世の中には青色が溢れている 青い色を見ると、なんだかうれしくなる 青色といえば、海、青い目、青い車、 それぐらいしか思い浮かばなかった 少しがっかりして歩いていたら…
通りを歩いていたら、一人の女とすれ違った 知らない女だった でもそれが実は昔良く知っていた女なんじゃないかと思った 名前も顔も覚えていない女と何十年ぶりにすれ違っ…
朝、駅に向かっていたら、木々の間から風が吹いてきた 向こう側から自転車に乗った女がきた 昔の近所の野球好きのおばさんそっくりだった 「ねえ、今日はどっちが勝つと思…
黒は白、白は黒 どっちも同じ、見る時による 嘘は本当、本当は嘘 どっちも同じ、見る場所による 悪は善、善は悪 どっちも同じ、見る人による
空は青色、青いのは空 空に浮かぶ雲は白色、白いのは雲 海は青色、青いのは海 海に立つ波は白色、白いのは波 木の葉は緑色、緑なのは木の葉 木の葉に滴る露は白色、白い…
秋の夜長に目を覚ます どこからともなく音がする それは電車の通る音だった こんな時間に電車など通らないはずだけど でもそれは懐かしくて心休まる音だった やがて音は聞…
昔、山あいのある村に、いじわるな鳥がいました。いつも高い木の上にとまって、村人たちが働いているのを見おろしていました。 村人たちは、毎日一生懸命に美味しい野菜を…
会社員だったころ、早く会社に行きたかった別に会社が好きだったわけじゃない でも何故か早く家を出たかった 会社にいる時、早く家に帰りたかった 別に会社が嫌いだったわ…
僕らは毎日ページをめくる 次のページにはたいてい見たくない風景がのっている それでも僕らは毎日ページをめくる 僕らは毎日ページをめくる 次のページにはたいてい思い…
いつもその湖畔に行くと、一隻のボートがあった 色落ちした古くて白い手漕ぎボートだった 一体いつからここにあるんだろう いつもその湖畔に行くと、一隻のボートがあった…
日が暮れて 醒めた目をした 鹿太郎 振り向きもせず 凛々と鳴く
目を閉じると、海が見えた その時僕は、解放された
白い家の窓が開いている 日が照り盛る夏の午後 通りには誰一人いない 白い家の窓が開いている 蝉たちが鳴く夏の午後 入道雲が広がっている 白い家の窓が開いている 子供…
夏を楽しむ、夏を憂う、夏を愛しむ それでも夏は過ぎてゆく 秋と冬が好きで夏が嫌い でも記憶にあるのは夏の思い出ばかり 夏に苦しむ、夏を想う、夏を嫌う それでも夏は…
目を閉じると、そのネズミがいた じっと立ったままこっちを見ていた 何か言いたげだった 「ネズミさん、どうしたの?何か言いたいの?」 するとそのネズミは声を出さずに口…
左からモーツァルトが聞こえてきて、右から鳥がさえずる声が聞こえてきた 聞き入ったのは、鳥の声だった でもその鳥の声を思い出す時、聞こえてくるのはモーツァルトだった…
なりあきら
2023年11月21日 09:35
世の中には青色が溢れている青い色を見ると、なんだかうれしくなる青色といえば、海、青い目、青い車、それぐらいしか思い浮かばなかった少しがっかりして歩いていたら、頭の上に真っ青な空が広がっていた世の中には赤色が溢れている赤い色を見ると、なんだか元気になる赤色といえば、夕焼け、バラの花、赤いシャツ、それぐらいしか思い浮かばなかった少しがっかりして歩いていたら、目の前に寒椿の花が咲
2023年10月24日 09:29
通りを歩いていたら、一人の女とすれ違った知らない女だったでもそれが実は昔良く知っていた女なんじゃないかと思った名前も顔も覚えていない女と何十年ぶりにすれ違ったんじゃないかそんな可能性だって何億分の一ぐらいはあるんじゃないかそれぐらい珍しいことは、世の中にいっぱいあるじゃないかそう思うと僕は嬉しくなり、振り返ることなく歩いて行った通りを歩いていたら、一匹の犬とすれ違った知らない犬だ
2023年10月18日 09:45
朝、駅に向かっていたら、木々の間から風が吹いてきた向こう側から自転車に乗った女がきた昔の近所の野球好きのおばさんそっくりだった「ねえ、今日はどっちが勝つと思う?」そう言ってその女は通り過ぎて行ったすると風は止み、僕は駅へと向かった朝、電車に乗っていたら、窓の隙間から風が吹いてきた目の前に体の大きい男がきた昔のケンカっぱやい友だちそっくりだった「おい、お前、いい気になってんじゃね
2023年10月9日 16:43
