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【800字コラム】 1月17日

高3の3学期、土日のセンター試験と成人の日の連休が明けた、火曜日の早朝に大震災が起きた。
家を出る前のニュースが「死者3名」と報じていたのを覚えている。

ビックリしてしまうのは、時の総理大臣がこの地震を知ったのが6時のNHKニュースだった(!)ということ。
各省庁は独自に情報収集と応援態勢を進めていたけれど、誰も官邸に情報を上げなかった。

自衛隊は出動準備が整っていたが、自治体首長の派遣要請がなければ法律違反(軍隊が勝手に動くのは危険だから!軍靴の音が聞こえるから!)、しかし通信網が途絶して兵庫県知事からの要請は届かなかった。
地震から4時間後に、たまたま自衛隊からの電話がつながり応答した県庁の課長補佐との会話が派遣要請とみなされ、知事へは事後承諾となった。

自衛隊三軍の最高指揮官たる総理は震災当日に文化人との懇談会(!)、翌朝は財界人との朝食会(!)に出席……
かくして時間を空費し、助かったかもしれない人命が失われた。

尊い犠牲への反省から、次の橋本政権が官房副長官級の内閣危機管理監を設置した。有事の際の省庁間の調整能力が期待されたが、後の東日本大震災で活躍があったとは言い難い。つまるところ、制度やポストが整ってもそれを使いこなす総理大臣の器量がなければ組織は動かないということだろう。

もとより、日本国憲法の制約で、今もって政府は国民の主権を制限する戒厳令や緊急事態宣言を発令することができない。
現場が勝手に動いて組織の長に事後承認させる、いわばルールを飛び越えて既成事実化するのは、支那事変を拡大させていった旧陸軍のやり方そのものなのだから、現代においてはルールが実態に適合するように法整備をするのが最も理性的な考えという気がするけど、なぜか我が国では憲法改正の議論が起きない。

あの大惨事で失われた人命に報いるには、そして来るべき災害に備える為には、我々は何を考えなければならないのだろう。

合掌

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