堀江昌史 出版社「能美舎」 /「丘峰喫茶店」代表

琵琶湖の最北端、賤ヶ岳という山の麓で「丘峰喫茶店」をしつつ、「能美舎」という屋号で本づ…

堀江昌史 出版社「能美舎」 /「丘峰喫茶店」代表

琵琶湖の最北端、賤ヶ岳という山の麓で「丘峰喫茶店」をしつつ、「能美舎」という屋号で本づくりをしています。元朝日新聞記者。朝日新聞滋賀県版、滋賀夕刊にて週1コラム連載中。その他フリーで活動しています。https://www.kyuhokissaten.com/

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    パンやのポポさん 山田美津子

    ポポポッポ♪ パンくださいな♪ ポッポポ どうぞ♪ まるまるパン♪ ぱんやのポポさんが、動物たちにおいしいパンをくばります。 思わず口ずさみたくなるリズムがたのしい絵本です。 120年続く私設図書館「江北図書館」(野間出版文化賞特別賞受賞)と、70年続くサラダパンで有名な「つるやパン」が、いっしょにつくりました。(いずれも滋賀県長浜市) JR木ノ本駅前の江北図書館にて、絵本の中に登場する「おうちパン」が食べられます。絵本を読んで、ぜひ江北図書館に遊びにいらしてください。 ポポポッポ♪
    1,320円
    能美舎
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    自然と神々と暮らした人びとの民具 小原かご

    ひとつひとつ丁寧に編み込まれた造形。 使うほどに光沢を増す木かご。 一度手にすれば一生を共にできるという。 この丈夫で美しいかごはどこで生まれたのか。 滋賀・福井県境、淀川源流の碑が建つ奥丹生谷という地域に、かつて七つの村があった。山越えにやってきた木地師たちが住み着いてできたと伝わる村々は、高度経済成長による製炭業の衰退化や、ダム建設計画により1995年までに地図から消えていった。 美しい木かごは、地図から消えた村の人々によって編まれていた。 奥丹生谷の人々は、山桜が咲く頃に麻の種をまき、夏は山桑で蚕を育て、炭を焼き、豪雪に備えてあらゆる山の恵みを蓄え、神々に平穏を祈り暮らした。買うものは釣針などのわずかな鉄製品と塩だけ。そんな暮らしの中で作られた『小原かご』は、カエデなどの広葉樹を材とした美しさと丈夫さが評判を呼び、北國街道を行き交う人々によって広域で流通していた。 本書では『小原かご』について、材料の採取から編み方までを解説。衣食住すべてを作り出す山の暮らしについて、かつての村人の語りや当時の写真と共に伝えている。 文化資源学を研究する著者は、現代で唯一となった小原かご伝承者に師事し、かご編みの技術を習得。ひとり、山へ入り材となるイタヤカエデを切り出し、かごづくり教室を開く。技術の継承者を増やそうと取り組む中で、「かごづくりが続いても、かごが使われていた暮らしの背景を知らずに続くことは『民具の伝承』と言えるのか」という疑問にぶつかる。師の語りに耳を傾け、かつての暮らしを聞き取りながら「民具の伝承とは、技術を継承することだけではなく、そのものが生まれた土地の景色や使われていた暮らしの背景を共に記録し伝えていくことである」という本質に気づく。本書はその実践的アプローチである。
    1,980円
    能美舎

記事一覧

アユ見える渓流に戻るまで

 環境省は13日、滋賀県長浜市と福井県南越前町にまたがる山林に計画されている大規模な風力発電事業に対して、絶滅危惧種クマタカの生息に影響があるとして、風車の配置な…

霞堤の浸水被害、公的補償を

 長浜市北部で昨夏に発生した豪雨水害を巡り、田畑が浸水被害にあった高月町馬上の農家横田圭弘さんは(2023年)3月13日、市の産業建設常任委員会に出席し、「霞堤内農地…

「濁りの長期化」 渓流からアユ消える(流域治水⑤)

長浜市の高時川が8月5日の大雨で氾濫(はんらん)して以降、「いつまでも川の濁りがとれない」として、高時川上流を管理する2漁協が同30日、連名で県知事宛てに濁りの…

治水機能、果たす農地に補償の仕組みを(流域治水④)

河川の増水時、治水機能を発揮するとされる「霞(かすみ)堤」。8月5日の高時川の氾濫で被害を受けた高月町馬上地域には、県が認識する霞堤がありました。同地域で約22…