黒は白、白は黒どっちも同じ、見る時による嘘は本当、本当は嘘どっちも同じ、見る場所による悪は善、善は悪どっちも同じ、見る人による
2023年10月3日 09:15
空は青色、青いのは空空に浮かぶ雲は白色、白いのは雲海は青色、青いのは海海に立つ波は白色、白いのは波木の葉は緑色、緑なのは木の葉木の葉に滴る露は白色、白いのは露僕は何色?何色が僕?僕の目から落ちる涙は白色、白いのは涙
2023年9月26日 09:22
秋の夜長に目を覚ますどこからともなく音がするそれは電車の通る音だったこんな時間に電車など通らないはずだけどでもそれは懐かしくて心休まる音だったやがて音は聞こえなくなり、夜も更けていった秋の夜長に目を覚ますどこからともなく音がするそれは家の柱の鼓動の音だった朝や昼間には聞いた覚えはないはずだけどでもそれは素朴で柔らかな心休まる音だったやがて音は聞こえなくなり、夜も更けていった
2023年9月12日 20:01
昔、山あいのある村に、いじわるな鳥がいました。いつも高い木の上にとまって、村人たちが働いているのを見おろしていました。村人たちは、毎日一生懸命に美味しい野菜を作っていたのですが、いじわるな鳥は手伝うこともしないで、じっと村人たちを見おろしているだけでした。「まったく、鳥の奴め、少しは手伝ったらどうなんだ。」「俺たちはこんなに汗をかいてるのに、奴はいつも涼しい顔をして見ているだけだ。」
2023年9月4日 09:25
会社員だったころ、早く会社に行きたかった別に会社が好きだったわけじゃないでも何故か早く家を出たかった会社にいる時、早く家に帰りたかった別に会社が嫌いだったわけじゃないでも何故か早く会社を出たかった若い頃、早く旅行に行きたいと思っていたパリやローマに行くのが楽しみだったでも行ってみると早く家に帰りたくなった
2023年8月28日 09:08
僕らは毎日ページをめくる次のページにはたいてい見たくない風景がのっているそれでも僕らは毎日ページをめくる僕らは毎日ページをめくる次のページにはたいてい思い出したくない話がのっているそれでも僕らは毎日ページをめくる僕らは毎日ページをめくる次のページには時々見たことのない風景が見えるだから僕らは毎日ページをめくる
2023年8月20日 13:58
いつもその湖畔に行くと、一隻のボートがあった色落ちした古くて白い手漕ぎボートだった一体いつからここにあるんだろういつもその湖畔に行くと、一隻のボートがあった色落ちした古くて白い手漕ぎボートだった一体いつまでここにあるんだろう夢の中でその湖畔に行くと、一隻のボートがあった色落ちした古くて白い手漕ぎボートだった僕はいつからここにいるんだろう夢の中でその湖畔に行くと、一隻のボート
2023年8月14日 09:07
日が暮れて醒めた目をした鹿太郎振り向きもせず凛々と鳴く
2023年8月8日 09:31
目を閉じると、海が見えたその時僕は、解放された
2023年8月2日 09:23
白い家の窓が開いている日が照り盛る夏の午後通りには誰一人いない白い家の窓が開いている蝉たちが鳴く夏の午後入道雲が広がっている白い家の窓が開いている子供たちはみんな家にいる夏の午後部屋の窓には海が映っている
2023年7月24日 09:49
夏を楽しむ、夏を憂う、夏を愛しむそれでも夏は過ぎてゆく秋と冬が好きで夏が嫌いでも記憶にあるのは夏の思い出ばかり夏に苦しむ、夏を想う、夏を嫌うそれでも夏は過ぎてゆく
2023年7月19日 09:52
目を閉じると、そのネズミがいたじっと立ったままこっちを見ていた何か言いたげだった「ネズミさん、どうしたの?何か言いたいの?」するとそのネズミは声を出さずに口を動かした僕は目を開けて、聞き取ろうとした目を開けると、そのネズミは地平の向こうに走って行った目を閉じると、そのネズミがいたじっと立ったままこっちを見ていた何か言いたげだった「ネズミさん、どうしたの?何か言いたいの?」す
2023年7月10日 09:26
左からモーツァルトが聞こえてきて、右から鳥がさえずる声が聞こえてきた聞き入ったのは、鳥の声だったでもその鳥の声を思い出す時、聞こえてくるのはモーツァルトだった前からモーツァルトが聞こえてきて、後ろから風がそよぐ音が聞こえてきた聞き入ったのは、風の音だったでもその風の音を思い出す時、聞こえてくるのはモーツァルトだった鳥の声を聞いても、風の音には聞こえない風の音を聞いても、鳥の声には聞