直居敦(なおい・あつし)

日本経済新聞社に入社。証券部、日経マネーなどを経て、今はマーケット・経済専門チャンネル…

直居敦(なおい・あつし)

日本経済新聞社に入社。証券部、日経マネーなどを経て、今はマーケット・経済専門チャンネル、日経CNBCで主に「朝エクスプレス」という番組を担当しています。幅広ーいことが経済やマーケットとつながっているため、どうしてもいろいろなところを「見て」「歩いて」「感じる」――日々です。

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  • 市場徒然歩記

    直居敦が「見て」「歩いて」「感じた」ことを書いてます。「朝エクスプレス」では毎日誰か、興味深いゲストをお迎えしています。番組は朝からせいぜい午前中。午後からは打ち合わせにいったり、証券取引所のある茅場町、日銀の本石町、その他、てきとーに色々なところをうろうろしています。そんななかで感じた雑感が「市場徒然歩記(しじょうつれづれあるき)」。投資のヒントがあるかもしれないし、全然ないかもしれません(笑)。

最近の記事

『金融教育。誰が、何を、どのように?』製作note

11月30日(木)15時45分から初回放送の金融市場ドキュメント④「金融教育。誰が、何を、どのように?」。先週までに様々なチェック、社内のもろもろの手続きやナレーション収録なども概ね終えた。ホっと一息ついた感じがある。 国家戦略になった金融教育 この金融市場ドキュメントのシリーズでは、③として「お金の話。誰かに相談できますか?」という番組を作って7月下旬に放送している。③と④はいわば一対、車の両輪のような関係にある。11月20日に臨時国会で金融経済教育推進機構の設立に関す

    • 金利!金利!金利!ーー波乱の9月マーケット、米政府機関閉鎖懸念など暗雲

      米金利に翻弄される市場――ナスダックは9月に5.8%下落 金利、特に米国の金利の動きに翻弄された印象の9月のグローバルマーケットだった。9月月間ではNYダウ工業株平均は3.5%下落。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は5.8%と大きく下落した。ハイテク、グロース株は金利の影響を受けやすいという教科書通りの展開。ナスダックの下落率は昨年12月以来9カ月ぶりの大きさだった。 TOPIXは月間で今年初めての下落 一方、日経平均株価は9月月間で2.3%の下落。米国に比べれば

      • 色々と話題の映画『バービー』――“はちゃめちゃ”だが深い……。

        原子力爆弾の開発をリードしたオッペンハイマーを描いた『オッペンハイマー』とともに全米で大ヒット中の映画『バービー』を見てきた。バービー人形の実写版というか、バービーたちの完璧な世界「バービーワールド」と現実の世界を行ったり来たりする、ひとことで言えば“はちゃめちゃ”な展開なのだが、とても深い。ワタクシは深く感銘を受けました。「映画ってこんなことできるんだなぁ」と余韻に浸っているのである。  何かと物議を醸している“バーベンハイマー”   アメリカでは『オッペンハイマー』と

        • 「セゾン投信のこれから」――園部社長生出演書き起こしとポイント解説

          6月28日(水)、セゾン投信を創業以来けん引し、積み立て王子として長期、積み立て投資の伝道師ともいえる役割を果たしてきた中野晴啓会長が退任した。中野氏本人はメディアなどのインタビューで「不本意だ」などと話しており、新たな運用会社の設立を目指していると伝えられている。中野氏の考え方に賛同、共感して投資を続けてきた多くの受益者には不安が広がっていることだろう。日経CNBCでは7月6日(木)、朝エクスプレスにセゾン投信の園部鷹博社長に生出演していただき、中野氏退任の経緯や、今後のセ

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          映画『怪物』をみて考えている。人の複雑さ、そして優しさ

          是枝裕和監督の映画『怪物』。もうご覧になった方も多いのではないでしょうか?坂本裕二さんの脚本がカンヌ映画祭の脚本賞を受賞したことで随分メディアなどで取り上げられました。また、亡くなった坂本龍一さんの最後の映画音楽作品となったことも話題です。 “怪物”だーれだ? 少し前に映画館で予告編のころからみかけてはいたのですね。「子役がカギらしい」ということは分かるのですが、いったいどんな映画なのか、ちょっと分かりにくい印象でした。「まあ、よく分からないけれど、是枝さんだし、脚本賞と

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          日経平均33年ぶり高値! 典型的「もうはまだなり」か?

