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森と木材と建築

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森と木材と建築に関する記事をまとめています。
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記事一覧

自宅の屋根裏、2階天井の断熱・蓄熱施工

自宅の屋根裏、2階天井の断熱・蓄熱施工

先週日本から戻ってきたら、一人親方で商売する近所の大工・木造建築エンジニアのマティアスが、私たちの自宅の屋根裏、2階天井の断熱・蓄熱施工を1/3くらい終えたところだった。翌日から私も作業を手伝った。サウナのような屋根裏で2人とも汗だくになっての作業。夏にやるもんじゃない。当初は冬にやる予定だったが、双方のいろんな事情が重なって夏まで延びてしまった。でも汗をかいて体を動かしたから、おかげで時差ボケも

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フランウッド -柔らかいスギ材をチーク材並みのハードウッドにする (7月1日に森づくりに関して基調講演)

フランウッド -柔らかいスギ材をチーク材並みのハードウッドにする (7月1日に森づくりに関して基調講演)

アイキャッチ画像:furanwood.com より

知り合いの紹介で、とても興味深い木材ベンチャー企業の会長と社長に出会いました。柔らかいスギ材をハードウッドにする技術を開発し、製造・販売を始めた岡山県津山市の企業です。会長は小原冨治雄さん、社長は髙橋ひかりさん。
https://furanwood.com

フランウッドは、フラン樹脂という純植物性の原料を木材に注入し、スギの木目の美しさと形状

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自然の多様性を人間らしく抱きとめるからシンプルになる

自然の多様性を人間らしく抱きとめるからシンプルになる

自然は多様なで複合的に絡み合って生きてきる。人間もその一部。

しかし自然から分離独立した人間は、自然のなかのつながりや連関性は意識せず、自然を分解分離し、必要なものだけ搾取的に抜き取って、もしくは多様な自然を単純なものに改変することで、経済成長してきた。一方で、少数であるが、自然の多様性や複合性に敬意を払い、自然の許容範囲のなかで自然の恵みを活用し、自然と共に生産活動や創作活動をしている人たちも

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基調講演「道を基点とした森林業」

基調講演「道を基点とした森林業」


岡山県津山市で開催されるDesign the Forest ミニカンファレンスで、フランウッドの小原会長と一緒に登壇します。講演会の部分をオンラインで提供できることになりました。

https://michi-shinringyo.peatix.com

2024年7月1日(月)13:30-15:30

13:30- 15:00
基調講演「森林基幹道を基点とした多機能な森林業」 池田 憲昭(

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好評につき第2回目: オンライン映画上映会『誰も欲しがらない人と建物に、新しい生命を!』 映画監督との対話会付き

好評につき第2回目: オンライン映画上映会『誰も欲しがらない人と建物に、新しい生命を!』 映画監督との対話会付き

https://domiziel2.peatix.com/view

2024年4月4日19:00 - 21:30 映画90分(ドイツ語、日本語字幕付き)、対話会50分(通訳付き)

チケット「オンライン上映会 +映画監督との対話会」(レンタル視聴も込み): 2800円

チケット「レンタル視聴」: 1900円

誰も手をつけようとしない
朽ちかけた文化財指定の古建築

ドイツ・シュヴァルツヴァル

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1人で鑑賞することは勧めません!

1人で鑑賞することは勧めません!

『誰も欲しがらない人と建物に、新しい生命を!』
ドキュメント映画オンライン上映会 1月18日19時より 
https://domiziel.peatix.com/view

私は4年前、この映画を、今では友人である監督・製作者のペーター・オーレンドルフから特別に試供用のDVDをもらって、コンピューターの画面で、1人で鑑賞しました。

途中で耐えきれなくなって、中断しました。

効果音も映像の特殊効

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ドキュメント映画 『誰も欲しがらない人と建物に、新しい生命を!』

ドキュメント映画 『誰も欲しがらない人と建物に、新しい生命を!』

コロナのときから取り組んでいた日本語化のプロジェクトがやっと完成しました。

これから一般公開でも、企業や団体の個別依頼でも、上映会&監督との対話会を提供していきます。
お気軽にお問い合わせください: ikeda@arch-joint-vision.com

2024年1月18日19時より、最初のオンライン上映会を開催します。
上映後、映画監督と対話の時間も用意しています(通訳付き)。
当日参加

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ナンバーワンではなくオンリーワンを目指す

ナンバーワンではなくオンリーワンを目指す

巷の資本主義市場経済では、多くのプレイヤーが「競争」を原動力にナンバーワンを目指す。競争に勝つために、大半の人たちが有効だと考える方法は、「均質化」して「効率」を高めること。森での原木生産では、単一樹種の一斉林を造って畑のように管理する。木材加工の分野では、作る製品を数種類に限定する。そうすれば「生産性」が高くなり、価格競争に勝ち、利益率も高くなる、と考える。

しかし実際は、そう単純に物事は進ま

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C/D材も廃材も、燃やすのは勿体無い!

