にしざき

何かしら文章を書いていくのが目標です。お付き合い頂ければ幸いです。

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記事一覧

したがって無職。

 僕は無職になった。転職活動をする中で自分がいかに社会に必要とされていないか改めて思い知った。転職活動すらも思うようには進まない。例えどれだけ崇高な考えでも行動…

にしざき
6か月前
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プレゼントの靴

 先日の僕の誕生日にコンバースのスニーカーをプレゼントしてもらった。靴に防水スプレーをしながら、小学生の頃、靴が新品なのが恥ずかしいと思っていたことを思い出した…

にしざき
11か月前
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回転の怪聞の転回

「人は嘘をつく。人は嘘をなぜつくのか。嘘はその人に利益をもたらすからである。という嘘にぼくは騙されている」 「玉ねぎをみじん切りにするときってどうやるのが正しい…

にしざき
1年前

ゴムの木

 僕が仕事から帰ると、妻がゴムの木になっていた。ゴムの木になったと言っても、正確には妻とゴムの木が入れ替わったと言ったほうが正しいかと思う。こんな曖昧な表現をす…

にしざき
1年前
1

休憩

 大庭要助は、フライパンに水を張りコンロの火をつけた。パスタを茹でようというのである。要助は、朝から水以外口にしておらず、腹が減っているはずだった。しかし、火を…

にしざき
1年前

仕事

生まれ変わったら、月か鴎になりたい。ふとそんなことを考えながら、私はお客様のお会計を済ませる。 閉店後、店を片付けて足早に退店し、道中のコンビニで500mlの缶ビー…

にしざき
1年前

胃袋

俺は自らの胃袋を半ば自棄糞にむしりとった。そして、やったこともないペタンクを想像しながら、凡そ1メートル先の泥濘に投げた。胃袋の次に、前頭葉を、そして肝臓を投…

にしざき
1年前
したがって無職。

したがって無職。

 僕は無職になった。転職活動をする中で自分がいかに社会に必要とされていないか改めて思い知った。転職活動すらも思うようには進まない。例えどれだけ崇高な考えでも行動しなければ、それはこの世のどこにも存在しない。そう思っているのに、行動に移さないから、それはどこにも存在していない。周りの人たちもなんだか呆れているようだ。それは僕もそうで、僕も僕に呆れている。
 そこで日雇いのアルバイトをしてみた。このま

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プレゼントの靴

プレゼントの靴

 先日の僕の誕生日にコンバースのスニーカーをプレゼントしてもらった。靴に防水スプレーをしながら、小学生の頃、靴が新品なのが恥ずかしいと思っていたことを思い出した。靴がきれいなのが恥ずかしくて1、2ヶ月は履いている靴であるかのように見せるために、学校のグラウンドで汚れを付けていた。そんなことで自分が目立つのが嫌な子どもだった。友達と一緒が良かった。
 しかし僕はそのうち、自分が他人と同質であることを

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回転の怪聞の転回

回転の怪聞の転回

「人は嘘をつく。人は嘘をなぜつくのか。嘘はその人に利益をもたらすからである。という嘘にぼくは騙されている」

「玉ねぎをみじん切りにするときってどうやるのが正しいのかな。正しい方法を調べてみたけど、それが正しいとは思えなくて。そういうことが多くて疲れたのかもね」

「使えない人間がいる。仕事ができる人間は、モノになることができる人間だ。モノになれない奴は、みんな使えない」

「やりたいことに、無分

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ゴムの木

ゴムの木

 僕が仕事から帰ると、妻がゴムの木になっていた。ゴムの木になったと言っても、正確には妻とゴムの木が入れ替わったと言ったほうが正しいかと思う。こんな曖昧な表現をするのは、先に帰宅しているはずの妻が家におらず、代わりに家になかったはずのゴムの木がダイニングの、妻がいつも座っている椅子の上に置かれていたからである。仕事帰りにゴムの木を買って、椅子の上に置き、また何処かへ出掛けたのだろう。椅子の上に買った

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休憩

休憩

 大庭要助は、フライパンに水を張りコンロの火をつけた。パスタを茹でようというのである。要助は、朝から水以外口にしておらず、腹が減っているはずだった。しかし、火をつけてから気がついた。腹が減っていない。それでもパスタは食べよう、そう思った。
 火に掛けたフライパンの水面を眺めながら、要助は、大杉城公園について考え始めていた。大杉城公園は、今は跡形もない大杉城址に造られた公園である。なぜ、城は無くなっ

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仕事

仕事

生まれ変わったら、月か鴎になりたい。ふとそんなことを考えながら、私はお客様のお会計を済ませる。
閉店後、店を片付けて足早に退店し、道中のコンビニで500mlの缶ビールを2本買った。店員は、お釣りの小銭とレシートを青色のトレーに放った。1円玉3枚が落ち着くまで私は待ち、財布に仕舞った。店内放送のラジオが、最後まで私を追いかけて、夜の暗がりにまで漏れだしていた。
家に着くと、ベランダに出た。ビールを

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胃袋

胃袋

俺は自らの胃袋を半ば自棄糞にむしりとった。そして、やったこともないペタンクを想像しながら、凡そ1メートル先の泥濘に投げた。胃袋の次に、前頭葉を、そして肝臓を投げて、飽きて、心臓を放った。

雨雫が屋根から軒を伝って茂みに落ち、或る雨蛙の背中を打った。それに驚いたように蛙は一度跳ねて、次に三度跳ねた。梅雨が木の葉を狙って、自己陶酔的なリズムを奏した。そのタイミングで俺は、やり残した仕事を思い出

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