思いつき短編:パンの家
今度はどんな場所なのだろう、色んな思考が脳裏で生まれてくるがもう意識は保てず、眠りについてしまった。
目が覚めると、そこは布団の中だった。
暖かさのある薄暗い寝室で寝かされていた。
子供たちは!?、と当たりを見るとすやすや寝息をたてながら眠っていた。
一度、安堵するも一体誰の家だろうか。
見ず知らずの人をこんなに介抱するものだろうかと母が考え込んでいると目の前のドアが開く。
身構えていると、黒いロングヘヤーの色白い女性が入ってきた。
「具合、どうですか?」
心配そうに話しかけてきた。
「えっと、はい。だいぶ良くなりました」
それは良かったと優しい笑顔を見せる。
「びっくりしましたよ、家に帰ってきたらあなた達が倒れてて…いったい何があったんですか?」
母はことのあらましをすべて話した。
ドアを介して進むと違う部屋ヘ飛ばされてしまうこと、家族が殺されたことを話した。
一般常識では通用しない出来事だが、彼女は今、この家族がいる事実に納得した。
「では、この部屋で私が開けても違う部屋へと行ってしまいますかね?」
それは分からなかった、何せ理由もわからないまま、変な状況に陥っているから…。
家主はりんごの皮を剥いて、持ってきた皿の上に乗せる。
いつの間にか起きていた子供達にもうさぎの形をしたりんごを渡す。
「あっ…!」
ふと彼女は親指を切ってしまう。
指は布団の脇にぼとんっと落ちた。
すると、とてもいい匂いがする。
知っている匂いだ、これは………。
「いちごジャムのパン?」
妹がなにを思ったのか親指を掴んで口に入れた。
「なにしてるの!!!」
母が声を荒げた。
妹は親指を咀嚼している。
「口から堕しなさい!!お姉さんの指をかえしなさい!!」
妹は言うことを聞かず、そのままゴクリッと飲み込んでしまった。
「ママこの人、いちごパンで出来てるよ?」
むくり、と布団から出て彼女の腕に噛み付いた。
無理もないだろう、幾日食べていないのかわからないが、一家は相当お腹を減らしていた。
特に食べ盛りの子供たちは我慢の限界だった。
引きちぎった一部を妹が母の口に入れた。
甘くてふわふわで美味しかった。
母はリンゴを剥いていた包丁を手に取り
。
「ごめんなさい……………」
一言いって彼女の首を切った。
血は出なくて、色鮮やかなイチゴのジャムがぷるぷるとしていた。
そして夢中でかぶり付いた。
3人は5分もしないうちに彼女を食べ終えた。
母は罪悪感と空腹を満たした気持ちで少しの間、上の空になった。
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