          5月19日(金)の日経平均株価は7日続伸。終値は3万808円35銭と、2021年9月14日につけたバブル経済崩壊後の高値(3万670円)を上回り、1990年8月以来およそ33年ぶりの高値となった。17日(水)に終値で3万円の乗せたときには、大台達成感から「もういったんは一服だろう」という雰囲気が漂っていたように思うが、週後半に向けてむしろ加速する動きをみせている。 「“恰好イイおじさん”銘柄が増えている」 「“キレイなおじさん”銘柄、“恰好イイおじさん”銘柄が増えている」

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          “植田日銀”の読み解き方――円安・株高が「正解」とは限らない

          植田和男新総裁になって初めての日銀金融政策決定会合(2023年4月27-28日)と植田総裁の会見は、マーケットに安心感を与えたようだ。28日(金)13時、「大規模緩和維持」「YCC修正なし」「25年の緩和検証へ」といった決定内容が伝わると、市場は円安・株高で反応した。緩和姿勢維持の方針とともに、1年から1年半をかけて多角的レビューにより過去25年の金融政策を検証する――といった内容が当面は(あるいは1年から1年半は)緩和姿勢を維持すると受け止められたようだ。大手銀行株が乱高下

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          『街とその不確かな壁』(村上春樹著)を読んで

          村上春樹さんの6年ぶりの長編小説『街とその不確かな壁』。すでに色々と紹介されているのでご存知の方も多いと思うが、文芸誌『文學会』に1980年に発表された中編『街と、その不確かな壁』をリライトして完成させた小説だ。   ネタバレにならない範囲のあらすじはこんな感じ――。17歳当時の「僕」が、本当に想い焦がれていた16歳の少女がある時ふと姿を消してしまう。その少女が思い描いてきた想像上の精神世界である「壁の中の街」に行ってしまったらしい。その街では誰も影を持たない。その代わりに世

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          「奇妙な楽観」か?「予想通りの波乱」か?――金融不安の中での株式相場堅調

          3月20日(月)-24日(金)の日経平均株価は週間で0.2%上昇とほぼ横ばい。一方ダウ工業株30種平均は1.2%上昇、ナスダック総合指数は1.7%の上昇で終えました。この週に起きたことや週末にかけてのニュース、新聞紙面を見ると、ちょっと不思議なほどの株式相場の堅調さ。奇妙な楽観にも見えます。 月曜日の朝、綱渡りの政策対応? 米SVBから中堅銀行破綻が続き、さらにそこから欧州王手クレディ・スイスの経営不安に飛び火。日本時間で13日(月)の朝にはSVBの預金全額保護、20日(

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          投資家サーベイ「黒田総裁の通信簿」――そして次期総裁の課題は?

          日経CNBCが毎月実施しているアンケート調査「投資家サーベイ」。2月2日~6日にかけて「黒田総裁の通信簿 あなたの評価は?」というテーマで行いました。2期10年の任期を4月8日に全うしようとしている日銀の黒田東彦総裁。異次元緩和、マイナス金利、YCC(イールド・カーブ・コントロール)と、次々と非伝統的金融政策の領域を広げながらも、政策目標である安定的な消費者物価2%の上昇は、達成できないままです。一方で大量の国債や株式ETFを購入するなかで、今後に残される課題もまた相当なもの

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          信越化学・金川経営から学ぶこと――「基本をとことんやり抜く」凄み

