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「分かれ道——フェミニズムとハンマーの共鳴性」(「現代詩手帖」2023年3月号)の注釈について
「現代詩手帖」2023年3月号のクリティーク、「分かれ道——フェミニズムとハンマーの共鳴性」について、註釈に書いたことを以前Twitter(https://twitter.com/izumiitsumik…
「分かれ道——フェミニズムとハンマーの共鳴性」(「現代詩手帖」2023年3月号)の注釈について
「現代詩手帖」2023年3月号のクリティーク、「分かれ道——フェミニズムとハンマーの共鳴性」について、註釈に書いたことを以前Twitter(https://twitter.com/izumiitsumiki/status/1630830664932286464?s=46&t=WW40BbnnaFBDVtAK97VfHQ)とマストドン(https://fedibird.com/@aomoto_y/1
もっとみる攪乱の句の、その終わり
「俳句四季」4月号の精鋭16句欄に連作「like a ghost」を寄稿しています。この連作は一言でいえば俳句との「歌のわかれ」、最後の俳句作品で、以後俳句を書くことも新しく俳句を公開することもしないつもりです(追記:今まで書いたものを作品集にまとめる心づもりはあります)。「like a ghost」は16行からなる同名の詩に16句が並置されている構成ですが、これは実験的な意図というよりは、定型律
もっとみる第六回芝不器男俳句新人賞予選通過作品
君がため春野の薔薇にならずゐる
だつた手が芹を掴んでゐた彼方
手のきのふ雨が霞を流しては
あふれだす私語にぼんやり虻がゐる
紙焼けてほろほろと菜の花の群
のどぼとけひらく椿の唄の数
巣のくらさ蜂にときどき鳴る海が
書き言葉泪が花冷にわかる
そよいでは鰭の四月を木と匂ふ
花弁して日の抜け落ちてゆく音の
風はむらさき肺の水位に根をさして
平熱の蜂が押しあふ木の空気
影は口花のか
漂流のメメント・モリ
砂浜は火葬の途中だった
水はまぐわって光を拒んでいる
かなしみで舟をつくろう
鳥は三行であなたを連れてゆく
それからは馬と隠喩を走り出す日々
——戴冠、戴冠
バス停をいくつもの日曜が過ぎた
(ゆびさきが混濁する)
河は炎の色が聴こえている
(時間に重石を載せてゆくのだ)
家並みが白い梯子にかわるころ
喉だけが嗚咽のかたちになって
身投げの夏に溶けだしてゆく
「現代詩手帖」2021年8月
Composition 1
電気を消した部屋はものの境目があいまいで落ち着くし、さみしい。ベッドの上を動けなくなって三日ほど経っただろうか。シーツがすこし脂をふくんでいるのがわかる。なにも食べる気がしないなか、同じことばかりもうろうと考えている。どうして二十年も生きてしまったのだろう。いったい、なんのために?
テレビ白夜をむなしく流し泣きぼくろ
五月。白山通りを水道橋へ歩くと、東京ドームを過ぎたあたりで店の並びが変