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漂流のメメント・モリ

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砂浜は火葬の途中だった
水はまぐわって光を拒んでいる
かなしみで舟をつくろう
鳥は三行であなたを連れてゆく


それからは馬と隠喩を走り出す日々
——戴冠、戴冠


バス停をいくつもの日曜が過ぎた
(ゆびさきが混濁する)
河は炎の色が聴こえている
(時間に重石を載せてゆくのだ)


家並みが白い梯子にかわるころ
喉だけが嗚咽のかたちになって
身投げの夏に溶けだしてゆく




「現代詩手帖」2021年8月号新人作品投稿の選外佳作の作品です

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