泥が流れ込んだ先は友人の田んぼだった(流域治水③)

 長浜市北部で大雨が降った8月5日、高時川から氾濫(はんらん)した大量の水が多くの田畑に流れ込みました。  あふれた水が田畑にとどまり、家屋への被害を防いだなど…

後輩が住む集落が被災 移住を勧めた私は(流域治水②) 

 先月5日、大雨の影響で氾濫した長浜市を流れる高時川。私と同じ元朝日記者の船崎桜さんが移住先に選んだ木之本町大見地区も水に浸かりました。  水害発生から5日後、船…

ある日、突然他人事ではなくなった水害の話(流域治水①)

 8月5日、私の住む滋賀県長浜市を流れる高時川が大雨の影響で氾濫しました。  気象庁によると、長浜市余呉町柳ケ瀬では、5日午前10時までの24時間で雨量は164・5…

新会派「つなぐ長浜」お話会@ヨコタ農園

2022.8.17 長浜市議選で初当選された北川あきひろさんと村山さおりさんのお話会に参加しました。会場は、高時川の氾濫で農作物が大きな被害を受けた高月町馬上のヨコタ農園…

「てぶくろ」と「こまどりのクリスマス」

我が家の本棚には、母から引き継ぎ、私が買い足してきた絵本がたくさんある。シーズンごとに10冊ほど選書して寝室に運び込み、その中から息子が選んだ本を就寝前に2、3冊よ…

「生きている価値のない人」なんているのかな?という話をします。

私は今から5年前に、とても大切な宝物を永田純子さんという女性から受けとりました。「いのち」という宝物です。 少し、長い話を書きます。 私が純子さんに出会ったのは、…

新刊発売‼︎「いそがばまわれ」

障がい福祉NPO法人「ブラフアート」と一緒に『いそがばまわれ』という本を作りました。もう、タイトルそのまんまの一冊です。 初っ端から小社の新刊を卑下するつもりはない…

「産み育てたい街」守るのは私たちーどうなるお産⑨

 「よりよい死(終末期)」を整えるように、「よりよいお産(周産期)」も整えてほしい、と訴えた私。 命を歓迎できない社会に、未来はない。 「若年女性(20~39歳…

お産に安全以外のものを望む気持ちをどう表現するかの葛藤ーどうなるお産⑧番外編

さて、「どうなる?お産」をいつも読んでいただき、ありがとうございます。今回は同時に2本を公開します。なぜなら、ちょっと新聞紙面では伝えきれなかった、と思っている…

出産に望むのは「安全」それだけかーどうなる?お産⑧

 産婦人科医が不足する現状で母子安全なお産を守るためには、医療資源の集約化は仕方ないと納得した私。 https://note.com/noubisya/n/n153fdac76c8a 気になる「帝王切…

全国で不足する産科医 現場は「4K」?ー⑦

分娩取り扱い施設は減り、産婦人科医は不足している。ようやく知った現実。 とっくに悲鳴をあげていた現場 ネットで「産婦人科医 不足」と検索してみた。一番上に現れた…

あふれる妊婦、ギリギリの綱渡りー⑥

 県内で分娩を扱う施設は、2012年に比べ診療所27→17、病院14→10に減っている。診療所の医師の高齢化や、医師不足による医療資源の集約化が原因という。分娩を休止した施…

アユ見える渓流に戻るまで

アユ見える渓流に戻るまで

 環境省は13日、滋賀県長浜市と福井県南越前町にまたがる山林に計画されている大規模な風力発電事業に対して、絶滅危惧種クマタカの生息に影響があるとして、風車の配置などを抜本的に見直すよう求める意見書を経済産業省に提出しました。

 意見書では、計画地周辺では複数のクマタカのつがいによる営巣が確認されており、風車が設置されれば生息地を奪うほか、風車に衝突する恐れがあると指摘しています。また、昨年8月の

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霞堤の浸水被害、公的補償を

霞堤の浸水被害、公的補償を

 長浜市北部で昨夏に発生した豪雨水害を巡り、田畑が浸水被害にあった高月町馬上の農家横田圭弘さんは(2023年)3月13日、市の産業建設常任委員会に出席し、「霞堤内農地の公益性の認定と農家の収入減少補填を求める意見書」を関係機関に提出するよう求めました。意見書は委員会で部分採決され、22日の本会議で全会一致で可決されました。

