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『スローシャッター』
仕事に出かけた異国の地で、出会った人々と互いに心を通わせた出来事。
記憶が鮮やかに綴られているのは、どれも忘れられない大切な思い出だからだろう。そしてその交友が続いていることがとても嬉しい。
誠意を持って真面目に働くと出会いが生まれ、物語になるのだろうか。
いやそれだけでは足りない。
相手の心のわずかな動きを感知する繊細なアンテナも必要そう。
言葉なしで伝わるこころ。
語り尽くして知るこ
『全部を賭けない恋がはじまれば』感想
あれこれタスクに追われる日もあれば、
こうやって読書と読後の余韻に浸る幸せを味わう時もある。
少しずつ楽しむつもりが一気に読んだ。
きっと読ませる工夫が仕掛けてあるんだろう。
クスッときたり、あははと笑ったり。
記憶の蓋も、覚えのない記憶の蓋も開けて、主人公の気持ちを味わい尽くす。
東京に土地勘がないから風景や空気は想像で補う。
渋谷や新橋はタモリのボキャ天に出てきたし、高円寺はたらればさん
母へのインタビューを始めました
母にインタビューをすることにした。あらたまったものではなく、私の心のなかだけの、聴く姿勢としてのインタビュー。
きっかけは母と電話していたとき。
「今日、何しとったん?」
いつものように母が私に尋ねる。仕事の連絡がなかったから、家にいて、洗濯して、どこにも行かずに部屋を片付けてた。よくある休みの日の行動を伝えてから、今度は私が母の食事や今日観たテレビの話を聞く。
母が一旦、話し終えたところまでは
洗たくマグちゃんをめぐる冒険
0.はじめに
よく聴いているポッドキャストの一つに「寝たら忘れるラジオ」がある。ヨウチャン、kanonさん、かえるさんの3人のキャスターが、眠ったら忘れてもいいよとゆるい話題を提供してくれている。寝つきの良い私は布団に入るとすぐに眠りに落ち最後まで聴くことができないので、もっぱら日中に拝聴している。忘れていいよと言われていても、気になる話題にはコメントしたくなる。第61話で取り上げられていた「せん
読後感想 解説「ウリコ トバニ カイコ トバ」田中泰延さん
「売り子」と「買い子」が集まるフリー(free)マーケットにぴったりな、言葉と貨幣の話が展開される。
言葉を売買する。
これまで田中泰延さんの言葉を無償で読んできた私も、この「ブンガクフリマ28ヨウ」の小冊子を(手間賃にも満たない金額だろうが)購入できて良かったと思う。
初めてひろのぶさんの言葉に触れたのは、NHKで放送された「独裁者の部屋」の公式ホームページだった。
ドキュメンタリーなのか