          信越化学工業の金川千尋会長が1月1日亡くなった。享年96歳。この日をもって会長職を退任した。金川さんは1990年に社長に就任、2010年からは会長として信越化学をグローバル企業に育てあげた名経営者だ。僕は90年代に、日本経済新聞証券部記者として短い期間、担当した。その後も長きに渡って、折々お話しを聞く機会をいただき、日経CNBCの番組にも何度か登場していただいた。逝去の報は、“金川経営”の本質、神髄を改めて考える機会となった。1月27日(金)、化学業界担当のアナリストとして、

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          藤野英人さん、レオスのこれからを語る――志・技・経営をどう受け継いでいくのか

          1月12日(木)、日経CNBCのゲストトークコーナーにレオス・キャピタルワークスの会長兼社長、藤野英人さんをお迎えした。藤野さんは、日本で最大級の投資信託、ひふみ投信シリーズを運用し、個人投資家の関心も高いファンドマネジャー。そして、独立系運用会社レオスの創業者、経営者だ。番組では昨年にいったんは引き継いだひふみ投信の運用責任者に復帰した件から話を聞き始めた。以下番組でのインタビュー内容の書き起こしに加え、直居の若干の感想を記した。   (直居) 今日のゲスト、藤野英人さん。

          藤野英人さん、レオスのこれからを語る――志・技・経営をどう受け継いでいくのか

          自信を持ってお勧めできる10冊はこれ!――2022年“直居的”ブックレビュー

          大変遅くなりましてすみません。2022年“直居的”ブックレビューです。「あけましておめでとうございます!」という時期をだいぶ過ぎてしまったわけですが、一応これは書いておかないと落ち着かないので……。2022年中(対象は2021年11月以降の出版ということにしています)に出版された本の中で、僕が「自信を持ってお勧めできる本、10冊」を選りすぐりました。今回は10冊に絞るという観点を重視(おまけが2冊あるけど)。どちらにしようか迷ったときは「自信を持ってお勧めできる」という観点で

          自信を持ってお勧めできる10冊はこれ!――2022年“直居的”ブックレビュー

          日経CNBC“銘柄大賞” 2022――最も印象に残った銘柄は?

          年末年始をはさんで、「日経CNBC“銘柄大賞” 2022」というアンケート調査、投票を行いました。ここ数年、この時期に行っているもので、「あなたにとって“2022年を象徴する銘柄”はなんですか?」という質問です。「上がった」「下がった」「儲かった」でもいいのですが、とにかく「2022年の株式市場といえばやっぱりアレだよなぁ」という企業、銘柄――。ちなみに外国株ももちろんありです。みなさんならどんな銘柄が思い浮かびますか? さて、投票の結果のトップ3が上。トップがレーザーテッ

          日経CNBC“銘柄大賞” 2022――最も印象に残った銘柄は?

          2023年、元旦の紙面から 地政学リスク、民主主義――高まる危機感・焦燥感

          みなさま、新年あけましておめでとうございます! 今年も世界のみなさんにとり、より良い年でありますよう、心よりお祈りしています。 さて、元旦の新聞各紙を集めてきて、目立つ記事と社説をざーっとメモすることを長年の習慣としてきました。以前のメモはどこかに散逸してしまっているのですが、せっかくだからnoteに記録しておけばいいじゃないか!ということで、新年のごあいさつ代わりにアップします。このnoteの終わりには、各紙のアタマとワキの記事、社説の見出しを羅列しました。 当たり前の

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          2022年東証大納会雑感ーー岸田首相と三谷さんを迎えて

          やれやれ……。今年も12月30日(金)ということで東京証券取引所では1年の商いを締めくくる大納会が催されました。もう世の中の多くの人は仕事を納め、大掃除をしたり、1年を振り返ったりしているのだろうと思いますが、長年、証券市場記者をしていると、この日までは働き続け、大納会をのぞいて、あちこちあいさつをして回らないと何だかすっきりしないものなのです。ほんとは大掃除とかした方がいいんだろうと思いますが……。 取引所の大納会は、その1年を象徴するようなゲストを迎えるのが常です。誰を

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