 横田さんが被害に遭った農地は、県が「霞提」として認めるエリア。河川の増

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「濁りの長期化」 渓流からアユ消える(流域治水⑤)

「濁りの長期化」 渓流からアユ消える(流域治水⑤)

長浜市の高時川が8月5日の大雨で氾濫(はんらん)して以降、「いつまでも川の濁りがとれない」として、高時川上流を管理する2漁協が同30日、連名で県知事宛てに濁りの原因究明などを求める要望書を提出しました。

 高時川漁協(阪田光雄組合長)では、例年7月初旬ごろから9月末にかけて漁場を解禁し、遊漁券を販売しています。今年は8月5日の大雨以降、川の濁りが原因で一度も営業できないまま、今季の営業を終えまし

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治水機能、果たす農地に補償の仕組みを(流域治水④)

治水機能、果たす農地に補償の仕組みを(流域治水④)

河川の増水時、治水機能を発揮するとされる「霞(かすみ)堤」。8月5日の高時川の氾濫で被害を受けた高月町馬上地域には、県が認識する霞堤がありました。同地域で約22ヘクタールの農園を運営する横田圭弘さんは約11ヘクタールが水に浸かりました。

 「人は助け合い、認め合い、尊重し合って生きていくもの。うちの農地が下流の人の命や財産を守る役割を担えたなら良かったし、その役割を追うことは理解できる」と横田さ

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泥が流れ込んだ先は友人の田んぼだった(流域治水③)

泥が流れ込んだ先は友人の田んぼだった(流域治水③)

 長浜市北部で大雨が降った8月5日、高時川から氾濫(はんらん)した大量の水が多くの田畑に流れ込みました。

 あふれた水が田畑にとどまり、家屋への被害を防いだなどとして、その様子が「見事な治水」とネット上で注目を集めました。一方で、泥やがれきが流れ込んだ田畑には私の友人が耕作する田んぼもありました。悲しむ友に掛ける言葉が見つかりませんでした。

 8月17日、地元選出の市議が被災農家の話を聞く会を

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後輩が住む集落が被災 移住を勧めた私は(流域治水②) 

後輩が住む集落が被災 移住を勧めた私は(流域治水②) 

 先月5日、大雨の影響で氾濫した長浜市を流れる高時川。私と同じ元朝日記者の船崎桜さんが移住先に選んだ木之本町大見地区も水に浸かりました。

 水害発生から5日後、船崎さんの案内で大見地区を訪ねました。村では、床上浸水2戸、床下浸水3戸の被害がありました。

 歩いてみると、自動車立ち入り禁止のバリケードが建てられた石橋は欄干が損失し、根が付いたまま運ばれた立派な杉の木が流れに棹を差していました。ひ

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ある日、突然他人事ではなくなった水害の話(流域治水①)

ある日、突然他人事ではなくなった水害の話(流域治水①)

 8月5日、私の住む滋賀県長浜市を流れる高時川が大雨の影響で氾濫しました。

 気象庁によると、長浜市余呉町柳ケ瀬では、5日午前10時までの24時間で雨量は164・5㍉。レーダー解析では、5日午前6時半までの1時間に約90㍉の雨が長浜市付近で降ったとみられるといいます。

 同市木之本町に暮らす私も、猛烈な雨に恐怖を感じていました。雨量レーダーや、付近の河川のライブカメラを見ながら、友人と情報交換

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新会派「つなぐ長浜」お話会@ヨコタ農園

新会派「つなぐ長浜」お話会@ヨコタ農園

2022.8.17
長浜市議選で初当選された北川あきひろさんと村山さおりさんのお話会に参加しました。会場は、高時川の氾濫で農作物が大きな被害を受けた高月町馬上のヨコタ農園さんが運営する「Farm cafe Lian」。
 会の前半は、二人が結成した新会派「つなぐ長浜」の発表や、選挙の振り返りについてお伺いしました。
 後半は、横田夫妻から農作物の被災状況の報告を受けました。聴講者として参加されてい

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「てぶくろ」と「こまどりのクリスマス」

「てぶくろ」と「こまどりのクリスマス」

我が家の本棚には、母から引き継ぎ、私が買い足してきた絵本がたくさんある。シーズンごとに10冊ほど選書して寝室に運び込み、その中から息子が選んだ本を就寝前に2、3冊よみきかせるのを続けている。
この冬選んだ本の中で、3歳の息子が特に気に入った絵本が、写真のエウゲーニー・M・ラチョフ絵/うちだりさこ訳『てぶくろ』と、丸木俊画/渡辺茂男訳『こまどりのクリスマス』(いずれも福音館書店)だった。

