直居敦(なおい・あつし)
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映画“関心領域”レビュー A面・B面
映画「関心領域」その無関心、本当に他人ごとですか?(映画レビューA面)※推奨BGM:マーラー交響曲5番アウシュビッツ収容所の壁のすぐ隣で幸せな家族生活送る家族、ルドルフ・ヘス(収容所長。ナチス副総統のヘスとは別人)を描いた映画「関心領域“The Zone of Interest”」を観てきた。5月24日から日本で公開されているこの映画、実は5月末から6月上旬1週間の間に2回観た。若干難解なところが
もっとみる金融経済教育推進機構(J-FLEC)、金融教育とどう向き合うか?
政府が力を入れる資産運用立国――。株高、新NISA(小額投資優遇制度)と盛り上がりを感じさせる中、もう一つの肝である金融教育を担う金融教育推進機構(J-FLEC)が4月発足。4月25日、初会合と安藤聡理事長の就任会見が開かれた。ポイントと今後の注目点、そして個人はどう向き合ったらよいかなどをまとめた。
J―FLECは何をするのか?
会見で金融経済教育推進機構(Japan Financial L
“日銀の歴史的政策転換”で考えた3つのこと――中銀ウィークを越えて
3月19日(火)日銀が異次元緩和政策からの脱却、正常化への第一歩に踏み出しました。ポイントは①マイナス金利政策の解除 ②YCC政策の撤廃 ③ETF、REITの新規買い入れの終了――。その後の米FOMCも含めてすでに一連の報道が出尽くした週末ですので、自分なりに特に印象に残った3点について書き記しておきます。改めて植田日銀の今後の金融政策を考えるうえで、大事なことだと思っています。
(1)“専
6割の投資家が今年中の最高値更新“あり”!--配信番組でのアンケート調査から
“6度目の正直”で33年10カ月ぶり高値へ
連休明け9日(火)は、日経平均株価の終値が385円76銭(1.2%高)の3万3763円18銭。昨年7月3日に付けた終値ベースの昨年来高値、3万3754円を超え、33年10カ月ぶりの高値圏で取引を終えた。日本の連休をはさんで米国金利が落ち着きを取り戻し、米エヌビディアがおよそ1カ月半ぶりの高値を更新。日本でもハイテク、半導体関連の上昇が目を引いた。ちなみ
自信を持ってお勧めできる「11+1冊」 直居的2023年ブックレビュー
2023年もたくさんの良書に出合うことができました。広い意味で今の経済と社会、歴史、未来、自分を知るうえで貴重な糧になっていると考えています。あともちろん単純な楽しみ。僕の場合、傾向としてここ数年は資本主義の問題、人類学的なアプローチに惹かれていると思います。原則として2023年発行(22年11月以降くらいから)のものを10冊選びと思ったのですが、どうにも11冊になってしまい(笑)、かつ23年の本
もっとみる2023年、日経平均28%上昇 来年こそ“予告が実現する年”になるか?
12月29日(金)、東京証券取引所は大納会。今年の日経平均株価は、昨年末に比べて7369円67銭(28.2%)上昇して3万3464円17銭で取引を終えました。上昇率28%はアベノミクス初動の2013年(57%)以来、10年ぶりの大きさ。株式市場にとっては予想以上によい環境のまま終えたと思います。
株価上昇を支えた企業改革、外国人買い、米利下げ期待・・・
力強い上昇の背景は大きく3つくらいでしょ
金利!金利!金利!ーー波乱の9月マーケット、米政府機関閉鎖懸念など暗雲
米金利に翻弄される市場――ナスダックは9月に5.8%下落
金利、特に米国の金利の動きに翻弄された印象の9月のグローバルマーケットだった。9月月間ではNYダウ工業株平均は3.5%下落。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は5.8%と大きく下落した。ハイテク、グロース株は金利の影響を受けやすいという教科書通りの展開。ナスダックの下落率は昨年12月以来9カ月ぶりの大きさだった。
TOPIXは月間で
色々と話題の映画『バービー』――“はちゃめちゃ”だが深い……。
原子力爆弾の開発をリードしたオッペンハイマーを描いた『オッペンハイマー』とともに全米で大ヒット中の映画『バービー』を見てきた。バービー人形の実写版というか、バービーたちの完璧な世界「バービーワールド」と現実の世界を行ったり来たりする、ひとことで言えば“はちゃめちゃ”な展開なのだが、とても深い。ワタクシは深く感銘を受けました。「映画ってこんなことできるんだなぁ」と余韻に浸っているのである。
何か
「セゾン投信のこれから」――園部社長生出演書き起こしとポイント解説
6月28日(水)、セゾン投信を創業以来けん引し、積み立て王子として長期、積み立て投資の伝道師ともいえる役割を果たしてきた中野晴啓会長が退任した。中野氏本人はメディアなどのインタビューで「不本意だ」などと話しており、新たな運用会社の設立を目指していると伝えられている。中野氏の考え方に賛同、共感して投資を続けてきた多くの受益者には不安が広がっていることだろう。日経CNBCでは7月6日(木)、朝エクスプ
もっとみる映画『怪物』をみて考えている。人の複雑さ、そして優しさ
是枝裕和監督の映画『怪物』。もうご覧になった方も多いのではないでしょうか?坂本裕二さんの脚本がカンヌ映画祭の脚本賞を受賞したことで随分メディアなどで取り上げられました。また、亡くなった坂本龍一さんの最後の映画音楽作品となったことも話題です。
“怪物”だーれだ?
少し前に映画館で予告編のころからみかけてはいたのですね。「子役がカギらしい」ということは分かるのですが、いったいどんな映画なのか、ちょ
“植田日銀”の読み解き方――円安・株高が「正解」とは限らない
植田和男新総裁になって初めての日銀金融政策決定会合(2023年4月27-28日)と植田総裁の会見は、マーケットに安心感を与えたようだ。28日(金)13時、「大規模緩和維持」「YCC修正なし」「25年の緩和検証へ」といった決定内容が伝わると、市場は円安・株高で反応した。緩和姿勢維持の方針とともに、1年から1年半をかけて多角的レビューにより過去25年の金融政策を検証する――といった内容が当面は(あるい
もっとみる『街とその不確かな壁』(村上春樹著)を読んで
村上春樹さんの6年ぶりの長編小説『街とその不確かな壁』。すでに色々と紹介されているのでご存知の方も多いと思うが、文芸誌『文學会』に1980年に発表された中編『街と、その不確かな壁』をリライトして完成させた小説だ。
ネタバレにならない範囲のあらすじはこんな感じ――。17歳当時の「僕」が、本当に想い焦がれていた16歳の少女がある時ふと姿を消してしまう。その少女が思い描いてきた想像上の精神世界である