【映画レポ】インサイド・ヘッド2:前作の方がマシ
【約4,300文字、写真5枚】
8/1(木)公開の「インサイド・ヘッド2」を鑑賞しました。その感想を書きます(以下、ネタバレを含みます)。
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【この投稿で伝えたいこと】
❶前作と同様に満足度は高くなかった、❷世界観に違和感がある、冒険感が薄い、キャラに魅力が少ない、❸伝えたいメッセージは悪くない。どんな感情や思い出も大切にして、前に進んでいきたくなる映画でした。
▶︎鑑賞のきっかけ
2015年当時「インサイド・ヘッド」(以下、前作)を見ませんでした。それは主に、1)2015年は「アナと雪の女王」を見ていたのでお腹いっぱいだった、2)「インサイド・ヘッド」のキャラクターが魅力的に見えなかった、ことによります。
「インサイド・ヘッド」は世界中のさまざまな賞を受賞していたので「インサイド・ヘッド2」(以下、本作)を見ようと思いました。
▶︎「インサイド・ヘッド」の感想
「インサイド・ヘッド2」を見る約1週間前、前作をAmazonプライムで(初めて追加料金を払って)見ました。後になって、土曜プレミアムでTV放送(8/2)があったと知りました…😨
以下、「インサイド・ヘッド」の感想
・感想は「普通」
・受け取ったメッセージは「喜びだけでなく、悲しみも大事。さまざまな感情があって"私"ができている」
・「感情」たちが人の行動を支配するのは違和感がある
・頭の中の世界では大冒険だが、現実世界では数日の出来事に過ぎないため、冒険感がない
・記憶に残る歌はない
・原題は「Inside Out(裏返し)」と、日本語題名「Inside Head(頭の中)」と意味が全然違う。
▶︎「インサイド・ヘッド2」あらすじ
要は、思春期に入り「シンパイ」などの新しい「感情」が増えたライリー。それに苦しんだり、葛藤しながらも成長する物語。
前作の監督はのピート・ドクター(「ウィッシュ」など)でしたが、「インサイド・ヘッド2」は監督がケルシー・マン(本作が長編映画の初監督)に変わっています。
▶︎「インサイド・ヘッド2」感想
✔️全体的な印象
結論は、前作と同じく「普通」でした。「感情移入しづらい」「ストーリー性が薄い」「キャラクターに魅力が少ない」ことが主因です。映画館よりも、Disney+などのネット配信でいいのでは?と思いました。話が前作より複雑なため、前作の方が良かったかもしれません。
本作のTVCMで「泣ける」と宣伝していたし、世界興行収入は「アナ雪2」を超えて1位になったそうなので、目新しいアイデアや展開に期待していましたが…。
実際に、エンドロール中に席を立つ人は多かったので、私と同じ感想の人もそれなりにいたのでは、と思いました。
なお、本作では「思春期」をメインストリームにしているため、思春期の構造や「思春期あるある」は、思春期を過ぎた人でないと分かりません。ぱっと見のビジュアルは、子供も楽しめそうなのに、実際に見てみると、視聴者によって理解度が変わることは残念でした(仕方ないですが)。
✔️設定に違和感、感情移入しづらい
前作に引き続き、物語の設定が受け入れられませんでした。私はどうしても、自分の感情が何者かに支配されるのは気に食いません。
本作で「感情」がライリーを支配することもあるし、「ライリーらしさはあなた(シンパイ)が決めるものじゃない」というヨロコビのセリフがあったように、ライリーが「感情」に反対することもありました。
そのため「感情」と人間の意思決定は別なのか?設定がよく分かりませんでした。設定に納得感(リアル感)がないと、感情移入しづらいです。また、「ヨココビ」が落ち込んで涙する場面もあり「"感情"とは何だ…?」と設定に混乱しました。
✔️メインメッセージ
前作で受け取ったメッセージは「喜びだけでなく、悲しみも重要」でした。それが本作は「すべての感情・思い出が大切」と、私は感じました。
特に、思春期は色んな感情でパニックになることがあります。それらの新しい感情もすべて受け入れることで、本当の自分らしさを見つけられる。物語の後半で「ジブンラシサの花」を9名の「感情」で包み込んでいた描写には、そのような意味が込められていると思います。
日本版のメインビジュアルのリード文には「どんな感情も、あなたの宝物になる」「誰にでも<感情の嵐>は訪れる」とありました。確かに、本作のメインメッセージはそれに近いです。
ただし、私はそのような余分なメッセージをメインビジュアルに書いて欲しくありません。映画の感想は人それぞれ。感想を左右するような"ネタバレ"を書くのは鑑賞の邪魔になるためです。なお、本国版のメインビジュアルには、"Make room for new emotions."と、全然違います。
また、日本語サイトのイントロダクションには、
と言う説明があります。この“ある記憶”とは何でしょうか?