『てぶく

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「生きている価値のない人」なんているのかな?という話をします。

「生きている価値のない人」なんているのかな?という話をします。

私は今から5年前に、とても大切な宝物を永田純子さんという女性から受けとりました。「いのち」という宝物です。
少し、長い話を書きます。

私が純子さんに出会ったのは、栗東市の料理研究家中井あけみさんの料理工房でした。県南部のくいしん坊が集う場所なので、私たちの出会いは必然でしょう。
中でも純子さんは、準備も後片付けもまともにしない、食べて遊ぶ専門のお役目で「純子さんだからしかたない」と得なキャラクタ

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新刊発売‼︎「いそがばまわれ」

新刊発売‼︎「いそがばまわれ」

障がい福祉NPO法人「ブラフアート」と一緒に『いそがばまわれ』という本を作りました。もう、タイトルそのまんまの一冊です。
初っ端から小社の新刊を卑下するつもりはないのですが、もしかしたら、最初は何を読まされているのかわからないかも…。でも、ぜひそこから読み解いてほしいのです。この一冊がある意味を。
今回は、私自身がその意味を理解するのに随分遠回りをしました、という話をします。いそがばまわれ、風に。

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「産み育てたい街」守るのは私たちーどうなるお産⑨

「産み育てたい街」守るのは私たちーどうなるお産⑨

 「よりよい死(終末期)」を整えるように、「よりよいお産(周産期)」も整えてほしい、と訴えた私。

命を歓迎できない社会に、未来はない。 「若年女性(20~39歳)が少なく、若者の流出も止まらない自治体は、やがて消えてしまう」
 日本創成会議は、7年前の報告でそう指摘した。
 「若年女性が2040年までの30年間で半減」「40年に人口が1万人を切る」の2条件が重なると、新生児が数十人~数百人止まり

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お産に安全以外のものを望む気持ちをどう表現するかの葛藤ーどうなるお産⑧番外編

お産に安全以外のものを望む気持ちをどう表現するかの葛藤ーどうなるお産⑧番外編

さて、「どうなる?お産」をいつも読んでいただき、ありがとうございます。今回は同時に2本を公開します。なぜなら、ちょっと新聞紙面では伝えきれなかった、と思っている部分があるからです。今回はとても難しい回でした。
記事の中で、何度も何度も書き換えた箇所がありました。それは以下の部分です。

 お産ができる施設が減る中で、望まない分娩誘発(陣痛促進剤の使用など)や予定帝王切開が、私の町でも増えていないか

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出産に望むのは「安全」それだけかーどうなる?お産⑧

出産に望むのは「安全」それだけかーどうなる?お産⑧

 産婦人科医が不足する現状で母子安全なお産を守るためには、医療資源の集約化は仕方ないと納得した私。

https://note.com/noubisya/n/n153fdac76c8a

気になる「帝王切開率」の上昇
 とはいえ、どうしても気になることがある。帝王切開率の上昇だ。日本産科婦人科学会の調べで、1001施設(有床診療所を除く)での帝王切開率は、21・9%(2008年)→27・7%(20

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全国で不足する産科医 現場は「4K」?ー⑦

全国で不足する産科医 現場は「4K」?ー⑦

分娩取り扱い施設は減り、産婦人科医は不足している。ようやく知った現実。

とっくに悲鳴をあげていた現場 ネットで「産婦人科医 不足」と検索してみた。一番上に現れたのは、大阪府豊中市立病院の医師が書いた「産婦人科医師不足と医療崩壊」というタイトルの文献だった。

 最初の段落には「産科・周産期領域においては(…)医療崩壊の危機という段階を超えてすでに崩壊のプロセスにあると認識されています」と衝撃的な

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あふれる妊婦、ギリギリの綱渡りー⑥

あふれる妊婦、ギリギリの綱渡りー⑥

 県内で分娩を扱う施設は、2012年に比べ診療所27→17、病院14→10に減っている。診療所の医師の高齢化や、医師不足による医療資源の集約化が原因という。分娩を休止した施設に行く予定だった妊婦が駆け込む先の医療体制は大丈夫なんだろうか。

湖東湖北ブロックは、「お産難民」が生まれる危険性 例えば、湖東湖北ブロック(彦根・多賀・甲良・豊郷・愛荘・長浜・米原)。県の関係者によると、19年、ブロック内

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