#思いつき
君の重さを空の青さに覚える話。本当にその場の思いつき1場面物語
「それなら、私が囮になるよ」
全員が疲れきっていた。
状況は悪くなる一方で、どうしようもなかった。
崩れかけたコンクリートブロックの壁にもたれてマナカはそう言ってきた。
「いや、それは…」
「全員で抜け出そうよ」
「そ、そうよ。そんな一人見捨てるみたいな…」
昨日までは、こんなサバイバルを体験するとは思っていなかった。
誰も、覚悟なんて出来ないし、今あることも信じたくなかったんだと思う。
超思いつき1場面物語『手紙』
という手紙を、何気なく開いた古本の間から見つける。
紙は、どうもまだ新しい。
じっくり見る文字は丸く可愛らしい。
美しい青い文字色が薄暗い古本屋と相まって、まるで、魔法の書のように輝いて見える。
僕は、この人の探すアナタを知っているだろうか?
記憶の中にアナタを探してみるが、悲しいかな。僕は知り合いが少ない。
夏休み入りたての、午後3時。
人気のない古本屋の奥で僕はうーんと小さく唸った。
見
1場面物語『とある猫から聞いた話』
『まぁ、だから結局私達は孤独なのさ』
猫はそう言います。
今は暖かい部屋の中。
元野良だった猫は淡々と己の心を話します。
私はそれをウンウンと聞いたのです。
これは元野良猫の話。
『私に帰る場所はなかった。
ま、親から離れるのが早かったね。なんでって?それは、やってられなかったのさ。だいたい、親の持つ縄張りは碌な事が無かった。だから、私は1匹で街に出た。』
猫は思い出すように上を少し見る。
思いつき1場面物語~ざわめき
スポットライトの熱。観衆の歓声。ざわめきが裏の世界まで届く。
「すごい人気だね」
「本当、なにがそんなにいいのかしら?」
「僕らには解らない何かさ」
小さなネズミ達は口々に思った事を言い合う。そんな会話になんの意味も無い。それでも、その時思った事は音にされて舞台裏の狭い通路に小さく響いた。
「もう、お喋りしてないで手を動かしてよ」
「そうだよ、怒られちゃうよ」
「そうね、何より食いっ