本作では、いらない記憶を吹き飛ばす「保護システム」が新登場します。物語の後半では、飛ばされていた大量の記憶が「信念の泉」に流れ着くことで、「ジブンラシサの花」は安定しました。
ここからは、どんな記憶も大切で、それらが「自分らしさ」を形成している、と感じました。これは、ケルシー監督の言葉にもつながります。
そのため、公式サイトにある“ある記憶”という表現だと、何か特定の1つの記憶と読めてしまうため、ミスリードだと思いました。
また、日本サイトと本国サイトで、イントロダクションの内容が全然違いました。本国サイトには、上記の“ある記憶”うんぬんという記載はありません。日本法人が勝手な解釈を加えているのでしょうか?映画で伝えるべきメッセージは、グローバルで統一した方がいいと思います。
✔️希薄な物語性
結局、現実世界では約3日の話しか描いていません。「感情」世界では大冒険でしたが、現実世界での展開は薄いです。正直言って、日常の一コマです(もちろん、そこにドラマはありますが)。
「感情」世界で大冒険だったとしても、現実世界のスペクタクルに欠けるため、物語性が薄いと感じました(これは前作も同様)。
✔️記憶に残る歌がない
本作では、記憶に残る歌がない点も残念でした(これも前作と同様)。ディズニー・ピクサーであれば、どうしても素晴らしい歌を期待してしまいます。
直近で、金曜ロードショーで見た「リメンバー・ミー」は、歌を上手に使って、物語の山場を作り、感情を大きく揺さぶりました(映画館で見た時も同様)。見終わってからも、我が家ではアレクサに毎日「リメンバー・ミーかけて」とリクエストしているくらいです。
✔️新キャラの魅力が薄い
本作のテーマは思春期ということで、「シンパイ(Anxiety )」「イイナー(Envy)」「ダリィ(Ennui)」「ハズカシ(Embarrassment)」という新しいキャラクターが加わります。
しかし、彼らの魅力が薄かったです。数が多いことでキャラが立っていないこともありました。ハズカシはいい奴でしたが、シンパイとイイナーは自分勝手で鬱陶しいし、ダリィは存在感がなかったです。
なお、前作からのキャラクターの中で、イカリの活躍が目立ちました。前作では怒っているだけでした。しかし、本作では紳士的で、ヨロコビを優しくフォローするシーンが多かったため、見直しました。
また、13歳になったライリーは、子供のころと違って、複雑な感情や行動をするようになり、魅力が増したと思いました。子供をもつ私にとっては「あぁ、こんな日が来るんだなぁ」と思いながらほろ苦く見ていました。
✔️その他の感想
・声優は誰も違和感がなかった。
・最初から「ポーチ」を仲間にしておけば、ヨロコビたちは大冒険しなくても良かったのでは…?
・一緒に見た子供曰く「警報が鳴るところがすごいびっくりした」とのこと。「感情」世界の構造も完全に理解できていなさそうでした。
✔️良かった点&学び
物語では、仲良し友達3人組が仲違いするシーンがあります。いくら仲良しでも、喧嘩もするし、仲直りもするし、離れ離れになることもあります。友人関係に悩んでいる人にとっては、何か救いが見えたかもしれません。私は、物語の最後で友人と3人で抱き合うシーンが一番好きでした。友達は大事にせなあかん。
私は子供をもつ年齢になりました。子供に対するイライラから、過去にはなかった「イカリ」も極たまに出てくるようになりました。そんな自分の「イカリ」も含めた「感情」とも向き合いながら、家族、世の中が良くなるように愛想良くしていきたいと思いました。
▶︎まとめ
いかがだったでしょうか?基本的に「インサイド・ヘッド2」は「インサイド・ヘッド」と同じような感想になりました。世界観に納得感がないし、冒険感も薄い、キャラクターの魅力も少なかったです。「アナ雪2」を超えたなどと自画自賛していますが、私にとっては満足度は高くありませんでした。私には「ヒネクレ」という新しい感情がいるのかもしれません(苦笑)。
ただ、本作のメッセージは良いと思いました。無駄な感情や思い出はありません、全部が大切です。日々のどんなことも蔑ろにせず、前向きに生きていくべきだと思いました。これは「ソウルフル・ワールド」「PERFECT DAYS」と同じです。
▶︎今日の映画飯
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