さなサイズの鮫だと思いました。鮫が大きかったら「かな」で詠嘆できずにもっと怖がるでしょうから。

ふるさとのほのぼのとした情

もっとみる
「年刊花林花2023」を読む⑨宮崎裕氏

「年刊花林花2023」を読む⑨宮崎裕氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。

宮崎裕氏「願い」より。

なんとなく短冊をたくさん書いて笹にさげることはしない七夕。風習と日本人の慎ましさだろうか。

砂浜で貝殻拾いをしていて、きれいな貝を拾うことができたら一緒に来た誰かに(家族、友人、恋人などなど)見せる。動詞と名詞だけの構成でそれが分かる不思議さと上

もっとみる
「年刊花林花2023」を読む⑧福田淑子氏

「年刊花林花2023」を読む⑧福田淑子氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。

福田淑子氏「菊かをる」より。

菊の花を選択した点が、作者らしさだと思う。宇宙から地球に映像が移り、それがどんどん拡大されて(グーグルアースのように)、地球上の菊と、その香りを嗅く作者で映像が終わる。菊が咲くのではなく、かをるという嗅覚が結句であるのも工夫を感じる。

海が

もっとみる
「年刊花林花2023」を読む⑦鈴木光影氏

「年刊花林花2023」を読む⑦鈴木光影氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。

鈴木光影氏「一行物」より。

地面に落ちたことを「地の記憶始まれり」としている点が上手い上に、その後の葉っぱの運命が気になる物語性がある。

噴水に、ガラスが割れるような音が当てられていて面白いと思った。語順にも工夫がある。オノマトペで句の半分ほどを使う勇気や工夫もすごい。

もっとみる
「年刊花林花2023」を読む⑤金井銀井氏

「年刊花林花2023」を読む⑤金井銀井氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。

金井銀井氏「スラックライン」より。

薬狩とは、山野で薬草や薬効のある鹿の角を採る風習だそうです。
ナイキのスニーカーをこの日のために買っておいて気合十分。

そういえば確かに!の句。テレビの映像と音から、ラジオで音の話題が移った後で、夏の雨の季語が出て、雨の音で終わるとい

もっとみる
「年刊花林花2023」を読む④石田恭介氏

「年刊花林花2023」を読む④石田恭介氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。

石田恭介氏「どくだみの園」より。

「ゆらら」の浮遊感が、屋敷跡の「跡」感を強めているように思った。また、闇と屋敷跡の取り合わせが句全体の雰囲気を作っている。

世界平和を願う句とも、作者自身の未来への句とも読める。そう思ったのは
世界の涯の涯の字が、生涯の涯だからだった。

もっとみる
「年刊花林花2023」を読む③榎並潤子氏

「年刊花林花2023」を読む③榎並潤子氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。

榎並潤子氏「クロッカス」より。

獣道の道をひらがなにしたことで、独特のやわらかさが出た。映像が浮かぶ句。

小さくて桃色な桜貝の形が、喩として活きている。血色の良さも伝わってくる。この句も映像が浮かぶ。

追憶の句だろうか。小さな映画館だと思う。映画よりも驟雨の方が気にな

もっとみる
「年刊花林花2023」を読む②廣澤田を氏

「年刊花林花2023」を読む②廣澤田を氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。

廣澤田を氏「花野風」より。

ひな人形は独特の重さがある。ひな壇は重いが人形自体は重くなく軽くないイメージだ。それを「よき重さ」としたことで、雛の存在の重さも寿いでいる気がする。

空から若葉への視線の移動が面白いと思った。作者の視点を追体験できる句。「柿若葉」の季語の選択

もっとみる
「年刊花林花2023」を読む①髙澤晶子氏

「年刊花林花2023」を読む①髙澤晶子氏

花林花という句会がある。
先日「年刊花林花2023」を頂いた。

各同人の花林花抄二十句の連作から、掲載順に感銘句を紹介。

代表の髙澤晶子氏「七回忌」より。

コロナ禍で色々な問題が浮き彫りになった。「コロナ」とは一言も書いていないが、世相を感じた。

詩のような謎めいた一首。擬人化されて秋風がしゃべる構図。この句がある連作のタイトルが「七回忌」であり、「わたしは誰でしょう」は実は故人の声ではな

もっとみる