C/D材も廃材も、燃やすのは勿体無い!

KANSO(kanso-bau.com)では、蓄熱と断熱の相乗効果を必要十分に発揮させるために、木材や土といった自然素材を、意図的に、従来の建物より多く使います。だからこそ、通常の建築で主に使用されるB材ばかりでなく、通常はあまり使われないC/D材や建築廃材(古材)を有効活用するシステムを開発しました。

2021年に秋田県仙北郡に建設したモデルハウス(KANSO美郷オフィス)では、地元の製材工場

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ドイツ視察セミナー 【北ドイツ・リューベックの自然森施業と木材加工流通 —環境、社会、経済の融合】(5月15〜19日) — LIGNA、自然森施業「リューベック・モデル」、広葉樹材の地域加工・流通、ハンザ都市ハンブルク

ドイツ視察セミナー 【北ドイツ・リューベックの自然森施業と木材加工流通 —環境、社会、経済の融合】(5月15〜19日) — LIGNA、自然森施業「リューベック・モデル」、広葉樹材の地域加工・流通、ハンザ都市ハンブルク

Picture: Knut Sturm

森がもっとも瑞々しく美しい新緑の5月に、世界中から見学者が訪れる北ドイツ・リューベック市の革新的な広葉樹施業の聖地を中心に、視察セミナーを開催することにしました。

オンライン説明会を2回開催します。テーマ、企画に興味がある方、お気軽にご参加ください。

説明会① 3月12日(日)19時より
https://luebeck-naturwald.peatix

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漆喰リフォームで調湿と防菌

漆喰リフォームで調湿と防菌

我が家の半地下にある2人用休暇アパートメントのキッチンを改修。

前の持ち主が施していた壁紙(ドイツによくあるオガクズが詰めてある紙)に、おそらく、過去20年くらいの間で2、3度、いろんな塗料が重ね塗りされている。

壁紙は、上に塗る塗料がシリカ塗料などであれば、ある程度の湿気調整はできるが、糊の層で遮断してしまうので、調湿能力は高くない。しかもウチの壁紙の塗料には何が使ってあるかわからない(たぶ

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原生に近い森を守り、増やそう!

原生に近い森を守り、増やそう!

ドイツ国土面積は日本とほぼ同じ。「森の国」と呼ばれるが、森林率は約30%で日本の半分以下。北部は平地が多いが、中部から南部にかけて、丘陵地や山岳地がある。急峻な日本に比べて、人間が開拓しやすい場所が多いため、ほぼ全ての森は、過去に大なり小なり人の手が入っている。原生の森はない。

自然は硬直したものではない。気候や地形や地質、様々な生物種の相互作用によって、絶えず変化している。人間も自然界の一部で

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function follows beauty 機能は美に従う

function follows beauty 機能は美に従う

「form follows function (形態は機能に従う)」という有名な文句がある。20世紀以降の現代建築の主要な潮流を凝縮している文句である。 ここで使われている「function(機能)」という言葉は一般的に、コストパフォーマンスや温熱性能、光環境、構造強度、使い勝手など、客観的・科学的に数字で表現できるものを指している。

19世紀末に、この言葉を建築の世界で最初に提唱したシカゴ派の

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解体後の廃材を積層パネルへアップサイクリング

解体後の廃材を積層パネルへアップサイクリング

2020年より、日本の佐藤欣裕と、スイスのサシャ・シェア、ドイツの池田憲昭のインターナショナルチームで、KANSOという名前のもと、自然と調和した「ローテク」の「シンプル」な建築のソリューションを提案、実践しています。

www.kanso-bau.com

現在、KANSOチームのモルクス建築社(秋田県仙北郡)の佐藤欣裕が、自社工房で、解体された建物の廃材(古材)を使って、積層木材パネルの製作実

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